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列車は必ず次の駅へ ではオタクは? ~本誌の制作過程と構成~

さぼてんぐ
https://twitter.com/saboteng23

Notice ・本稿は2022年10月に発行した劇場版スタァライトの考察・感想合同誌『舞台創造科3年B組 卒業論文集』に掲載したものをそのまま転載しています。 ※寄稿者の希望で修正を加えている記事もございます ・本稿は2022年4月に受け取った初稿を、以降数ヶ月掛けて寄稿者と主催チームとの間でブラッシュアップして作成しました。 ・考察に正解はなく、どの考察も一個人の解釈であることをご理解ください。 ・「九九組」「アニメ版」など、人によって意味合いや解釈が異なる単語については、寄稿者の使い方を尊重しています。 ・本稿は『少女☆歌劇 レヴュースタァライト』の二次創作作品であり、公式とは一切関係ございません。

1.序文

 『舞台創造科3年B組 卒業論文集』は、『劇場版 少女☆歌劇 レヴュースタァライト』(以下、劇場版) に関する考察および感想を集めた合同誌である。「卒業論文集」というコンセプトを打ち立て、文章も論文風のテンプレートに流し込んで作成した。

 お手に取ってくださった方なら分かるように、たくさんの(具体的には装丁や表紙も含めて121人の)舞台創造科にご参加いただいている。手に取ってはみたものの、中身が多すぎてどこから読んだらいいものか戸惑っている方もおられよう。

 そこで本稿では、この冊子の概要や制作過程などを説明しつつ、ついでにオススメの読み方などをご紹介したい。参考書の冒頭にありがちな、いわゆる「本書の使い方」というやつである。次の2章、3章で本誌の誕生経緯、査読システムなどの制作過程について述べ、4章で改めて本誌の構成や内容について説明している。なお、5章は謝辞である。

 もちろん、こんな文章を必要とされない方もたくさんいらっしゃることと思う。そんな皆さまにおかれては、どうか本稿は読み飛ばし、お好きなページを開いていただきたい。主催びいきを抜きにしても、非常に面白く読み応えのある文章がてんこ盛りなので、きっと楽しんでいただけるはずだ。

2.背景

 まずは制作の大まかな経緯を説明したい。企画のきっかけは至ってシンプルで、「主催(私)が劇場版の考察をたくさん読みたかったから」である。二次創作と違って、考察はメジャーなプラットフォームがあるわけでもなければ(*1)、即売会で大量にお宝を仕入れられるわけでもない。であれば、己でかき集めるしかない。

 ここで、もう少し具体的なきっかけを説明するため、2022年1月4日に円あすかさん(@maru_aska) がツイッターに投稿したツイートを引用したい(*2)。

 この投稿に対して、私を含め数人が各々の見解を述べた。ある人は「“見ない・聞かない・調べない”華恋の日々の暗喩として、渡ってもいいのに“渡らない”演出がなされているのでは」と言い、またある人は「ひかり(青信号)のようにまっすぐ進めず、立ち止まったり歩道橋で遠回りしてしまったりする華恋を表しているのでは」と述べた。「華恋が、同級生たちとは異なる、困難な道を歩んでいることを示しているのでは」と考察する人もいた。

 こんなちょっとしたシーンでも、見る人によってこれほど捉え方が違う。やはり『劇場版 少女☆歌劇 レヴュースタァライト』は面白いのである。わずか数秒のシーンでこれだけ様々な解釈ができるのなら、劇場版全体に間口を広げれば、きっとたくさんの考察が集まるに違いない。年明け、なんとなくバイタリティに満ち溢れ、なんとなく気持ちが大きくなっていた私はそう確信し、数日後には副主催であるりーちさんに企画のたたき台を送り付けていた。この後半年以上、毎日3時間を主催業務に割くことになるとはつゆ知らず。年始の行動力とは恐ろしいものである。

