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hidekのエンジニアと長話 第4-4回【全文書き起こし】

stand.fmで配信中の「hidekのエンジニアと長話」4人目のゲストは​スマートニュースEMの天野仁史さんです。

「hidekのエンジニアと長話」は、メルペイVPoEのhidek(木村秀夫)さんをメインパーソナリティにお招きし、ゲストエンジニアとともに作っていくスペシャルトーク番組です。

今回は、天野仁史さんをお招きして、ウィークリーリリースや開発におけるテスト、最近使っている役立つサービスなどについて語りました。

※本記事は、2021年2月19日にstand.fmで配信を開始した番組を書き起こしたものです。

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Profile
<ゲスト>
​天野仁史(amachang)氏
​スマートニュース株式会社 Mobile App Team エンジニアリングマネジャー

<「hidekのエンジニアと長話」メインパーソナリティ>
hidek(木村秀夫)氏
株式会社メルペイ VPoE(Vice President of Engineering)

<「hidekのエンジニアと長話」アシスタント役>
gami(池上)氏
株式会社プレイド エンジニア

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ウィークリーリリース

hidekさん(以下、敬称略):そうだ。唐突に話題が変わるんですけど、スマートニュースの使っている技術の話で。この前、年末に「ウィークリーリリース」?

​天野さん(以下、敬称略):はいはい。

hidek:SHIFTさんでしたっけ? どこか、検証会社さんと一緒にカンファレンスをやってたと思うんですけど。

​天野:はい。

hidek:僕、事後でそれを知って。ウィークリーリリース、そのリリースサイクルっていうところに、今、ちょっと興味があって。その辺の話を聞きたいなと思うんですけど。

​天野:いいですね。

hidek:今、どういうプロセスでリリースのライフサイクルって回ってるんですか?

​天野:毎週毎週リリースしてるんですけれども、そのリリースするための開発を木曜日の夜に締め切って、金曜日にテスト用のRC版みたいなものを作って、その翌週にそのRC版をテストしながら、その次の木曜日にまた次のRC版を作る、みたいな感じで。

hidek:あー。

​天野:そういった形で、どんどん毎週リリース。QAしながら開発もしながら、っていうのを毎週毎週続けてる、って感じですね。

hidek:なるほどね。それ、実際にアプリストアにサブミットするのもウィークリーでやってるんですか?

​天野:はい。ウィークリーでやってます。で、これは結構、いろいろな工夫があって達成されていて。もともとはバイウィークリーで、バイウィークリーにすると、「今週はAndroidのQA、次の週はiOSのQA」っていって、QAチームのリソースもすごくiOS・Android交互に、ひとつのQAチームのリソースを使えたりして。そういうバイウィークリーリリースっていうのがすごく長かったんですよ。

hidek:うんうん。

​天野:ただ、バイウィークリーリリースだと、PMの人が「このリリースを逃すと2週間後になるから、ちょっと無理してでも今週に出したい」っていうのが結構あって。金曜日に締めなきゃいけないのに、金曜の夜までみんな残ってリリースブランチを、RC版を作るまで頑張る、みたいな感じになっちゃってたんで。

hidek:はい。

​天野:こんなんになるんだったら毎週出した方が、「来週に出せばいいや」ってなるかな、と思って、ウィークリーにしたい、っていうのがものすごいモチベーションだったんですよ。

hidek:あ、それ全く今、同じモチベーションでやってまして。

​天野:(笑)

hidek:今、僕らもバイウィークリーなんですよ。で、やっぱり、特にメルペイがやっぱり。メルカリの方は意外とゆっくり、グロース期になってゆっくりになってきたんですけど、メルペイの方は、いろいろな「なんとかペイ」がたくさんある中で、競争の中にさらされているので、やっぱり「どんどんフィーチャーをリリースしていきたい」っていうニーズがPMから来て。で、「ウィークリーリリースしていこう」っていうのを、メルカリ・メルペイで今、一緒にあわせてプロジェクトとして進めてるんですけど。結構、ネックになるのが「リグレッションテスト」。

​天野:うんうん。

テストの話

hidek:手動でテストしなきゃいけないカバーが非常に広くて。

​天野:うんうん。

hidek:そこのボリュームだけでも負荷力がかかってしまう、みたいなことがあって。そこのテストの自動化、テストの時間を短縮化して、かつカバレッジを上げて、ナイトリービルドみたいなのをできる状態にする、っていうのが結構チャレンジしているところなんですけど。テストの自動化って大変じゃないですか?

