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メンヘラコンカフェ嬢(30)の行方


正確にはもうあと数ヶ月で20代が終わろうとしている。
19歳から20歳になった時、それほどの感動もなかったけれど20歳までに死のうと思っていた私は生きていた事に面をくらった。なので30歳まで期限を延ばした。
それから時間が経つにつれ、何度か死のうとはしたのだが、去年の一件でかなり王手にはかかったものの、死ぬ事は遂に叶わなかった。

22歳の時、初めてコンカフェで働いた。
それまでは興味があったものの、接客業をしたことがなく、また容姿に自信がなく人見知りをする自分にとっては夢のまた夢だと思っていた。
だが、ひょんな事から友人に誘われコンカフェで働く事になる。
その時はまだ同年代がたくさんいて、なんとなくここに居ても良いのだろうという感じでだらだらと3年ぐらい在籍していた。
自分はよくしゃべる人間だった。だから意外と続いた。
就職を機に辞めた。
最終的に月一度程度の出勤になっていたし、それほど未練もなく卒業式もしないで辞めた。

27歳の時、友達の働くコンカフェでキャストが足りないから手伝ってほしいと言われ、週末だけ働いていた。他のキャストは10代が多く、初めてのアルバイトの人も多かったから、ある程度経験のある自分はお手伝いキャストとしては丁度よかったんだと思う。
入った時は、丁度自分と同じ歳の人が卒業するところだった。
2年ぐらい在籍したが、そこも転職を機に辞めた。卒業式はイベント希望を出したもののさせてもらえなかった。別になんでもよかったが、それなりに客もついてたから最後ぐらいなんかやらせて欲しかったとは思った。

そしてその後営業職をしており、その間はWワークでもコンカフェには携わってない。
けど大学時代から友達に誘われスナックで働いていた。ここでの接客が一番辛かった。私は性根からオタクだったので、オタクであることが活かせない職場は辛かった。友達がいるからやってた。
その頃雇われ店長やってる友達にコンカフェ系のバーで働かないかと聞かれたけど時給800円と聞いてやめた。
友達がスナックを辞めた。程なくして私もフェードアウトする様に辞めた。

そして、去年。
先の事件により、失職。
もう、なんか、どうでもよかった。生きることが。

どうせ死ぬなら好きなことやって死のう。
そう思ってそれまで貯めてた金の殆どを使って旅行しまくった。初めての海外でいきなりソロ車中泊をキメたのは良い思い出だ。

そんなこんながあって、彼氏(20)と出会い。
お互い仕事をやめ次の仕事を探す時。
彼氏にコンカフェで働いてるところが見たいとか言われる。
年齢的に無理だろと私(29)は思ったけど物は試しようだと思って応募、その場でオーナーに気に入られて合格してしまう。コンカフェというかコンカフェっぽいガールズバーだけど。
待機でも時給1000円、お客さんが来たらバックついて大体時給1800円を超える職場なので無職からしたら神のような待遇だった。
いざ戻ってみると、アニメやゲームの話で盛り上がるのは楽しく、ゴルフやスポーツの話を無理矢理しなくていい職場はやはり天職だった。
女の子もみんな良い子でかなり歳上の私に対してもフラットに接してくれてすごくありがたい。ちなみに私は歳を隠していないのだが、夢が壊れるらしいので最近は気持ち永遠の20歳(大人の事情)と言っている。

そんなこんなでコロナ渦になり、物理的にシフトが減る。お店は週4日開店になり、ベテラン2名以外はシフトを切られて私は週3日働いている。
朝まで開いている日もあれば、最近は終電前に返されることもしばしば。
ノーゲスの日の方が多くなった。3時間で帰されると、電車賃差引いてその日の稼ぎは2000円ほど。
私は他にフリマと株式で利益をあげたり減らしたりしているけど、固定収入は現状バイトだけなので、これではなかなか難しい。
今の職場は好きだけど、新しいバイト探そうかな。そう思っていた。

そんな時、コンカフェ時代の友人に一緒に働こうと誘われた。
私は二つ返事でokした。友人とはいえ、4歳も下の子だが。

そんなわけで、今更、働けるコンカフェを探している。受かるかは、知らない。

傲りなのはわかっているけれど、私はどう見ても30には見えない。何人接客しても、初手で年齢を当てられる人間には出逢わない。
だから今の職場も即採用された。バイトだろうが正社員だろうが即戦力が欲しいことに変わりはない。
髪型や服装のせいもあるだろうが、とにかく昔から人権欲しさにアンチエイジング含め美容医療に結構お金を掛けていて、実際それが効果あっただけの話なのだ。脱毛とかまで含めると100万では全然足りないぐらいには。ゴリゴリの整形はやってないので逆にいえばその程度とも。
だから当然なのだ。なにもやってない人たちと違うのは。
彼氏と並んでも全く違和感がないし、20歳未満と言われることも多い。