 コンセプトを「卒業論文」とした理由はいくつかある。まず劇場版のテーマが「卒業」であったこと。そして「論文」という体裁であれば、デザインがシンプルで済む上に、いろんな専門知識を持つオタクに寄稿してもらえるのではないかと期待したこと。それから、「ケリをつける」映画であったにもかかわらず、映画から受け取るものが大きすぎて私自身がなかなか劇場版にケリをつけられずにいたため、いちオタクとして卒業するきっかけを欲していたこと。

 コンセプトが定まったら、あとは詳細を決めていくだけだ。企画を詰めるための準備期間を1カ月ほど設け、2022年2月上旬に参加者を公募した。「公募」という形を取ったのにもいくつか理由がある。そもそも合同誌に気軽に誘えるようなオタクの友人が少ないため、身内だけで合同誌を作ることができなかった、というのが最大の理由だ。そして私と同じように、劇場版からもらった火種がくすぶったままで、かといって創作で発散もできず、なんとなくモヤモヤしている人が他にもいるのではないか、あわよくばそういった人が同人活動をするためのきっかけになりたい、という思惑もわずかにあった。

 結果としては、2週間で100人を超える参加者が集まり「30人くらい集まってくれたら御の字」と思っていた主催チームは慌てふためいた。参加を締め切った数日後、私はりーちさんに「今回の合同誌の目標を“6月4日に発行する”から“我々の心身の健康を維持しながら、最終的にとにかく本の形にする”に変更しようと思います」と動揺しつつ宣言した。

 そして、コンセプトを論文にしたことにより(加えて想定の4倍の参加者が集まったことにより) かなり体系的な「エセ査読システム」が導入されることとなった。


*1 しいて挙げるならTwitterがそのプラットフォームとして機能しているのかもしれない。ただ、まとまった考察を漁るのは困難なことが多い(個人の感想です)。

*2 『マジで未だに分からないんですけど、どうしてここ(※ドーナツ店を出たシーン)の華恋は青信号の横断歩道を無視して歩道橋に向かうんだろう???何か込められた意味があるのかもしれないけど本当に考えても分からない………』(円あすか(@maru_aska), Twitter, 投稿日 2022年1月4日, 最終閲覧 2022年7月11日)

3.査読

 ここでは、本誌最大の特徴であると思われる「エセ査読システム」について説明したい。そもそも「査読」とは、ジャーナル(論文誌)に載せるのに妥当な論文かどうかを編集側でチェックする作業のことである。ジャーナルの信頼性とブランドを保つためには、この査読がきちんと機能していなければならない。

 では「エセ査読システム」とは何か。これは、編集側で各原稿を「それなりにチェックする」システムのことである。一般的な査読のように、掲載の可否を判断することはない。このシステムを導入した意図は3つある。

 まず挙げたいのが、「なるべく間違った情報を載せたくない」というものだ。たかが同人誌ではあるけれども、「論文集」の体裁で「考察合同」として発行するなら、せめて引用した文章のチェックくらいはしておきたいと考えた(結果的には、かなり突っ込んだチェックが施されることとなった)。

 それから、文章を書き慣れていない参加者のフォローをする意図もある。本誌は公募時に、普段創作をしない人や文章を書き慣れていない人も歓迎する旨を掲げていたおかげか、「自分の文章を表に出すのは初めて」「同人誌に参加するのは初めて」という方もたくさん参加を表明してくれた。うれしい。そういった方々が少しでも安心して参加できるように、未熟ながら主催チームにできる範囲で心を砕いたつもりだ(*3)。

 最後に、考察の内容をよりたくさんの人が理解できるように文章を整えたい、という考えがあった。キャラクターの心情変化や巻き起こる出来事、文章表現そのものを楽しむ小説とは違い、考察文には(多くの場合) 読む人に伝えたい“筆者の考え”が明確にある。その考えを持つに至ったきっかけがあり、考えにたどり着くまでの筋道が存在する。そのきっかけ、筋道、そして考え自体をなるべく明快に文章で表現してあげないと、どんなに面白い考察も上手く伝わらない(*4)。文章の癖や前提の共有不足で面白い考察が読まれないのはあまりにももったいないし、なによりそれらは、第三者が読んで指摘するだけで改善できる余地が大きい。

