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君と一緒に見た桜がもう一度咲くころ

初めて人を好きになった。17歳。子供の恋愛って言われるかな。でも、あれを超える恋愛はもうできないと思う。それはまるで、閃光だった。

いつも会いたかった。いつも触れていたかった。嬉しいことがあると、綺麗なものを見ると、真っ先に伝えたくなった。

だけどずっと不安だった。いつも会いたかったのは、会わないとどこかに行ってしまいそうだったからかもしれない。ふとした瞬間に、もう好きじゃないって笑顔で言われそうで怖かった。だから好き同士なのに泣いたりした。あの頃の私は、失恋ソングばかり聞いていた。

私の夢は君と一緒に花火を見に行くことなんだって言ったとき、花火の季節には隣にあなたがいないこと、もうわかってた。なんでだろうね。

だからああやって裏切られたときも、やっぱりって思った。私と彼の今までの日々は最初からここに向かっていたんだ、最初からこの結末は決まっていたんだと思った。揺るがないという約束のはずの過去が揺らいだ。苦しくて、悔しかった。

その日々は暗闇だった。毎日、本当に毎日、彼が夢に出てきた。それに夢の中の彼はいつも私に、泣きそうな顔で、ごめんねって言っていた。でも夢の中でさえ、私の欲しい言葉を言ってくれることはなかった。

一人の時間が怖くてたまらなかった。音のない時間が怖かった。だからずっと音楽を聴いていた。考えることを無理やりやめさせないと、心が壊れてしまいそうだった。

そんな暗闇から抜け出せることはないってずっと思っていたけれど、時の流れは偉大で、残酷だった。君と一緒に見た桜がもう一度咲くころ、私は一つの失恋を乗り越えていた。君が新しい女の子と桜を見上げていることを知っても、心は大丈夫になった。

思い返せば私は、何の根拠もないのに、最後に選ばれるのは自分のような気がしていた。映画のヒロインになれる気が、ずっとしていた。でも、選んでもらえる人がいるなら、選んでもらえない人がいる。そんな単純なことを、忘れてたんだ。

私たちは弱かった。お互い自分を無条件に受け入れている人を探していたね。周りの目がどんどん厳しくなるにつれ、比例するように世界が狭くなっていった。あの頃の私には、文字通りあなたしかいなかった。

自分の嫌いなところも隠したいところも全部愛してくれて嬉しかった。でも、あなたと幸せになることはないって、ずっとわかってたよ。


今なら言える。私にたくさんの感情を教えてくれて、ありがとう。少しの間、私を愛してくれて、ありがとう。たくさんのキラキラした思い出をくれて、ありがとう。愛を教えてくれて、ありがとう。

もし生まれ変わったら、また会いたいです。今度は、ちゃんと出会おうね。大好きでした。

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