でも彼氏(21)や職場の子(19〜24)と長いこと一緒にいると、自分が全然違う存在である事を認識せざるを得ない。パッと見誤魔化せても、絶対的に違うものがある。肌もみんな綺麗だ。私も綺麗とは言われるけどあくまで同年代の中で、程度だと思う。
ある日彼氏にほうれい線を指摘されてその足でHIFUをぶち当てヒアルロン酸をぶち込んだ。
でもマリオネットラインの影とか、消えることはなくて。
そんなものは20そこらの子にはない。
多分、そのうちクマとかも出てくる。なんなら私と同い年の友達がこの前整形して取ってきたぐらい。
最近太りやすくなった。18歳の時に比べて6キロも増えた。人生で初めて50キロ突破してそこからえげつない増え方をした。
食べるのが好きだったけど、食べるのを諦めることにした。元々週7ラーメン食べてブログを書いてたような人間が、ラーメンを一切食べなくなった。
7キロ痩せて、体重は戻ったしウエストも60未満に戻った。安心した。
…全部25歳以降の話だ。

それを多分コンカフェ界隈のみんなはまだ知らないんだ。
25とか26あたりの友達が最近太りやすくなった〜とか太った〜とか見るとそうだよね、、って共感する側に、その年齢を飛び越えていつの間にかなってしまった。

コンカフェにいた女は割とすぐ結婚するか全くしないでコンカフェ界隈に居続けるかのどちらかが私の周りでは多い。
私は上がろうとして、でも楽しくて戻ってきてしまったほう。
まともに週5日学校に通う体力すらないので、正社員で働くことは元から向いていないと思っていたけど、去年の一件以降、もう普通に働くことも出来ないような気がしていて、最近はもっぱら文章を書いている。30歳目前にして、正社員歴はなんと3年である。お疲れ様というかんじ。

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コンカフェの界隈に居続けたわけでも、しがみついたわけでもない。だから私のフォロワーなんて、4桁そこそこしかいない。6年も界隈にいたのに、だ。お店として個人アカウントをやらせてもらえなかったのもあるかもしれない。
だが、昨今のコンカフェはフォロワーの数で合否が決まるらしい。現代風だななんて思った。
前の会社では、フォロワーが4桁の一般人である私は褒められていた。なんで4桁前半で褒められるのか理解出来なかった。でもネットに触れてない人から見たら、すごいのかもしれない、なんて、思ったけど私の同期の人間は、フォロワー20万とか10万とか、少なくとも5桁が多いので、やはり自分は少ない。

つまるところ、何もないのだ。私には。
まともな職歴も、自分の客もファンも、お金もなければ現状を変える意志もない。ただ、ゴミクズのような、ただ、好きな仕事をして死にたいだけの、コンカフェ嬢だ。

一応生き延びる為に裏方になりたいと思って、web屋になろうかと最近は画策しているものの、それが実ることはあるのかはわからない。

自分の誕生日なんて、死へのカウントダウンでしかない。
次に働くコンカフェが、自分にとって最後だろうな。
30歳までしか、選択肢のないその応募欄をみて、思う。
もしコンカフェを完全に上がったら私は死ぬんだろうかとよく考える。
20歳の頃、私は30歳の頃には当たり前に結婚してると思っていた。現実は全然違う。

自分の老いがというか、好きなことを出来なくなることが、怖い。
好きな格好好きな仕事をしてなんとか生にしがみついているのに、それが出来なくなったらこの世界で生きている意味なんて全然ないと思う。生きてくことに魅力を感じられない。元から普通ではなかったけれど、普通の人生に憧れもなにもない。けど、結婚して子供のいる同年代は幸せそうだし、きっと幸せなんだろうな。ちゃんと生きてこなかった私にはそんな権利は無いと思うけれど。


なるようにしかならないだろうが。
最後の仕事を探している。なければ今の職場が終の住処だ。いよいよ追い出されるまでは居座ると思う。

元から人生に未練などなく、楽しかったで死ぬ予定だったのだ。去年。
それがほんの少し延びた。延びて楽しかったなと思う。
生きてる限りお金と仕事の話はついてまわる。それはきっとずっと苦しいことだ。そこまでしての、生への執着が最初から存在しない。

自分の誕生日が近付く度に死への予感を感じている。限られた世界にしか居場所のなかった哀れなゴミの、最後の願い。
せめて、楽しい人生で終わりたい。
もちろん未来を考えるならば、転職の為に動いた方がいいだろう。
だけれど、私は派手髪にすることでメンタルを保ってるような人間だから、多分普通に生きるのは向いてない。だから限界が来るまでここに居るしかないんだろうな。みんな卒業したらどこにいくんだろう。私よりもタトゥーもピアスもやばいコンカフェ嬢もたくさんいるがみんなどうやって生きているのか。謎。

そんなことを考える秋の夜更け。
明日はどっちだ。

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