 このように、一応複数の意図で「エセ査読システム」を導入したわけだが、ここで大きな問題として立ちはだかったのが、チェックしなければならない原稿の量である。手元には論文が約100本あり、一方で主催チームは4人しかいない。主催チームだけでチェックするのは現実的ではないと判断し、参加者から有志を募って原稿チェック班を構成した。

 幸いにもたくさんの方が手を挙げてくださったので、欲をかいてチェック班を2 チームに分けた。誤字脱字チェックや伝わりづらい文章の修正提案などをする「第一チェック班(21人)」と、固有名詞や引用文、引用した台詞などを確認する「第二チェック班(14人)」だ。

 大まかなチェックフローは以下の通りだ()。まず、参加者が提出した初稿を第一チェック担当者が確認し、修正提案を入れつつ事実確認が必要な箇所を指摘する。次に第二チェック担当者が、第一チェックで指摘が入った箇所の事実確認をする。第一チェックと第二チェックを経た原稿は参加者に戻し、修正稿を作成してもらう。その修正稿を主催と第一チェック担当者が改めて確認し、それをまた参加者に戻して直してもらう、という工程を必要数繰り返した。

 文章が完成したら、ひな形に流し込んで見栄えの悪いところなどを微調整し、ダメ押しでこれまで一度も原稿に目を通していない第三者に最終確認をしてもらった。そうしてようやく出来上がったのが、本誌に掲載されている文章たちだ。主催チームもそれぞれが統括する工程で一通り目を通しているので、1本の論文につきチェック担当者2人、主催4人、第三者チェック1人の最低7人のチェックが入っていることになる(*5)。

図 原稿完成までのフロー(筆者が作成)

 同人誌で(もしかすると同人誌でなくても)これほど面倒な工程を経て文章が載ることは、かなり珍しいのではないだろうか。ということだけを申し上げたくて、本章をねじ込んだ。もし本誌でワクワクするような考察に出会えたとしたら、それはその考察の筆者と、そして自分のものではない文章をより魅力的にするために尽力してくださったチェック班の汗と努力と情熱と夜更かしの賜物である。

 なお、「できるだけ無理をしない/させない、身を削らない」をモットーにズルズルと作業期間を延ばしてしまったために、旬を逃してしまったり、類似考察が他所で上がってしまったりした論文もある。かえって参加者やチェック担当者、そして主催チームを疲弊させてしまったこともひしひしと感じている。この場を借りて心よりお詫びを申し上げるとともに、適切な工期設定を今後の(人生の)課題としたい。


*3 本誌作成のための取り組みとして、他の同人合同誌ではあまり見られない(と思われる)ものをいくつか挙げる。

  • 〆切10日前にGoogleフォームにて「進捗確認アンケート」を実施した。参加人数が多く、〆切前後の対応がもたつく可能性があったため、ある程度準備をしておきたかったのと、勢いよく申し込んだのはいいものの、いざ書いてみようと思うとうまく進まず絶望している人がいないか確認したかったためだ。20人くらい絶望しているのではないかと思っていたが、実際には5人ほどで、世の人々は私が思うほど〆切で絶望しないことが分かった。なお、聞きかじった情報によるとこのアンケートで執筆を(本格的に)始めた参加者もいたらしく、原稿の進捗を生む副次的効果もあったようだ。

  • 初稿受領後の第一チェック、第二チェックで抜本的な書き換えの必要性をチェック担当者が指摘した場合は、著者とチェック担当者、主催でスケジュールを合わせて通話にてフィードバックを実施した。1〜2時間程度で終わるケースが多かったが、一番長かった参加者の場合、計3回合わせて約10時間に及んだ。また、テキストベースでチェック担当者と著者の間で熱い議論が交わされた原稿もある。

