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シャベルとキクのお話 その8

このお話は、しゃべるの大好きシャベル(S)と、聴くの大好きキク(K)が、気になったことを2人で気ままに話した記録です。テーマも展開も予測不能。

シャベル(以下S) こんにちは。
キク(以下K) こんにちは。
S ねえねえ。
K なんだよ。
S 今日はさ、家族について話したい。
K 家族、なんでまた?
S いや、家族ってさ、なんだかいいもののように描かれてきたじゃない。親が子を思う気持ちが美化されて描かれることもあれば、子が親を思う気持ちもきれいに描かれてきた。
K どこで描かれていたことを想定している?
S 例えばドラマとか、映画とか?
K うん、まあドロドロしたものもあると思うけどね。
S なんかいろいろ組み合わせがあると思うんだよな。具体的にどの作品がどうという視点でデータをとったわけではないけれど、親子の素敵な愛情を描く若い人向けの作品もあれば、親子の確執を描きつつ新しく芽生える愛はかなり綺麗に描くものもある。新しく芽生える愛って、結局家族になる可能性があるものなんだけど、そこも実際より綺麗に描かれていたりする。
K なになに、どういう意見をお持ちなの?
S 人によって家族の捉え方って様々だよね、と言いたいだけかも。
K それはそうね。親の言うことが絶対と思ってきた人もいれば、反発してきた人もいるし、愛情を感じる人もそうでない人もいるだろうし。
S 私はさ、親には感謝してるよ。一番感謝しているのは、世間の目を教えてくれたこと。
K どういうこと?
S 世間様で評価されることあるじゃない?いい大学に入る、いい会社に入る、などなど。そういうわかりやすい評価基準で人が見られていることを、他でもない親から教わった。
K なんか皮肉っぽいな。親にそうしろと言われたの?
S やっぱり、テストでいい点数を取れば褒められるじゃない?いつの間にか、自分が何をしたいかという気持ちは隠して?、いや、よくわからなくなっていった。そこはよくわからないものとして、蓋をして生きていくべきだと思うようにもなった。それより目の前のこの試験、みたいな。でも、いつからか、そういう追い込み方で頑張ることができなくなった。何のために、何をしたいから、これをする、という動機に向き合わなければ、自分を頑張らせられないと。
K なんか、最近テストに失敗したみたいな言い方だね。確かにそういうところあるよね。やりたいことないなら勉強していい大学に入れ、みたいな空気あったし。やりたいことって言われて、いろいろ提示されても、結局よくわからなくて、じゃあ数学の宿題するか、みたいな感じあったもんね。
S しかしそれも必要だったのかもしれない。大学以降は親から離れることができたから。家族っていうか、受験の話みたい。
K シャベルにとって、親との関係といえば、世間的に評価されることをして喜んでもらう存在、みたいな感じなのかな?
S そうかも。周りの人から評価されることをしてほしい、と親が思っていると、私は感じている。
K 実際どうなんだろうね?
S そういう面もあるだろうね。他方で、生きてたらそれでいいという気持ちもあるだろうし。結局思うのは、親の心子知らずだし、子の心親知らずということ。伝えないと、わからない。だって、大人になると、親が普段どうしてるかあんまり知らないことが多いじゃない?どんどん話さなくなるから。
K 私は、結婚まで一緒に住んでいたから、それなりに話してたけど、もっと早くに離れるケースも多いよね。
S 会わないと、話さないと、どんどん疎遠になっちゃう。たまにかける言葉が、世間的な評価基準だと嫌になっちゃう。でもそれくらいしかかける言葉がない、だって普段から話してなくて知らないから。
K 冒頭の、家族の描かれ方と関係する?
S そんなに綺麗なものじゃないと思うけど、あながち間違いでもない。要素の一つをデフォルメされている感じ?でもそれだけじゃないというか。自分が親になって、子どもに接するとき、必ずしも綺麗な気持ちだけを抱いて接することができるわけじゃない。やっぱり腹立つことも多いし、嬉しいこともある。
K 最近、子どもを持たない選択をする家族も増えているよね。
S それがかなり生きやすい選択にみえるんだよね。不確定要素が生活に入り込まないから、自分のやりたいことに集中できそう。でもさ、人口が減ったら大変だから子ども作るとか作らないとか、養子をとるとらないって、個々人の選択に影響するかな?結局その人たちがどういう選択をするかにかかっている気がする。そういう意味では、昔ほど、子どもがいないと肩身が狭い、みたいなことは無くなってきている気がする。
K 人生もう一度有れば、一人で生きていきたいみたいな?
S 自分が選択しなかった選択肢はいつだって惹きつけられるよね。たらればは楽しいから。
K 何の話や。これ。
S 終わろうか。さようなら。
K さようなら。

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