オフィスを飛び出して、現場でホテルをつくるお話。 / 渡邊 加奈子
Staple’s note、投稿の第三走者としてバトンを受け取りました、渡邊加奈子と申します。第二走の小林は街の開発を担う一方、わたしは運営側を担う日々。
『Stapleという会社にいながらにオフィスを飛び出し、ホテルを作る。』そんな働き方に興味を持ってくださった方は、読んでいただけると嬉しいです。
まずは私のバックグラウンドを。
せっかくお話するのであれば、ここまでの私のキャリアについて少しばかりお話させてください。振り返れば私の人生、ほとんどが【宿】に纏わるものでした。なんなら小学生の時の夢も「女将になること」だし、その夢を守り続け育った私(真面目か)は、高校卒業後にホテルスクールに入学、その後大手ホテルや旅館の現場を経験します。
文字面は順風満帆に見えますが、ところがどっこいホテルを転職すればするほどキラキラと見えていたホテリエとしての夢は打ち砕かれ、夢半ばでホテルで働く道を諦めた24歳の私は全く違う世界を求めて東南アジアへ飛び出すことに。そこでは途上国のプレゼンスを上げることをミッションとしたセレクトショップを日本人パートナーと共同起業、ブランドの立ち上げ・他店舗展開・スタッフの育成など、いわゆる前線ではない、“開発&運営の裏側”を作ることに5年間従事しました。
そんな中、「ホテルだって表舞台を支える裏舞台を整えることができれば、現場環境は変えられるんじゃなかろうか…!」との思いに至り日本に帰国、Staple代表 岡雄大との出会いをキッカケに宿に関わる第二章をスタートすることとなりました。
Stapleの現場運営者としての役割
わたしは現在、兜町にある『K5』という100年続く歴史的な建造物の中で、ホテルの運営責任者をしています。主な業務内容としては、日々ホテルのオペレーションを行いながら、街とK5の関係性を構築したり、“新しいホテル運営会社”をチームと共につくる、そんなお仕事です。
Stapleという会社の一つの強みは、開発から運営までを一気通貫で行うこと。そして単点ではなく、その街にある複数の点(魅力)を発掘し、それらを繋げて線に、面にして街づくりまでを行うこと。わたしもK5の開発・開業前から携わることができたので、「ホテルは作って終わりではない。完成してからが始まりで、そこからがスタートラインなんだ」とまざまざと知った上で、ホテル運営をスタートすることができました。
だからこそ、2020年2月に開業し、紆余曲折、すったもんだしながらもここまで走ってきた私たちは、「運営を日々積み重ねていくこと」がいかに根気がいることかと身に沁みているし、開業時のあの瞬間の熱量を、どうすれば形を変えながらでも数十年後の未来に継承していけるのか。そう模索しているところです。
“ここの角度が10度違ったら、K5じゃないんです”
忘れられないシーンがあります。それは客室(ルームス)チームが新しく入ったスタッフに、『ここの角度が10度違ったら、私たちが作りたいK5ではない』と、鏡の角度を絶妙に調整しながら語っていた場面。
ド変態なこの発言に吹き出しそうになりながらも、それと同時に、「バトンは渡っている。」そう確信できた瞬間でもありました。
私たちK5は、トレンドと共に生きるのではなく、刻々と刻まれる時間と共にあり、ファストではなくスローに、ニューではなくヴィンテージに、ブームではなくムーブメントを作っていけるブランドでありたいと強く思っています。だからこそ、いかに、その時々の瞬間風速的な流行りに流されることなくこの想いのバトンを数十年後のホテリエたちに継承していけるか。形は変われど、淀みなく日々を紡げるかが、開業フェーズを終え運営フェーズを担っていく私たちが作っていきたい文化でありミッションなんだと心から感じています。
私たちがこれから行っていきたいこと
私たちは、ホテルの現場チームのプレゼンスを上げていきたい。長く楽しく、未来への可能性を持って働けるホテル運営会社を目指して取り組みたい。そのためには街づくりにも積極的に参加する姿勢を持ちたいし、長期的にホテルで働くビジョンを描くのであれば、「私たちってホテルをつくっているというより街つくっていますという感覚の方が近いよね」と言っていられるチームで在りたいなと思っています。
さいごに。
Staple代表 岡について。背も高ければ器も広い彼は、基本的にやってみなさいの精神の人です。機会とチャンスを与えて、そこから先、やるかやらないかはあなたが決めなさい、やるなら責任持って成し遂げなさい。そんな代表です。私たちチームは社会に与えたいインパクトを自らで考え、行動する思考を身に付けることができているなと感じるし、そのチャンスを与えてくれるこの会社にとてつもなく感謝しています。興味がある方はご連絡お待ちしてます😎
あっつあつのnoteになってしまったことに相変わらずな自分を恥じつつ、次のバトンは、開業時のオープニングスタッフとしてK5にジョインし、現在はStaple本社に戻り開発を担いK5のAsset Management, Revenue Management, Salesとしても大活躍中の私の弟分、園部にバトンを渡します。
みなさまご拝読ありがとうございました。またこのStaple's noteでお会いできるのを楽しみにしています!
Written by Kanako Watanabe