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因果交流電燈の青い照明

大学の頃 宮沢賢治の春と修羅の序文が
気に入り 暗記していました

それはこんな風に始まります

わたくしという現象は
限定された有機交流電燈のひとつの
青い照明です
あらゆる透明な幽霊の複合体
風景やみんなといっしょに
せはしくせはしく明滅しながら
いかにもたしかにともりつづける
因果交流電燈のひとつの青い照明です 
ひかりはたもち その電燈は失われ

これらは二十二ヶ月の
過去と感ずる方角から
紙とインクをつらね
すべてわたくしと明滅し
みんなが同時に感ずるもの
ここまでたもちつづけられた
そのとおりの心象スケッチです

それについて人や銀河や修羅や海胆は
宇宙塵をたべ また空気や塩水を呼吸しながら
それぞれ新鮮な本体論もかんがえませうが
それらもこころのひとつの風物です

以下略

すべてがわたくしの中のみんなであるように
みんな各々の中のすべてですから

と賢治は言っています

こんな風に周りの現象を捉えると
普段と違った風に感じられるのではないかしら

一人一人がそれぞれの宇宙を持っていて
因果で交流し重なり合い点滅している
青い光の照明で外側の電燈はいつか 
失われるけれど光は永遠に保たれる

それぞれの電燈には個性があり
光の反射の仕方も異なるけれど
光をたもつ電燈であることには
変わりがない

互いが互いを映し出したり
共通に感ずることもあるけれど
それぞれ各々の中の全てなのです

この世界の狭い価値観に捉われずに
出来るだけそのままの有機交流電燈の
光を捉えたいなと思っています


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