​天野:テストの自動化はやっぱり大変で、テストの自動化をするとそこのテストを、テストしたところっていうのを変える時もまたテストを書き換えたりしなきゃいけなくて。テストっていうのは、「本当に資産性の高いコード」にのみ書くべきだと思うわけだけれども。そうすると、テストされていないコードみたいな、UIのコードとか、「たくさん変えやすい」ということが価値になるようなコードの部分というのが、テストが書かれないことも結構あるので。そこはやっぱりリグレッションテストとか手動のテストというのが非常に助けになる、というのはありますよね。

hidek:うんうん。

​天野:だから、たぶんほぼ同じ問題っていうのは抱えていると思うんですけど。メルペイさんとスマートニュースの違いで言うと、メルペイさんはもうコンビニのレジで、なんかこう……。メルペイさんはクラッシュしたら、結構大変じゃないですか?

hidek:はいはい。

​天野:だから、その分、テストを慎重にやらなきゃいけないのかな、という想像はつくんですけど。

hidek:求めるテストの当たり前品質の基準の高さ、っていうのは、たしかに金融事業なのであったりとか。たしかにそれはそうですね。

​天野:ただ、スマートニュースも毎週のQAで、1週間のQAで済んでるんですけど、リグレッションは。

hidek:うん。

​天野:ただ、やっぱりクラッシュレートっていうのはかなり低くて、99.96とかのセッションはクラッシュフリーなんですね。

hidek:あー、すごいですね。うんうん。

​天野:で、やっぱり変更をちゃんとQAチームとエンジニアが密にやりとりして、で、影響範囲とかを絞って、いかにレギュレーションテストを減らすか、っていうところが結構大事なんじゃないかな。職人技的な感じなんだけど。

hidek:テストコードの責任範囲、いわゆるユニットテストみたいなのは当然デベロッパーが書かないといけないと思うんだけど、エンドツーエンドのテストだとかUIテストみたいなところって、QAが書いてるんですか? それともデベロッパーが書いてるんですか?

​天野:一部のUIのテストコードもあるし、ユニットテストのコードもありますが、主に、全体のテストというか、は結構広い範囲、手動テストが多くて。そのテストのシナリオみたいなのはQAチームが書いている、っていう感じですね。

hidek:ああ、なるほどね。うんうん。

​天野:QAチームはSHIFTさんにお願いしてるんですけど。

hidek:あ、そうなんだ。

​天野:SHIFTさんは、やっぱり素晴らしいテストに関するノウハウがあって。ちゃんとシンクしていれば、「ここの部分を変更したので、一週間で出したいので」って言ったら、一番コスパのいい選択というか、「ここのテストはするけど、ここのテストは少なめでいい」とか、「ここのテストは厚くして、ここは薄くていい」みたいなのも結構やってくれるんですよね。付き合いも長くて、いろいろと情報をたくさんやりとりしてる分。そこが素晴らしいな、と思いながら。

hidek:そう。「テスト項目の削除って重要だよね」って話をよくしてて。

​天野:うんうん。

hidek:当然、フィーチャーが積み重なってきたら、テストの対象も積み重なってきて、どんどんリリースにかかる時間が延びちゃうじゃないですか。それを自動化するか、あとは、「ここはさすがに変更がないので、もうここはテストしない」みたいなテスト項目の削除っていうのは結構重要だよね、っていうのは、QAのマネジャーとかとはよく話すんですよね。

​天野:うんうん。

hidek:そこの棚卸し。

​天野:そうですね。

hidek:でも、QAの人って、コンサバって言ったらあれだけど、当然、品質に対してのアシュアランス、責任があるので、どうしてもそこは削りたがらないんだけど。そこはやっぱりしっかり削っていく、それでも品質の維持をちゃんとしていく、っていうのは大事なのかなと思っています。

