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hidekのエンジニアと長話 第6-2回【全文書き起こし】~ゲスト:元UUUM CTO BTO (尾藤正人)氏~

stand.fmで配信中の「hidekのエンジニアと長話」6人目のゲストは、元ウノウCTO・元UUUM CTOで現在は技術顧問やエンジェル投資家をされている尾藤正人さんです。

「hidekのエンジニアと長話」は、メルペイVPoEのhidek(木村秀夫)さんをメインパーソナリティにお招きし、ゲストエンジニアとともに作っていくスペシャルトーク番組です。

第6-2回の今回は、元ウノウCTO・元UUUM CTOで現在は技術顧問やエンジェル投資家をされている尾藤正人さんをお招きして、技術顧問やエンジニアの組織づくり、面接などについて語りました。

※本記事は、2021年5月7日にstand.fmで配信を開始した番組を書き起こしたものです。

ゲスト
尾藤正人(BTO)氏 @bto
昔: Vine Linux SPARC版の開発・未踏ユース採択・ウノウCTO・UUUM CTO
今: 技術顧問数社・エンジェル投資数社・未踏ジュニアPM

メインパーソナリティ
hidek(木村秀夫)氏 @hidek
株式会社メルペイ VPoE(Vice President of Engineering)

パーソナリティアシスタント
gami(池上)氏 @jumpei_ikegami
株式会社プレイド エンジニア

「技術顧問」という仕事

hidekさん(以下、敬称略):そうですよね。UUUMでご活躍なさって。今、どちらかと言うと、どこかに属するというよりは「技術顧問」という形で、いろいろな会社に携わっていると思うんですけど。今、何社くらい携わっているんですか?

尾藤さん(以下、敬称略):今ですね、そんなに多くなくて、4社くらいですかね。

hidek:そうなんですね。「技術顧問」っていう働き方も、この前、zigorouさんのときもちょこっと言ってたんですけど、結構最近で、あまりロールモデルがない中でやってらっしゃるのかな、というイメージがあるのですが。大変さとかってあります?

尾藤:いや、大変さは正直ないですね。

hidek:あ、そうですか!

尾藤:うん。いやらしい話をすると、単価も高いんですよね。

hidek:なるほどね。

尾藤:だから、「短時間で手っ取り早く稼ぐ方法」という意味合いでは、すごいな、っていう(笑)。

hidek:(笑)。

尾藤:で、やってると、「本当にこのままでいいのかな?」みたいなのは結構思いますね。

hidek:なるほどね。顧問に求められることとかって、特にスタートアップとか、まだ経験がないところに自分の経験を「切り売り」というか。そうですよね。新しく学ぶとかって努力もいらないので、そこは楽なのかな、と思いつつ、でも、時代が流れていくと、その経験も陳腐化していくのでキャッチアップもしていかなきゃいけないので結構大変ですよね?

尾藤:そうですね。はい。

hidek:「技術顧問」って結構広い言葉だな、と思うんですけど。例えば、「採用の協力」みたいなところもあるだろうし、「組織づくり」みたいなところもあるだろうし、「設計」。たぶん、zigorouさん、今のところ、ベルフェイスさんでは、「設計みたいなところに入っている」っておっしゃってましたけど。何か、「主にこの領域」みたいなのはあるんですか? それとも全領域?

尾藤:僕が主に関わるのは「組織づくり」のところがほとんどで、世の中で言うVPoEが持つ役割のところのお手伝いをする、っていうのがほとんどですね。

hidek:なるほどですね。それは、採用から育成、組織の形を作っていくところから評価、みたいな?

尾藤:そうですね。大体、そんなところが多いですかね。

hidek:そういうのって、組織の規模って、エンジニアの人数だとか、あと、事業のフェーズとかで全然変わってくると思うんですけど。何か意識していることとかっていうか、今、携わっているところだと、たぶん社名挙げちゃってもいいと思うんですけど、何かあったりします?

