見出し画像

ケララ・コチでワーケーション

年末年始。私以外、会社の日本人の方々は日本にたっぷり10日ほど帰国する。お客さんも休暇を取る人が多いので、私もこの期間デリーに残る意味はない。ならば暖かい南の方へ行こうじゃないか。ということで、ケララからのワーケーションを勝手に実施してみた。

フライトでコチに到着。デリーの寒空から一瞬で南国の青く開けた空に変わって、何とも開放的な気分だ。
空港の外にゆっくりと座れる場所があることに驚き(デリーは人とイヌと野良ドライバーでごった返している)、Uberの運転手が流暢な英語を話すことにもっと驚き、
さらに、Uberの運転手が”Sorry I had to talk with my wife. ”と電話をとることに対して断りを入れることに本当にここは同じインドか!?と信じられなかった。


コチ朝散歩

ホステルのドミトリーで一泊し、次の日の朝散歩出てみる。
ここは海の近くのおばあちゃんの家のにおいがした。
海に近いこんな香りがするのか。
ドライヤーもなかったが、扇風機の風で髪を乾かせるくらい暑い。
風も生ぬるくて心地良い。

海に向かって歩いていると、この街が一瞬で好きになった。
人と建物と植物と海が気持ちよく調和していて、街全体が柔らかな雰囲気を作っている。
人もしつこくないし、変な売り込みしてこない。

そしてシークの人、ムスリム、クリスチャンもヒンドゥーの人、あらゆる宗教の人が隣り合って住んでいて、なんの違和感もなく生活していてなんてダイバーシティに富んだ場所なんだろうと思った。

網で魚を獲るフィッシャーマン
朝はチャイとサモサで決めるのが鉄板みたい


滞在したホステル


オーナーの人、お手伝いの人が良い人達で、日中ずっと共有スペースで仕事していたけど、邪魔者扱いもされず心地良かった。インテリアとかも全てがsuper aestheticではないけれど、全体的に調和が取れていて素敵な空間。
夜映画が流れていたり、誰かがギターを弾いていたり、旅人同士が集まって談笑したり、タバコ吸ったり、酒飲んだり、カードゲームしたり、各々の時間を楽しめる空間がそこにはあった。

ツリーはどのタイミングで片付けられるのか気になってしまう

ホステルで出会った人々

2週間近く泊まっていたので、ここにやってきて、去り行く人を何人も見届けた。

1人印象に残っている人の話。

彼は物静かな人で、日中も外に出ずに動画を見たり、誰かに電話したりしていた。みんなで談笑している時も窓際でずーっとスマホいじっていた。
そして私といい勝負なくらい長くここに泊まっていた。
ある日、ものすごく体調が悪くなって1日中寝ていた日があった。少し外の空気を吸いに行こうと思って窓側でぼーっとしていたら、その男の人が話しかけてきた。
"ランチ食べた?"
"いや、実は体調が悪くて、、、”と言ったところで、彼が昨日看護師なんだと言っていたことを思い出した。
病院行くのも、薬を買いに行くこともできず、寝ることしかできなかったので、もう彼にすがるしかなかった。”なんか腹痛と熱に効く薬持ってない?”
彼は腹痛の薬を探してくれたが、無かったらしく、唯一持っていたすごく臭いビタミン剤をくれた。それと、”お腹を壊した時にはPanDっていう薬が効くよ、もし見つけたら買ってくるね”と言って出ていった。
弱ってる時に優しくされると普段の2倍くらい効くから危険だ。
結局薬屋さんは見つからなかったらしいが、その後歩けるようになってなんとか薬をゲットし、飲んだら面白いくらいに効いて回復した。
その後一緒にカレーを食べに行き、色んな話をした。
"僕は孤児院で生まれ育った。必死で勉強して看護師になったんだ。"
"ここで時間を過ごした後、イギリスに行くんだ。今は月給3万ルピーくらいだけど海外では2倍以上になる。インドは看護師の給与が低すぎる。" インド人の海外への人材流出、頭脳流出は昔から問題になっているが、人の命を支える仕事がこの給与だと、やっぱり他の国に行っちゃうよね。英語話せるし。

最後に一緒にフィッシュカレーが美味しいレストランに行った

失礼な言い方だが、今まで旅先で出会った人は”しつこい、うるさい、人の話を聞かない”ばかりだったので、こんな会話ができる人は初めてだった。イギリスでの生活、楽しめてると良いな。

その他にも南インドカレーを習いに来た岐阜出身のシェフ、罪と罰を読んでいたインドを旅する大学生、バンガロールのIT企業で働く男の人、ビエンナーレを見に来たキュレーターの女性、色んな人でここに来ている人達に出会い、話を交わした。

ポンディチェリから来た2人、建築を勉強しているとのこと


Kochi-Muziris Biennale

運の良いことにちょうどコチで2年に一回開催されるアートビエンナーレの時期とかぶっていた。
国内や海外のアーティストの作品がコチの植民地時代の雰囲気を残す建物と共に楽しめる。

アーティスト達のぶっ飛んだ世界観についての説明を英語で読むと結構疲れるので、何日かかけてアーティストの世界観に浸った。

自分の思考をはるかに超えた作品は鑑賞者を平等な存在にしてくれる。凝り固まった考え方をフラットにしてくれる。インドに来てしばらくアートに触れていなかったので、久しぶりにこの感覚を味わえて、胸がいっぱいになった。




一年経っても、インドで1番お気に入りの場所は?と聞かれたらケララ一択なほど、大好きな場所になった。今後忙殺されたら、ここのゆったりと流れる時間のことを思い出そう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?