*4 本誌14章でいのこり氏が、考察をする脳内とそのアウトプットについて本格的に論じているので、参考にされたい。

*5 今回は「シェイスクピア」「Wikipedeia」など、かなり潜伏力の高い誤字たちが第三者チェックで捕捉された。しかし、これだけチェックしても、とんでもない誤字脱字がしぶとく生き残っているものである。やはり印刷工程で新たに誤字が生まれているとしか思えない。

4.構成

 ここまでは制作過程について述べてきた。ここからは、本誌の構成について説明していきたい。

4.1.寄稿作品

 文章は本稿も含めてちょうど99作品掲載している。98%の偶然と2%の微調整(ワガママ)のおかげで、スタァライトに縁深い数字となった。大変うれしい。勢いそのままの感想文から、本格的な調査レポートや文字数が(文字通り)卒論並みの考察まで、多種多様な文章がそろっている。

 また、文章作品に挟むようにして、「劇場版のここが好き」というテーマで募集したイラスト(漫画も含む)を18作品載せている。余談だが、イラスト参加者の間ではクロディーヌが大人気なので是非たしかめてみてほしい。なお、中にはイラストと文章の両方を寄稿している参加者もいる。

4.2.その他のコンテンツ

 寄稿作品以外のコンテンツもいくつか載せている。まずはここから2ページほどめくった先に掲載している「用語集」について説明したい。これは、「第四の壁」など、複数の論文に登場し、かつ説明が必要な場合がある単語をまとめて解説しているコーナーだ。最初にご一読いただければ、その後スムーズに論文を読み進めてもらえるのではないかと思う。もちろん、論文を読む中で分からない単語に突き当たったときに辞書として使っていただくのも大歓迎だ。

 次に「劇ス鑑賞100回越え猛者座談会」を紹介したい。こちらは、劇場版を映画館で100回以上鑑賞した猛者であるさいのさん(@makotosaino)と映画好きさん(@mainitiokiraku3)に、私とりーちさんが興味本位でいろいろとお話を伺った際の録音を書き起こしたものだ。半年以上前(2022年2月) に実施した対談だが、おふたりのヤバさは十分伝わるのではないかと思う。次第に鑑賞回数に対する感覚が麻痺していくのを是非味わっていただきたい。以上2パートの文章は主催チームの月嶹ぽらるさんに編集してもらった。
※「猛者座談会」は本誌にのみ掲載しております。

 最後に紹介するのが「舞台創造科アンケート」だ。こちらは、Googleフォームを使って集めた劇場版に関するアンケートの回答を、コラムという体裁で論文と論文の間に少しずつ載せている。設問には主催チームで考えたものと、本誌の参加者から募集して採用したものがある。アンケートの有効回答数は163(*6)、実施期間は2022年3月2日~ 3月20日。回答者のうち少なくとも60人は本誌の参加者だと思われる。匿名希望の方もいらっしゃるのでたしかではないが、残りの約100人はインターネットでアンケートを見つけてくれた野生の舞台創造科だ。

 ほとんどの設問はページ内に収めるために一部の回答だけを抜粋しているが、「あなたにとってスタァライトとは?」という設問だけはどの回答も削り難く、すべて掲載することにした。こちらはブックデザイン担当の6.5さんが「なんかこう、特別なページにしたいです」というあやふやすぎるオーダーからは信じられないような最高のページを作り上げてくださっている。必見です。
※「舞台創造科アンケート」は本誌にのみ掲載しております。

4.3.論文の掲載順

 ここでは、最初に読むべき論文を見つけるヒントとして、本誌の構成を解説したい。各論文は、その論文でスポットを当てているシーンごとに、おおまかなグループに分けている。そのグループをそのまま章として、劇場版のシーン順に並べた。