尾藤:そうですね。小さい会社もあれば大きい会社とかもあるんですけれども、小さい会社の場合は、結構全般的にやっている感じですかね。やっぱり組織づくりだけじゃなくて、たまに採用のお手伝いもしたりとか、アーキテクチャ系の相談も受けたりとか、ひとりがいろいろな役割を兼任しているので、いろいろなことに対して答えてる、みたいな感じですね。で、一応、表に出ているので言うと、Antaa(アンター)っていう会社は、僕、今、技術顧問で入ってるんですけど。そこは、僕が入ったときは、エンジニアが正社員はまだ1名しかいなくて、ほとんど業務委託の人が占めている状態で。で、開発がそこまでスムーズにいっていなくて。Antaaって医療系のメディカルテックカンパニーなんですね。で、その社員のエンジニアの人も、エンジニアとして働くのはそこの会社がはじめてで、もともと薬剤師出身だったりするんですよ。

hidek:あー、なるほどね。

尾藤:だから、そもそも開発組織を立ち上げた経験とかもないから、何もわからないところからスタートしているので。彼は何も知らないから、僕が「こうやった方がいいんですよ」っていうのをひたすら吸収してやっていく、みたいな、そういう感じで進めてますね。

hidek:なるほどね。じゃあ、もう本当に「超スタートアップ」のところを、今、お手伝いしている感じなんですね。

尾藤:そうですね。「超スタートアップ」のところもあるし、結構大きい会社もありますね。社員200人くらいとか。

スタートアップでの人材採用方法

hidek:なるほどなるほど。「超スタートアップ」で採用を立ち上げるって、ものすごい大変じゃないですか?

尾藤:そうですね。結構、僕、UUUMのときにもやってたんですけど、UUUMみたいな会社って、「エンジニアに対しての知名度」ってほぼゼロなんですよね。

hidek:そうですよね。

尾藤:で、そもそもエンジニアの募集を出すと、「え、エンジニアいたんですか?」みたいな、結構そこから始まることが多くて。そうなってくると、採用するときに、スキルの高い人をいきなり採用するのって難しいので、結構、ポテンシャル採用をしないといけないんですよ。

hidek:なるほど。

尾藤:だから、AntaaとかでもUUUMでもそうなんですけど、結構、ポテンシャル採用はしてますね。

hidek:ふーん。それは、オーガニックで採っていく感じなのか、エージェント使うのか、リクルートとか、いろいろあると思うんですけど。入り口はどういうところを使うんですか?

尾藤:UUUMのときは、結構、Wantedly(ウォンテッドリー)は使ってて。

hidek:あー。

尾藤:Wantedlyは、やっぱ、ポテンシャル系がすごく多いですね。あと、僕が懇意にしている人で、シイノさんという人がいるんですけども、シイノさんが毎回すごくいいエンジニアを紹介……、まあ、「ポテンシャルの高いいい人」を紹介してくれるんですよ。「エンジニア経験はほぼないんだけど、やる気がすごくあって、自分でもちゃんと勉強してます」っていう人を紹介してくれて。で、ポテンシャル採用で入れたエンジニアは、大体、みんな成長していますね。

hidek:なるほどね。それはエージェントの方ですか?

尾藤:うん、まあ、エージェントっぽい感じです。

hidek:うんうん。なるほどね。結構、採用って、1回いい人が入って。で、それこそさっきの技術ブログじゃないけど、アウトプット見せれるようになって。で、そこを見た人が入ってきて。みたいないい回転になってくるといいんですけど、最初のひと回しは本当に大変だろうな、と思って。

尾藤:はい。そうですね。最初が本当にすごく大変ですね。UUUMのときは、一番最初にテックリードのレベルの高い方がひとりボンッて最初に入ってくれたのですごく楽だったんですけど。でも、やっぱり、ポテンシャル採用でエンジニアを入れて、少しずつ会社の技術レベルを上げていって、会社の技術レベルが上がるともうちょっといいエンジニアが採用できる、っていう。少しずつ、ゆっくり上げていく、という感じでやっていて。最終的には、シニアエンジニアが採用できるくらいのところまではいきましたね。

エンジニア組織づくり

hidek:なるほどね。そういう風に大きくなっていくと、今度は組織を作っていかなければいけないじゃないですか?

