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父を送る

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2022年の冬に亡くなった父親との、親一人子一人で歩んだ最期の半年間を振り返って綴りました。父親は在宅介護ではなく施設へ入居したので、看取りとも介護とも少し違いますが、誰にでもい…
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2023年7月の記事一覧

父を送る(1) プロローグ

子供の頃、土曜日と日曜日が大嫌いだった。 土曜日の昼はいつも学校からの帰り道、家が近づく…

star_of_bba
11か月前
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父を送る(2) 浸潤

夏が始まったばかりの週末、父親から電話がきた。出ると息切れした掠れ声で息苦しいんだ、と言…

star_of_bba
11か月前
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父を送る(3) 訪問

遠出した翌週、父親に電話を掛けて実家に向かった。悪いけど迎えに行けないから、と言いかける…

star_of_bba
11か月前
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父を送る(4) 最初の呼び出し

その後二週間ほどは父親からの連絡も特に無く、いつも通りに過ごした。実際に会ったときの父親…

star_of_bba
11か月前
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父を送る(5) 病院からの説明

病院との約束の時間になった。通常の診察とは違って、医療相談室というところに行くらしい。外…

star_of_bba
11か月前
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父を送る(6) 施設からの説明

駅に着いてすぐ阿部さんが教えてくれた施設の担当者の携帯に電話した。今朝、○○病院から連絡…

star_of_bba
11か月前
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父を送る(7) 入院

父親が入院するまでの間、ふとした瞬間に病院で見た父親の思ったより元気そうな歩き姿を何度も思い出した。本当に気管切開する必要があるのだろうか。検査しても何ともなかった、と言っていたのだから父親の息苦しさは数値としては何も表れていないはずだ。喉の違和感で苦しいように感じているだけなのではないだろうか。気管切開について何度もインターネットで情報を検索しながら疑問を抱え続けた。 だけど今更もうどうにもできない。父親は主治医をすっかり信用し切っている様子だし、今までろくに寄り付かず何も