 「最後のセリフ」以降は、

  • レヴューシーンを中心に扱っているグループ

  • 音楽や演出など、特定の視点から劇場版を論じているグループ

  • 劇場版全体について述べているグループ

  • コンテンツ全体に言及しているグループ

と大まかに狭い方から広い方へ向かっていくような順に並べた。最終章には、作品内のストーリー階層、およびそれを拡張して我々のいる世界にも言及しているような、メタフィクションをテーマにした文章を集めた。なお、映画館レビューなど、どの章にも入らなかった個性的な論文は「魂のレヴュー」前の「楽屋」章に収めた。

 感想文、軽めの考察文、重ための考察文といった具合に、後半ほど読み解くのにエネルギーと時間を要するような順に並べてある章が多い。特に章末に置いている論文の一部については、あまりの重厚さに一度読んだだけでは内容が理解しきれない場合があるかもしれない。何度か読むときっと発見があるので(経験談)、どうか一度で諦めずに何度か挑戦してみてほしい。また、Aを読めばBがより分かりやすいし、Bを読んでからAを読むとまた新しい発見があるような、お互い補完し合っている論文はできる限り近い掲載順になるようにした。したがって本誌をじっくり楽しみたい場合は、気になる章を頭から読んでいただくことをおすすめしたい。

 このほか、各論文のキーワードとなるような単語をタイトルの左下に並べてあるので、それを手掛かりに気になる論文を探してみるのも素敵な楽しみ方だろう。巻末に収録した著者コメント(*7)を先に眺めて、気になる著者の論文を読んでみるのも粋かもしれない。
※著者コメントは希望者の分のみ、その方の記事の最後に記載しています。

 いずれにせよ、最初から最後まで全474ページにわたって、スタァライトの話しかしていない、ということだけは強調しておきたい。


*6 ただし必須回答とした設問はごく一部であるため、設問によって回答数にはばらつきがある。

*7 こちらも6.5さんの力作だ。さりげなくあしらわれたトマトとひょっこりスズダルがとても好きだ。

5.謝辞

 前章までで「本書の使い方」としての本稿の役割は概ね果たせたことと思う。ここからは余談となる。

「列車は必ず次の駅へ――」

『劇場版 少女☆歌劇 レヴュースタァライト』より

 劇場版を何度も何度も鑑賞したり、果ては考察合同を作ったりすることは、おそらく「次の駅」に向かうことからはほど遠い行為だ。この作品の楽しみ方としては、邪道ですらあるかもしれない。それでも、2021年に公開された1本の映画を巡って、しがないオタクのしがない企画に大勢の人が参加してくれて、熱のこもった文章やイラストを寄せてくれて、作る過程でも本当に膨大なエネルギーを注いでくれた、ということは決して無価値ではないと思いたい。

 考察・解釈に正解や不正解はない。こと『劇場版 少女☆歌劇 レヴュースタァライト』においては、99人いれば99人それぞれにとっての『劇場版 少女☆歌劇 レヴュースタァライト』がある。私は私でしかないので、自分以外の感性で劇場版を捉えることは不可能だ。しかし原稿チェック作業を通して、考察を読むことは、自分以外の誰かを通してその作品を観る疑似体験のようなものかもしれない、と感じる場面が一度ならずあった。

 これを手に取ってくださったあなたにも、そんな体験が訪れることを心から願っている。そうして、願わくば『劇場版 少女☆歌劇 レヴュースタァライト』をもっと好きになるきっかけのひとつにしていただけたなら、発起人ならびにいちファンとしてこんなに嬉しいことはない。