尾藤:はい。

hidek:僕もメルペイ入ったときは、いわゆるエンジニア組織っていうものがなくて、プロダクトマネージャーに全部レポートラインが紐づいてたんですよね。

尾藤:はい。

hidek:プロダクトマネージャーがエンジニアを評価しなければいけなかったりだとか、場合によっては採用もしなきゃいけない、みたいな。で、それ自体は、規模が小さいときはそれでいいんですけど、やっぱり大きくなってくる中で、エンジニアからすると「技術を評価してもらえない」だとか、プロダクトマネージャーは「プロダクトのことを考えたいんだけど、評価ばっかりやっている」みたいな。その辺が出てきたので、エンジニアリングマネージャーっていうのを横串に引いて。評価だとかエンジニアの組織マネジメントはエンジニアリングマネージャー。で、プロダクトマネージャーはプロダクトに向かってください、っていう組織を引いて、だいぶスケールしていったんですけど。ちょうど、今日、『ユニコーン企業のひみつ』っていう、Spotifyで働いていた人が……。

尾藤:あー、はいはい。

hidek:ちょっと話題になってるのかな。O’REILLYから出てて。『アジャイルサムライ』の著者の方が書いた本なんですけど。これちょうどさっき届いたので、ペラペラ見てたんですけど。今、結構悩んでいるのが、エンジニアリングマネージャーの横串でやってるんだけど、結局、プロダクトにアサインされるから「人材プール」みたいな扱いというか、になっていて、なかなかミッションとの結びつきがうまくいかなくて、そこで悶々としているエンジニアが増えてきちゃって。

尾藤:はいはい。

hidek:メルペイも事業領域が増えてきたので、事業領域ごとにちょっと、彼らは「スクワッド」って言ってたかな、というので分けているらしいんですよね。そこにミッションを紐づけて、そこの中でプールを作っていく、みたいな。そういう風にしたらいいのかなぁ、とか、スケールすると、なかなかエンジニアリング組織も悩みが出てくるなぁ、みたいな。

尾藤:あー、ありますよね。

hidek:マトリックス組織とその弊害、みたいな。

尾藤:はい。僕が思ってるのは、組織図上のチームと、プロダクトとかプロジェクト単位のチームは、必ずしも一致させる必要はないかな、と思っていて。

hidek:はいはい。

尾藤:というのも、組織図上でのチームって移動させるのが大変なんですよね。人事異動が発生するじゃないですか。人事異動が発生するので、人事を巻き込んでいかないといけないので工数がすごくかかるんですよね。

hidek:うんうん。

尾藤:なので、僕がUUUMのときにやってたのは、エンジニアはエンジニアでチームを作るんですよ。第1グループ、第2グループ、みたいな感じでチームを作って。で、PMはPMグループ、っていう風にチームを作るんですね。で、そこは完全にチームは分かれて。で、評価も、エンジニアの評価はエンジニアが評価するし、エンジニアのピープルマネジメントもエンジニアがやるし。PMの評価はPMがするし、PMのピープルマネジメントもPMがするし、っていう形にしてて。で、プロジェクトごとに仮想的なチーム、とまではいかないですけど、チーム単位で集まって、プロダクトの開発はそこの担当しているチームで開発を進める、っていう風な体制にしてたんですよね。

hidek:なるほどなるほど。そういった場合って、エンジニアリングマネージャーの立場だと、結構、プールとしての役割が大きいので、実際にプロジェクトでどういう貢献をしているか、というのがちょっと見えにくかったりするから、なかなか評価が難しいのかなぁ、と思ったりとかするんですが、その辺って何か工夫とかありました?