​天野:ちなみにメルペイさんって、QAは独自のチームがあるんですか?

hidek:はい。QAチームっていうのはあって、10人くらいのチームなんですけど。正社員がいて、そこに第三者検証会社、SHIFTさんとか他の会社さん何社か入ってもらって。で、実際の手動のテスト作業は彼らにやってもらうんですけど、そこのシナリオを書くとか、プロジェクトが結構並行で走るので、そのプロジェクトの整理だとか、っていうのを正社員がやる。あとは、エンドツーエンドのテストコードもQAの人が書いたりだとか、そういう役割分担ですね。

​天野:大体ほぼ一緒ですね。うんうん。

hidek:今、徐々にテストの自動化っていうところを、やっぱりカバレッジ上げていかないと、どうしてもリリースのサイクルって短くならないので、それをやりましょう、と。だから、それを、今はデベロッパーにいろいろ書いてもらってるんですけど、なるべくQAで書けるようにする、っていうのが今やろうとしていることかな。

QAとエンジニア

​天野:うんうん。たしかに。QAとエンジニアのコミュニケーションってどうやってやってます?

hidek:どうやって、っていうのは?

​天野:「ここが今回のテストのポイントですよ」みたいなコミュニケーションって。

hidek:あー。今、QAの人たちって、プロジェクトが発足されたらQAもアサインされて、最初の用件決めのところから入ってくるんですよね。

​天野:あ、はいはい。

hidek:で、その中からテストの検証項目みたいなのを、テスト設計をして。で、デベロッパーと話しながら、できていないところを直してもらったりとか。さっきの「プロジェクトの中で距離を近く仕事」じゃないんですけど、そういうような、本当にプロジェクトに入ってもらっちゃってる、っていう。

​天野:なるほど。

hidek:そこのコミュニケーションは、まあまあいい方なんじゃないかな。

​天野:うんうん。そうかそうか。なるほど。

hidek:QAとデベロッパーって対立構造になりがちじゃないですか?(笑)

​天野:そうそう。それが「どこの会社」って言うと角が立つんで言わないんですけど。

hidek:(笑)

天野:今までいた会社って、QA、大体2パターンくらいあって。大体、QAが権威化するパターン(笑)。QAの人が「俺が『うん』と言わんと出さんぞ」みたいな、そういうQAの人が権威化して、エンジニアの人がQAに許可をもらう、みたいなパターンと、逆にエンジニアの方が、「QAがいるとリリースの妨げになる」みたいな感じでちょっと仲悪くなっちゃう、っていうQAが虐げられるパターン、の2パターンがありがちなんですけど。

hidek:はい。

​天野:僕がSHIFTさんとか外部の会社さんのいいところだな、と思うのは、そういったことになりづらい形でやる、っていう意味では、他社さんだしそんなに失礼にもできないし、他社さんなので責任は弊社側で持つ、っていうところがはっきりしてるので。そこら辺は、そういう塩梅でうまくいってるな、っていうのはすごくあるな。

hidek:メルペイの場合は、僕はどこかの反省文で外に見せてると思うんだけど、プロジェクトがまあまあ炎上したんですよね(笑)。

​天野:あー、はいはい。

hidek:最初のリリースもそうだし、直近でも炎上したことがあって。で、いわゆる炎上っていうのは、リリースにちょっと間に合わなくなるのを押し込んでリリースしていく、みたいなのが大体炎上プロジェクトのパターンなんですけど。その時に、大体犠牲になるのが、後工程のQAなんですよ。要件の定義が遅れて、開発も遅れて、で、テストのところに回ってきたんだけどバグだらけで、でもテストの期間は短いです、みたいな。で、QAが割を食った、っていうところが多くて。で、デベロッパーもPMも、「そこに対しての申し訳なさ」みたいなのはあって。そこに対するリスペクトだったりとか申し訳なさみたいなのもあって、今期、前期かな、QAを楽にするために、っていうわけではないんだけど、なるべく自動化っていうところにデベロッパーもコミットするし、要件定義もなるべく遅れないようにプロジェクトマネジメントをしっかりしましょう、みたいなことは進めて。だから関係性はだいぶ良好になってる、って感じですかね(笑)。

