見出し画像

7冊目 わたしの美しい庭

本の情報

わたしの美しい庭
著者:凪良ゆう
発行所:ポプラ社 ISBN:978-4-591-17206-3
装画:植田たてり デザイン:bookwall

今回は、文庫版が、ポプラブッククラブ2021年12月のなんとおまけとして届きました。単行本も読んではいたのですが改めて再読しました。最初に読んだときは百音が見つめるきらめく世界を想像して涙しました。さすがに2回目ともなると落ち着いてはいましたが、やはりこみ上げるものはありますね。装幀デザインも単行本そのままのようでしたが、キラキラホログラムが素敵でした。

左が文庫本:右側が単行本

縁切り神社と登場人物

 「縁切り神社」とあまり印象の良くないネーミング。本作はマンション屋上にある神社が舞台となる。実は「御太刀神社」とありがたみのありそうな名前を見た時、由緒ある御神刀がなんでも悪いものを切ってくれそうだと安心しました。神主の統理が手入れを続ける屋上の庭に行ってみたいと思える素敵な場所。
 もちろん主役は百音なんだろうけど、統理も路有も魅力的で、みんな名前の由来が気になるほど素敵な名前。カタカナ読みでも音の響きはいいなと思いました。桃子さんや基くんも含めてそれぞれ個性的。そんなみんながそのままでいられる関係性にはうらやましくもあります。

感じたこと

 最近では「LGBTQ」とか「多様性」という言葉がよく使われるようになりましたが、人に興味を持てば持つほど、同時にそんな簡単なものではないなとも思います。いつだったか、故藤山寛美さんが「思いやりではだめだ、思いあう心がないと」と講演で聞かせてくれた言葉が想い起こされました。ちょっとでもずれると合わない。
 それだけに百音と統理のようにお互いを認め合う姿にきらきらと輝いた世界のかけらが見えます。関係性なんて型にはめる必要なんてないんだと改めて感じさせてくれます。
 みんな違ってていい。みんなの心にからまった糸が断ち切れていくようで優しいこの小説の世界にいつまでも浸っていたいと思わせてくれる作品だと思います。そしてなかなか自分のことを認めてあげられない人にとっては、自分を許してあげるきっかけになってくれるかも。
 願わくば、この本を読んで癒された人たちが、自らだけでなく他の誰かを癒すことできるようになれますように。

恒例の読了ポエム

お互いの
手を取り合い
認め合える
美しい庭は
今はただ
わたしたちだけの
小さく愛おしいもの
地球という箱庭が
誰もが自由に
手を取り合い
認め合えるような
美しくきらめくものに
なればいいのに

#わた庭  自身の読了ツィートより

これが今年最後の文芸部活動でしょうか。ありがとうございました。
来年も続けていければいいなと思っています。

この記事が参加している募集

読書感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?