尾藤:その辺はですね、UUUMの場合だと、人事異動ができるタイミングというのが半期に1回なんですよね。

hidek:はい。

尾藤:もちろん途中でもできるんですけど、途中でやるとすごく大変なので、評価のタイミングが半期単位なので、半期のタイミングである程度一緒になるように揃えてましたね。

hidek:あー、なるほど。あー。エンジニアリングマネージャーの監修領域も、結構、プロジェクトに閉じてたりするんですかね?

尾藤:プロジェクトにできるだけ近づくような形にして。

hidek:なるほど。

尾藤:そうですそうです。で、もちろん半期の間に、プロジェクトの異動というのは発生するんですけど、そのタイミングでは人事異動は発生させないようにはしていましたね。

hidek:なるほどですね。なるほどなるほど。さっきの「スクワッド」と……、もう一個はなんて言ったかな、横串が「チャプター」って言うのかな?

尾藤:あー、そういうのがあるんですね。

hidek:そうなんですよね。「スクワッド」っていうのが「何を」っていうところにフォーカスして、「チャプター」っていうのが「どうやって」。まさに、プロダクトとエンジニアリングっていう。それは、ある程度、プロジェクトごとに切っていく、みたいな。そんなやつで参考になったんで、結構面白かったです。

尾藤:うん。

技術顧問は一時的なもの

hidek:技術顧問、キャリアとして考えている人、たくさん……。さっき、結構、意外とROIが高いというか(笑)。

尾藤:(笑)。それを生活基盤にするのは僕は違うな、とは思っています。

hidek:あー、なるほどね。それはどういう意味ですか?

尾藤:やっぱり続かないと思いますね。

hidek:あー。

尾藤:一時的に所得を上げることができるかもしれないですけれども、やっぱり自分がやってきた経験って陳腐化するじゃないですか。知識とか経験って。「生かされなくなる日」が必ず来るので。だから、「一時的なもの」っていう風に僕は捉えていますね。

hidek:なるほどね。じゃあ、出稼ぎじゃないけど、一定期間、技術顧問をやって、また新しく引き出しを増やすために、事業なりプロダクトに入っていって、みたいな、そんな感じですかね?

尾藤:うん。そうですね。どこにガッツリ入るかは今後決めていくことにはなるんですけど。今だと、僕、43歳なんですよね、今年44歳になるので。で、60歳まで働くとしたときに、自分の中で、あと大きくチャレンジできるのって、たぶん1回か2回かくらいかな、と思っていて。それがどこになるのか、何になるのかはちょっとわからないですけども。慌てず騒がず、そこは何らかのものは探していきたいな、とは思っていますね。

hidek:逆に、技術顧問という形で、何らかの形で触れていると、その中のどれかで「コミットしたいな」というものが生まれるかも。あれ、zigorouさんなんかもそうですよね、まさに。

尾藤:はい。そうですね。

hidek:技術顧問をやっていて、そのままズルッと中に入ったってイメージですよね。

尾藤:そうですね。僕がUUUMのときもまさにそうだったので(笑)。

hidek:あー、そうですよね。そうですよね。なるほどね。それ、結構、確度が高いからいいですよね。

尾藤:うん。結構、「顧問から入るパターン」はあるのかな、と思っていて。お互いわかった状態でオファーをもらえる、というのは結構デカいですよね。

hidek:うんうん。

尾藤:これ、NGになるかもしれないですけど、「パラシュート人事」みたいな感じで、「キラキラ経歴」を持っている人がバーンとパラシュート人事でいきなり入ってきて、うまくいかなくて短期間で辞めていく、みたいなことがあるので……(笑)。