​天野:うんうん。

hidek:人と人の関係なんでリスペクトって大事だな、っていう。はい。

​天野:たしかになー。あと、ウィークリーリリースを導入する話で言うと、ブランチのやり方とかが大事だったな、という感じはありましたね。最初、フィーチャーブランチ作って、リリースブランチ作って、って感じで、リリースごとにブランチ作ってやってたんですけど。そうするとリリースブランチ立ち上げた時に、そのリリースブランチがマージされる前に次のリリースブランチも立ち上げなきゃいけないし、みたいな。

hidek:はい。

​天野:「このブランチこっちにマージされてたっけ?」みたいなのがめっちゃ大変になっちゃって。で、「Trunk Based Development」っていう手法があるんですけど、全部トランクにまとめて、このバージョンでリリースするもの・しないもの、っていうのは、フィーチャーのスイッチでオンオフして、そのバージョンの機能でリリースする、みたいな考え方なんですけど。それを導入してから、すごく「ブランチヘル」みたいな状態がなくなってうまくいった、っていうのはあるかもね。

hidek:今、まさにそこに移行しようとしていますね。

​天野:あ、本当ですか? それは絶対にやった方がいいと思いますね。

hidek:ブランチ戦略は、リリースサイクルを短くするとか、リリースサイクルを保つ上では絶対なのでそこの成果と、さっき言ったテストの自動化っていうのが2大プロジェクトかな。

​天野:そうですね。

hidek:あと、「フィーチャーフラグ」って、要はリリースするんだけど、機能は実装されてるんだけど表には出ない、っていう。

​天野:うんうん。そうそう。

最近使っている役立つサービス

hidek:それはやったりだとか。そういうのはやってるかな。なるほど。いやー、勉強になります。ありがとうございます。で、また話がピョンと飛んであれなんですけど、最近、興味のあるサービス、使ってるサービス。

​天野:最近、この歳になってきたんで、本当に役立つサービスしか続かないな、っていうのがすごくあるんですけど。

hidek:役立つサービスって何ですか?(笑)

​天野:いや、本当に、人生をよくしてくれるサービスしか使わなくなった。暇つぶしみたいなのであまりアプリを使わなくなった。

hidek:あ、そうなんだ!

​天野:最近、僕が一番いいなと思ったアプリは、ダイエットとかウォーキングとか、そういう健康系のアプリなんですけど。

hidek:へー。

​天野:「StepBet」とか「DietBet」とかっていうアプリがあるんですよ。

hidek:へー。

​天野:で、これ、すごく面白い仕組みで、「ダイエットをしたいな」という人がみんなゲームに参加するんですね。

hidek:はいはい。で、「Bet」ね。賭けるのね

​天野:で、それでダイエットして、体重計とかの写真を証拠として載せると、そのゲームの勝ち負けが決まるわけですよ。

hidek:へー(笑)。

​天野:で、それで勝つと賞金がもらえる、みたいなそんなサービスなんですけど(笑)。

hidek:へー。

​天野:このサービスの「すごくいいな」と思うところは、ある意味、こういう「お金をもらえる」という単純な仕組みなんですけど、このゲームの勝者っていうのは、70%とかの人が勝つわけですよね。

hidek:はい。

​天野:本当に微々たるお金しかもらえないわけなんですけど。

hidek:はいはい。

​天野:でも、「70%の人が成功するダイエット法」ってあんまりなくないですか?

hidek:たしかに。たしかに。

​天野:っていう風に考えると、こういうシンプルな仕組みが……。たぶん1円でもいいんですよ、「勝ちだったら1円」とかでも。こういうシンプルな仕組みが人間の習慣っていうのを変えるんだな、っていうので、結構、DietBetっていうアプリとかStepBetっていうアプリは面白いな、と思っていますね。

hidek:うん。

​天野:StepBetは、歩く歩数で、Apple Healthとかと連携して、その歩いた歩数が証拠になる、っていう。

hidek:はいはい。

​天野:で、DietBetは、自分でその時々によってハッシュ値みたいなのが表示されるので、その単語と一緒に体重計の写真を撮って、その体重計に乗っている自分の写真を撮って、その2つをポストする、っていう。そうすると、そこから体重がわかるから不正ができない。そういう仕組みで、証拠もちゃんと出すようになってて。