 最後に、この場を借りて各位に御礼を申し上げたい。

 まず、合同誌主催未経験者の企画に乗っかって原稿を寄せてくださり、延び続ける作業期間、再演のように繰り返されるしつこい修正にも付き合ってくれた文章参加の皆さま。

 原稿を出すだけにとどまらず、日常生活の合間を縫ってチェックまで手伝ってくださり、時には主催チーム以上の熱量を本誌に注いでくれたチェック班の皆さま。

 素敵なイラストで本誌を彩って(そして主催チームのテンションも爆上げして) くださったイラスト参加の皆さま。

 快くインタビューを受けてくださり、その後半年以上も辛抱強く発行を待っていてくださった(そしてその間も劇場鑑賞回数を増やし続けた) さいのさん、映画好きさん。

 本誌に寄稿はしていないものの、アンケートに回答して企画を盛り上げてくださった皆さま。

 私が途中で放り投げたアンケートの編集を最後までやり遂げてくださったアンケート編集班の皆さま。

 主催チームがこなせなかった雑務や論文解釈などを快く引き受けて、本当にきめ細かくこなしてくださった高島津諦さん。

 作るのがやや大変な図表を、安心と信頼の技術で綺麗に見やすく仕上げてくださった円あすかさん、あさださん。

 「ACT おじさんのポーズをしたキリンを5日くらいで描いてくれる人いませんか」と募集を投げたら、一晩で大変可愛いキリンイラストを完成させてくださった足立エイダさん。

 果てしなく工数の多い告知ページ作成を担当してくださり、主催チームの思いつきにも「いいですね!」と乗っかってくれたぷるおさん。

 厳しいスケジュールの中、最終チェックで相当数のミスを見つけてくださった最後にして最強の砦、こと、カラウチさん。

 論文の章立てを決めたあとに突然湧いて出た「絶対にサイコーの章扉ページを作りたい」という私のワガママに応えるどころか、論文ページ以外のあらゆる装丁をまるっと引き受けてくださった6.5さん(目次のデザインを見ましたか!? 人は目次のデザインを見て感動で声をあげてしまうことがある、という学びを得ました)。

 入稿が差し迫ったタイミングだったにもかかわらず、「スタァライト独特の空の青さを使ったデザインにするなら、是非りたさんにお願いしたい!」という主催チームの願望に応えて表紙イラストを手掛けてくださったりたさん。

 初めての合同誌主催で右も左も分からない私を『合同誌が出来るまで(作り方)』というドンピシャすぎるnote 記事(*8)で導いてくださり、さらに厚かましくも直接送りつけた相談メッセージにも丁寧に即日回答してくださった環月紙袋さん。

 スタァライトのことを何も知らないのに、宝塚関連の事実確認をかなりノリノリで引き受けてくれた友人M。

 InDesign(編集ソフト)をゼロから勉強して、表作成などのこまごました作業を手伝ってくれた妹M。

 何より、私のワガママや思い付き、ガバガバのスケジューリングに散々振り回されながら、そして半年以上にわたってプライベートを大いに犠牲にしながらも、各々の持てる技術や知識をフル活用して一緒に本誌を作り上げてくれた主催チームの面々。

 100人以上が感想や考察に熱量を注ぐような、常軌を逸した同人誌を作る情熱を与えてくれた『劇場版 少女☆歌劇 レヴュースタァライト』に携わるスタッフ、キャスト、関係者の皆さま。

 そして、この酔狂な本を手に取ってくださったあなたに、心より感謝を申し上げます。


*8 echo, note, “ 合同誌が出来るまで( 作り方)”, 投稿日 2021年3月25日, 最終閲覧2022年7月26日


著者コメント(2022/10/10)

出会ったその日から私の心のポジションゼロに刺さり続けているかけがえのない作品、スタァライトでいつか考察合同誌を作りたい、という野望をこんなにたくさんの方と叶えられるとは夢にも思っていませんでした。いち観客としてワガママと欲張りをこれでもかと詰め込んだ本になりました。大変じゃなかったとは言えませんが、それも気にならないほど楽しい時間でした。関わってくださった皆さま、本当にありがとうございました。

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