hidek:(笑)。いや、どの会社でもありますよ。

尾藤:(笑)。そう。UUUMでもありますね。どうしても、ぶっちゃけあるので。だから、技術顧問から入るのは、そういうリスクが低減できるんですよね。

hidek:そうですよね。

尾藤:それはデカいですね。

hidek:カルチャーマッチみたいなところもそうだし、人と人の信頼貯金みたいなのもできてるし。

尾藤:そうですね。

hidek:意外とそれはいいですよね。逆に雇う側としても安心して任せられるというか。

尾藤:はい。

hidek:結構、「技術顧問から」っていうのは、意外と我々シニアキャリアとしては、ひょっとしたらいいのかもしれませんね。

尾藤:うん。結構あると思いますね。

hidek:うんうん。でも、それをゴールにするよりは、ローテーションみたいなことをやっていくと、よりキャリアが豊かになる、みたいな話ですかね。

尾藤:はい。そうですね(笑)。

自己紹介がフルスタックエンジニアの人は地雷説

hidek:話がめちゃくちゃ飛ぶんですけど。今日、尾藤さんとお話しするということで、Twitterとか掘ってたりしたんですけど(笑)。

尾藤:はい。

hidek:この前、ちょっとツイートを見かけたんですけど、「エンジニアで自己紹介がフルスタックエンジニアの人は地雷説」っていう。

尾藤:(笑)。

hidek:僕、これすごくアグリーなんですよ、実は。ちょっとこれも、ギリギリ攻めますけど、僕。これ、めちゃくちゃアグリーで。これ、ちなみにどういう意図で書かれたんですか?

尾藤:やっぱり、自分で「フルスタックエンジニア」って言ってる時点で、見てる世界が狭いんですよ。

hidek:はいはい。

尾藤:広い世界を知ったら、もう敵わないじゃないですか。

hidek:そうですね。はい。

尾藤:技術力で全然敵わないじゃないですか。で、そういう世界を知ってたら、「フルスタックエンジニア」って絶対言わないと思うんですよ。

hidek:はいはい。

尾藤:で、自分で「フルスタックエンジニア」って言う、ってことは、広い世界を知らないので、やっぱり浅いんですよね。

hidek:はいはい。

尾藤:自分で「フルスタックエンジニア」って言う人は、相当浅いですね(笑)。

hidek:そうなんですよ。僕の中で、「ジェネラリスト」と「フルスタックエンジニア」って違うと思っていて。

尾藤:あー、はい。

hidek:「フルスタックエンジニア」って、結局、何もできない人? って言うと言い過ぎなのかもしれないですけど(笑)。

尾藤:(笑)。

hidek:なんかそんなイメージが僕にもあって。これもちょっとギリギリ攻めるんですけど、フロントエンドエンジニアの出身の人でそういう人が多い、っていうイメージが、僕、あるんですよ。

尾藤:あー、そうなんですねー。

hidek:で、これ、なんでかなぁ、と思ったんですけど、最近、AWSだとかGCPみたいな、結構、バックエンドの方の敷居が下がってるじゃないですか?

尾藤:はい。そうですね。

hidek:で、今、GAEじゃないのか、クラウドなのか。まあ、ああいうものが、要は「サーバーレス」みたいなことが出てくる中で、そこの敷居が下がっちゃってるから、自分も「全能感」みたいな。「俺、バックエンドもできるけど。てへっ」みたいな人が、フルスタックを語っている……(笑)。そういうのを生み出しているバックグラウンドなのかな、っていう気はしますけどね。

尾藤:(笑)。僕の印象だと、ちゃんと技術をしっかりやっている人は、たぶん、そういう発言しないんだろうな、っていう。僕、個人の感覚ですね。

hidek:(笑)。そうですよね。今って、Webもあればネイティブアプリケーションもあって。で、裏側の話だと、クラウドもあるんでしょうけど、なんだろう、規模が大きくなってくるとKubernetesみたいなものも使っていかないといけないし。

尾藤:はい。

hidek:知らないといけない領域も広いし、深さもだいぶ深くなっているような気がしてて。もちろん、便利な部分もたくさんあるんですけど。

尾藤:はい。

hidek:とてもじゃないけど、まともなサービスを作っていく中で、全方位、フルスタックっていうのは本当に浅いな、っていう気はしていますね。

尾藤:あ、そういえばひとつ宣伝していいですか?

hidek:どうぞどうぞ。

尾藤:この前、発売されたんですけど、『WEB+DB』の特集記事、僕、書きましたんで。

hidek:はい。

尾藤:ここ、映るかな?

hidek:いや、映らないです。ラジオ番組なんで(笑)。

尾藤:あ、そうか。ラジオ番組だから。

hidek:何について書いたんですか?

