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2021 / 2 / 26 の星の声


「地球しよう」


実はこのところ、地球の周辺を練り歩くようにウロウロしている光があります。もしかすると、地球上からは人工衛星のように見えたり、はたまた空飛ぶ円盤だと思われたりするかもしれません。解釈としては、どちらかと言えば後者の方が近いです。ただ、その実体を知ったら、たくさんの人々が気絶してしまうのではないでしょうか。


光をじっくり観察することにしましょう。大きなひとつの光に見えるかもしれませんが、目を凝らすとおびただしい数の何か、というよりも誰かがいることがわかるはずです。彼らの一挙一動から光がこぼれています。その光が重なり合って、大きなひとつの光に見えるのです。


「もうすぐね」


光をこぼす誰かがそう言いました。せっかくですから、その存在にクローズアップしてみましょう。

どうしても性別の特定ができないので曖昧な言い方になりますが、彼もしくは彼女は、人間とほとんど同じ姿かたちをしています。五体だけでなく、顔の部位まではっきりと確認できます。強いて地球上の人間との違いを挙げるとするならば、彼らはみな発光しているのです。


彼らはみな一様に地球の外側をゆったりと歩きながら、片手にワイングラスに似た器を持っています。その繊細な持ち手に、きらめく繊維のように滑らかな指を添えています。優美という言葉は、彼らの所作のためにあるようです。

器の中にはさまざまな色に変わる光の液体が入っています。彼らはそれぞれのタイミングでそれに口をつけるのですが、そのたびにあまりにもうっとりとした表情をするので、見てはいけないものを見るような気持ちにさせられます。ここまで感じ取ることができれば、彼らが誰なのかは明らかです。

彼らは愛と美を司る金星の人々にちがいありません。しかし、彼らは地球の周りをうろうろ歩いて一体何をしているのでしょうか?

彼らの会話に耳を傾けてみましょう。彼らがひとつしゃべるたびに、あでやかな全身から光がほとばしる様子を思い浮かべると、より聴き取りやすいかもしれません。


※「」内はセリフ、()内は効果音のようなイメージです。



「もうすぐね」   (キラキラキラァ〜)


「あぁ、もうすぐだ」   (キラキラふぅわぁっさー)


「思ったより、遠かったわね」   (シャンシャンひらひら〜)


「この距離感が、たまらない」   (キラーーーーーーン)


「わたしたちは、最先端」    (キラキラしゅぱーーーん)


「宇宙のトレンドの、その先を行く者」   (ぴっきゃーーーーん)


「優雅、高貴、上品……それがわたしたち」  (しっとりキラキラァ)


「あぁ……」    (うっとりキラキラァ)


「さあ、地球しに行きましょう」    (ドヤキラキラドヤァ〜〜〜)


金星の人々の特徴のひとつは、少々言葉足らずなところかもしれません。彼らは、シンプルで端的な言葉こそ美しく、それですべてが伝わるものだと確信しています。実際に金星の世界のコミュニケーションは、ほとんど言語を扱わずに吐息混じりの声で表現を極めることに重きを置かれているようです。太陽系の隣人とはいえ、地球と金星では大きな違いがありますね。

金星は、地球が誕生した後に生まれた地球よりもいくぶん若い星です。ただ、人間が住み始めたのは金星の方が早いようです。ですから、金星の人々は地球の人々よりも「先輩(キラリン)」だと思っています。

特に彼らは太陽系において「愛」と「美」を司る役割を担っていますから、宇宙を構成するエネルギーにより近い「愛」と「美」という感覚を地球に「教えてきた」自負があるのでしょう。


そんな彼ら金星の人々は、最近の宇宙全体の動向に相当に興味を持っているようです。

ここ1〜2年の地球という生命体の成長速度の変化、それに伴って地球で内発的に生まれた、これまでの宇宙に存在しない「愛」や「美」のエネルギーを目の当たりにしたいと、別の銀河だけでなく宇宙のすみずみからたくさんの視線が集まっているからです。

そんな宇宙の流れを受けて、「宇宙のトレンドのその先を行く(自称)」の金星ではある言葉が生まれました。


それが、「地球しよう」です。


金星の人々が始めた「地球しよう」のムーブメントは瞬く間に宇宙全体に広がりました。その頃の日本ではとあるキャンペーンができて、日本中の観光業が一時的に盛り上がりましたが、宇宙では数々の星が「地球しよう」のスローガンのもと、地球にやって来ていたようです。

地球上では目に見える形であらわになっていませんが、宇宙に瞬く星々が「地球する」ことで、それぞれの星が持つ固有のエネルギーがより物理的に地球に送られることになりました。それが今後どのような形となってあらわれるかもまた、宇宙全体の興味の対象となっているようです。


さて、そんな一大ムーブメントをつくった金星の人々ですが、彼らはさらに踏み込んで、地球上で「地球する」ことを計画し始めています。その拠点の候補として最有力なのが地球の衛星、月です。

金星の人々は月の人々とよく口げんかをすることがありました。これまで、金星の人々の意思を地球へ伝えるためには、どうしても月の人々を経由しなければならなかったのですが、「愛」と「美」を何よりも重要視する金星の人々の声は、地球を熟知している月の人々にとって、少々扱いづらかったようです。

その理由は、地球にシーソーのような恒常性(ホメオスタシス)のシステムが存在しているからです。

金星の人々が「愛」と「美」のエネルギーを地球へ送り込もうとすると、そのシステムがきっかけで、「愛」の性質や「美」の性質と真逆のものがあらわれやすくなってしまいます。

そのことを事前に察知した月の人々は、金星の人々の意思をそのまま地球に伝えることはほとんどありませんでした。月と金星の人々はお互い似た性質を持ち合わせていますが、そりが合わずに口げんかに発展したのはそういう理由だったようです。

しかし、昨年(2020)の秋ごろにすべての月の人々が地球の海底に大規模な移住をしたことで、月という天体は現在、月ウサギ以外誰も住んでいません。そこに、金星の人々は目をつけたのです。

2021年2月27日土曜日に迎えるおとめ座の満月以降、金星の人々は少しずつ月に拠点を移しはじめます。エネルギーの観点で見ると、金星のエネルギーを有する新しい月が存在するようになるという印象です。

果たしてそうなった時に、金星の「愛」と「美」のエネルギーは、月という天体を通じて、地球上にどのような影響を与えることになるのでしょうか。

金星の人々はエレガントに「地球しよう」としていますが、地球のシーソーシステムを通じて金星のエネルギーがあらわになる瞬間を待ちきれずに、全宇宙は穴があくほどに地球を見つめているようです。

おそらく、地上に生きる人類には少なからず影響が出るはずです。その傾向がわかりやすい形で現れる、2021年3月20日土曜日の春分までの三週間は、様子見をするのがいいのかもしれません。


《おまけ》
地球のシーソーシステムについては以前こちらに書かせていただきました。
おはなし会でおはなししたこと(周波数編②)


今週は、そんなキンボです。








こじょうゆうや

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