hidek:いいですね。ゲーミフィケーションってわかりやすくて。

​天野:そうそう。こういうシンプルな仕組みで、自分の生活とかをよくできたりする、っていうのはいいなー、っていうのはすごく最近。面白いですね。

hidek:あー、なるほどね。

​天野:あと、やっぱり「自分の生活を変える」ってことにコロナ禍で興味があって、「RescueTime」とか。パソコンで使ってるアプリの時間をログに取って、自分のプロダクティビティをサマライズしてくれる、みたいなツールとか。こういうのが、最近、コロナ禍の、人間らしくどうやって生きるか、っていうところの(笑)。

hidek:(笑)

​天野:結構面白いなー、って感じますね。

hidek:僕はコロナ禍で、完全にさっき否定された、どっちかっていうと暇つぶし系に走ってしまっていて(笑)。

​天野:(笑)

hidek:それこそTikTokだとか(笑)。

​天野:あー、はいはい。

スマートニュースへのコロナの影響

hidek:あれ、ひたすら見てますね。なんだろうなー。人間、人と離れてしまうと、どんどん怠惰になっていくな、っていう、それを地で行ってしまっているんですけど。でも、スマートニュースも、言うたら、どっちかと言うと暇つぶし系ですよね?

​天野:まあ、そうですね(笑)。割とコロナ禍でダラダラ見ちゃいがちなアプリのひとつですよね。

hidek:言えなかったらあれなんですけど、やっぱコロナになってだいぶ「使われ度」って上がってるんじゃないですか?

​天野:あ、そうですよね。具体的な数字とかは言えないんですけれども、やっぱり社会的にニュースが必要なフェーズじゃないですか、今。

hidek:はい。

​天野:なので世の中的に、感染者の数値とかアメリカの大統領選挙の結果とか、いろいろ気になることがあると使う人が増えますね、やっぱり。

hidek:コロナのサマライズの仕組みを出したじゃないですか?

​天野:はいはい。

hidek:結構、あれ、早かったな、と思うんだけど、その実装を決めてリリースまでって、どういうステップで進んだんですか?

​天野:はいはい。

hidek:かなり早い時期に出しましたよね、これ?

​天野:そうですね。やっぱり、スマートニュースって海外拠点も多いじゃないですか。だから、コロナの影響を感じる速度っていうのが他の会社よりも早かった、っていうのがまず。

hidek:あー、なるほどね。

​天野:うん。あると思うんですね。で、コロナが発生してから、やっぱりニュースの会社なので、有識者とかを社内に呼んだりして、さまざまな話っていうのをジャーナリズムとして早いところでいろいろな情報を得て。「『医療崩壊』っていうのが一番大事なテーマだよね」とか、そういったことを社内でカンファレンスみたいなのを、社内のメンバーで開いてやったりとか。そういった形で、「コロナに対してどういったスタンスを取るべきなのか」というのを、まず、社内で調整していった、っていうのが最初の一週間とかはそんな感じで。そこから、会社の「OKR」っていう目標管理システムがあるんですけど、そのOKRゼロにコロナのタスクフォースみたいなものが。具体的な目標数値とかは、たぶん言っちゃダメだと思うんですけど。を、掲げて、タスクフォースチームとしてPMとかさまざまなエンジニアを集めて、みんなで「何ができるか」っていうのをすごく話して。

hidek:なるほど。

​天野:っていう形でやっていた、って感じですね。

hidek:その突発プロジェクトにエンジニアをアサイン、各社エンジニアもそんなに潤沢じゃないと思うので、結構カツカツの中でやっている中で、突発タスクフォースをアサインするのって大変じゃないかな、って思うんだけど。その辺の意思決定ってどういう風にしたんですか?