尾藤:「Web技術総整備」っていう、Webの技術を上から下まで全部書く、っていうすごく無謀な特集記事を書きました(笑)。

hidek:それは連載ですか?

尾藤:いや、特集です。

hidek:一発で? うわー、大変だ。

尾藤:はい、一発です。31ページで書いたんですけど。

hidek:あー、それくらいのボリュームになりますよね。

尾藤:『WEB+DB』って、いつも4月号が「新人さん応援号」みたいな感じで、新人エンジニアに向けた記事を毎回やっているんですけど。その企画で、Webの技術ってものすごくたくさん、いっぱい出てきて、「これ、なかなか全体像把握するの難しいよね」ってことで、一通り全部解説する、そういう感じのやつをやりました。

hidek:あー、なるほどね。なるほどなるほど。そうですよね。さっき「薄い」とか「浅い」って話があったと思うんですけど、どこかにトンガリを持っていて、そこをテコに裾野を広げていくような知識の持ち方、っていうのは意外と信用できるんですよね。

尾藤:そうですね。

hidek:でも、フルスタック、「上から下まで、右から左まで全部できます」っていう人は、僕はなかなか信用しづらい(笑)。

尾藤:(笑)。

hidek:そのときに、低レイヤーですね、昔に比べれば覚えることもなくなって。でも逆に、マネージドサービスはマネージドサービスで使い方を学ばなければいけない、という側面もあると思うんですけど。

尾藤:あー。

hidek:そういうので勘違いしちゃってる人もやっぱり出てきてるのかなー。

エンジニア面接時の鉄板ネタ

尾藤:そうですねー。あと、僕が面接とかで結構気にするのは、「専門用語を正確に使えているかどうか」っていうのは結構気にしますね。

hidek:あー、なるほど。

尾藤:レイヤーがいくつかに分かれていて、たくさん専門用語が出てくるじゃないですか?

hidek:はい。

尾藤:で、その専門用語の使い方がちゃんとしていない人って、要は、理解ができてないんですよね。

hidek:うーん。

尾藤:理解ができていないので、ちゃんと勉強してない、っていう。

hidek:はい。

尾藤:結局、技術力が高くない、っていうところに結びつくので。

hidek:なるほどね。

尾藤:だから、用語がちゃんと使えているかどうかは、僕、結構見ますね。

hidek:バズワード的なものを、ちょっと間違った使い方して喋っちゃう、とかそんなイメージですかね?

尾藤:あー、そう。ありますね。そういうのありますね。

hidek:なるほどね。なんか、とんでもない使い方していた人とかいます?(笑)

尾藤:なんだろうな。つい最近あったのが、「過去の技術で何をやってきたんですか?」っていうのを聞いてみたら、「ユーザー向けのサービスで、フロントにコネクションプールを置いて、アクセスをさばきました」みたいな話をしてて。いや、僕、正直、全然意味がわからなくて。コネクションプールって、データベースのところに置くんだったらすごくよくわかるんですけど、「フロントにコネクションプールってそんな置くか?」みたいな(笑)。

hidek:はい。

尾藤:で、深掘りしていくと回答がちゃんとできなくて。結局、用語もちゃんと使えていないし、やっていたことを正確に理解できていないんですよね。

hidek:うんうん。

尾藤:だから、たぶん、ほかの人がやってたんだと思うんですよ。

hidek:なるほどね。面接やってるとそういう人いますよね。例えば、「今までの成功体験は何ですか?」って聞いたときに、つらつらと言うんだけど、一個一個掘り下げていくと、実は自分が作ったものではなくて、人が作ったものを転用してたとか運用してた、みたいなレベルの人とか。

尾藤:そうですね。

hidek:その辺って、結構、面接で掘り下げるとわかりますよね。

尾藤:すぐわかりますね。すぐボロが出ますね。

hidek:はい。これも話が飛んじゃうんですけど、面接、僕も結構やってるんですけど。あんまりこれ、僕、今、生で面接している身分なので、あんまりお題を言ってしまうとネタバレになっちゃうんですけど(笑)。面接で「鉄板ネタ」ってあります?

