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ユニバーサルデザイン

先日、社内で穴あけをする機会があったのですが
その時に「サイズ表示が見えにくい」ということが話題になりました
ドリルスタンドの目盛りや製品に入っている刻印、自在錐のバーの目盛りなど、作業をする上で大事になってくるところなのに不便さがある
このままでいいのか
いや、決して良くない
もうすぐそこにいる老眼でもよく見える表示にして欲しい

永遠のテーマ

入社して20年以上が経ち、ユーザーさんのお声を聞くことも多くなりました
その中でずっと気になっていることがあります
それは 「見やすさ」
この意見がなかなか反映されないということ
製品の性能は喜んでいただけても
見やすさという使う人の立場にたったものづくり
これがあと一歩足りていないように思うのです
これはこれから先も、製品をつくり続ける限り考えていかねばならないことだと思います

コストか使いやすさか

目盛りが見にくい
印字や刻印が見えにくい
これは実際にお使いのユーザーさんだけでなく
社内において自分が製品を使う上でも時折感じます
また、ワークショップに参加いただいた方の中には、老眼でサイズが見えにくいという方もいっしゃいました
そういう不便さって使う人にしかわからないちょっとしたことなのかもしれません
でも実はこのちょっとしたことがとても大事なことだと思うのです
そのちょっとしたことがストレスになり、使わなくなってしまうことにつながると思うからです
さらにはサイズを間違えるというのは仕上がりにも影響が出てきます

ただ、難しい面があることも事実です
見やすくすることが出来る出来ないには機械の問題もあると思うのですが、もうひとつコストという問題があります
特に今すでにある製品に手を加えるとなるとやはり価格に跳ね返ってきます
そこが難しいところだとは思うのですが
ユーザーであるみなさんの気持ちは場合どうなのでしょう?
何千円も高くなってしまうのなら考えてしまいますが、それがもし数百円の差であれば使いやすい方が良いと感じるのでしょうか?
それとも価格があがるのならば今のままでいいと思われるのでしょうか?

誰もが使いやすい

ユニバーサルデザインとは「年齢や能力、状況などにかかわらず、デザインの最初から、できるだけ多くの人が利用可能にすること」がコンセプトである。
ユニバーサルデザインの7原則
どんな人でも公平に使えること。
(Equitable use / 公平な利用)
使う上での柔軟性があること。
(Flexibility in use / 利用における柔軟性)
使い方が簡単で自明であること。
(Simple and intuitive / 単純で直感的な利用)
必要な情報がすぐに分かること。
(Perceptible information / 認知できる情報)
簡単なミスが危険につながらないこと。
(Tolerance for error / うっかりミスの許容)
身体への過度な負担を必要としないこと。
(Low physical effort / 少ない身体的な努力)
利用のための十分な大きさと空間が確保されていること。
(Size and space for approach and use / 接近や利用のためのサイズと空間)

出典:Wikipedia

目盛りの見やすさや印字・刻印の見やすさはまさにこのユニバーサルデザインの7原則の中の太字の部分そのものです
これは「誰も取り残さない」というSDGsと共通の考え方だと思いますが、ただ穴をあける道具、穴あけをサポートする治具を作り、世に出すのではなく、誰もが使いやすい製品を世に出していくことが求められていると思います

手が小さい職人さんというのは女性とは限りません
男性の職人さんでも手が小さい方はいらっしゃると思います
木工ドリルでは手の大きさは関係ないかもしれませんが、色んな道具においてそういう方でも使いやすい大きさの道具などがあってもいいのではないかと思います
実際にそういう職人さんのお声が直接聞ける座談会のような機会がいつか持てるようになると、より良い製品づくりに繋がるのではないかと思います

これから発売される製品は誰もが見やすく、わかりやすいユニバーサルデザインの製品でありたいと思いますし、今ある製品にもそういう考え方が反映されていって欲しいと思います
コストかユニバーサルデザインか課題はあると思いますが、それも品質だと思うからです