尾藤:鉄板ネタ……。でも、僕が必ず聞くのは、「過去にやってきた案件で、技術的に何かこだわったこととか工夫したことはありますか?」みたいな、そういうのは聞きますね。

hidek:うんうん。

尾藤:技術力は大体それで。できる人かできない人かは大体わかるかな、と思いますね。

hidek:なるほどね。今、僕、VP of Engineeringという役割で、大体、最終面接をやっているんですけど。「カルチャーマッチ」とか「ミッションの理解」とか、どちらかというとソフト面を見るんですけど。ちょっと前は、エンジニアリングマネージャーのときとかは、いわゆる「設計力」だとか「技術力」っていうところを見るときによく使ったのが、「Twitterのクローンを作るとしたら、どういう設計をしますか?」っていうのをポーンと投げかける、っていうのを結構やってたんですよ。

尾藤:あー、なるほどなるほど。

hidek:これ、いいネタで。わざと雑に投げるんですね。で、そうすると、人によっては「インフラから説明する人」もいれば、人によっては「UI・UXのところから入る人」もいるんですね。

尾藤:はいはい。

hidek:でも、結構上っ面の人って……。Twitterってそもそも、「人がいて、誰かをフォローして、そのフォローをした人のタイムラインが見える」っていうのが本質的なサービスの要件じゃないですか?

尾藤:はい。

hidek:だけど、意外と性格が出るんでしょうね。「『いいね』から設計を始めちゃう人」とか(笑)。

尾藤:(笑)。

hidek:「画像は使わなきゃいけないかな」とか、そういう人がいたりだとか。だから、「フォロー、フォロワーの関係どうします?」みたいにこっちが聞かなきゃいけない、みたいな。

尾藤:はいはい。

hidek:そういうのが結構聞けたりとか。あとは、一般的にテーブル設計としては、マッピングテーブルみたいなところでフォロー・フォロワー関係を作っていくと思うんですけど、たぶん、これ、スケールしないんですよね。

尾藤:はい。

hidek:で、そこまでできたときに、「じゃあ、次どうしますか?」。で、そのときに「キャッシュ」みたいな答えができるとすごくいいな、みたいな。

尾藤:はいはい。

hidek:このお題は、聞いている人にもおすすめです、とか。わかんないけど(笑)。

尾藤:なるほど。それ、いいですね。

hidek:はい。よく使ってました。あと、「ゲームのリアルタイムランキングをどうするか」みたいな。

尾藤:はいはい。

hidek:あれも結構難しいんですよね。

尾藤:難しいですね。

hidek:はい。でも、深掘りようがあるので。僕は、そういうレイヤーの面接はしなくなったので、もう使わないので、皆さん、よかったら使っていただくといいと思います(笑)。

尾藤:よく話題になるのが、「ブラウザにURLを入力してEnterキーを押すと何が起きるのか」みたいな(笑)。

hidek:「何が起こりますか」みたいな(笑)。はい。

尾藤:あれも、結構難しいですよね。

hidek:あれ、答えている過程で突っ込みどころが満載なんですよね(笑)。

尾藤:そうですね。

hidek:結構面白いですよね、あの辺は。結構、面接の設計、本とか出たら面白いんじゃないかな。設計の問題とかまとめて出てくると面白そう。

尾藤:たしかに(笑)。

hidek:組織づくりで面接をしなきゃいけない人たちは、「どういう問いをかけていいか」っていのも、結構悩んでる。そういうのも面白そうですよね。

尾藤:はい。そうですねー。


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