​天野:うちはOKRがうまくワークしたかな、という風に思っていて。

hidek:あー。

​天野:「オールハンズミーティング」って言って、全社員が集まるミーティングがあるんですけど。そこでコロナの話とか、今後コロナでどういうことが起こっていくのか、っていうニュースそのものの話とかっていうのをみんなでして、みんな「これは重要なことだ」っていう気持ちにもなっているっていう状態で。で、OKRで「コロナをまずやります」っていう風に打ち出すことで、他のプロジェクトに参加している人も、「コロナが一番大事なプロジェクトで、そこに対して、そのタスクフォースに入っていないメンバーもコミットしなきゃいけない」という気持ちにはなっている状態なので。そのタスクフォースでメンバーが取られて遅れているプロジェクトがあったとしても、「会社のプライオリティは今、コロナ。この状況で何ができるか」っていうところだ、っていう気持ちが結構あったんじゃないかな、っていう。

hidek:なるほどね。

​天野:ちょっとお祭り感がありました、すごく。

hidek:あー。

​天野:お祭りっていうか、まあ、うん。

hidek:OKRってそういう目標設定のツールだから、会社のプライオリティにアテンションを向けるツールとしてはうまく使ってるなぁ、って思いましたね。今、聞いてて。

​天野:そうですね。あと、やっぱりアプリだと、リリースっていうものがあって、機能を出していく速度っていうのが、どうしてもアプリのリリースのタイミングになっちゃいがちじゃないですか。

hidek:はい。

ウェブの強み

​天野:その半年前くらいから、スマートニュースが、「ウェブでいろいろと作れるようにする」っていう体制を整えてきてたんですね。いろいろなところにウェブビューを載せて、コンテンツを早めにストリーミング的に配信していったり、機能をストリーミング的に配信していく、っていう仕組みを整えていたので。そういった仕組みがあったおかげで週のリリースを待たずに、本当に数日とかでどんどん機能を追加していく、っていうことができた。

hidek:そうね。そういった意味でもウェブって強いな、って。リリースレスというか。スマートニュース、今、キヒラさん(@tkihira)とかいるから、それこそウェブの、HTML5のオーソリティがいらっしゃるから、その辺は強いですよね。

​天野:そうなんですよ。キヒラさん、すごくて。

hidek:すごいですよね。

​天野:やっぱり、エンジニアって技術だけじゃなくて、ああやって「自分の信じる技術を売り込む力」がすごくて。

hidek:はい。

​天野:やっぱり社内の空気が、キヒラさんが入って変わった感じがありますね。

hidek:あ、そうなんだ!

​天野:やっぱり、アプリの会社っていう、どんだけクオリティの高いアプリを作るか、っていうところが、ものすごくみんなの誇りでもあったわけですよ、それまでの間は。ただ、そこで、ウェブでもっといろいろなものを作れるようにしていく、っていう。まず、エバンジェリスト的な感じで、社内のいろいろな人を巻き込んでいって。で、自分のチームを作って、自らがEMになって。EMになりたくなかったみたいなんですけど。

hidek:あれ、EMやってるんですか、あの人?(笑)

​天野:あれ、言っていいのかな? 言っていいと思うんだけど。うん、そう(笑)。

hidek:(笑)

​天野:自分からどんどんチームを作っていって。で、採用もどんどんしていって。で、自分のあとにEMにする人も育成して、みたいな。で、いろいろなPMの人にも話しかけに行って、「その機能、ウェブで作った方がいいですよ」というような空気をいろいろなところで作っていった。やっぱり、そういうビジョンがあって、そこに自分の技術がちゃんと入っていく、っていうこともわかっていて。そういう「自分のやりたいようにみんなを巻き込んでいく力」っていうのは素晴らしいな、って思いますね。

hidek:言うても元社長で、HTMLの技術を、それこそ前身のDeNAに売ったわけですからね。やっぱり、それは強いですよね。

​天野:そうですね。で、キヒラさんも僕と同じで、スマートニュースに買収されて入ってきた、っていう感じなので。結構、スマートニュースは、「技術者しかいない会社」とかを買収してきて、その人のやりたいことをスマートニュースでやらせて、それを糧にして成長していく、ということを割とうまくできている会社だな、というのは感じるかな。

hidek:なるほどね。キヒラさんなんて、ある意味あの人、HTML5に人生捧げていますからね。

​天野:そうですね。

hidek:その執着心っていうのはすごいですよ。

​天野:うん。やっぱり、キヒラさんが作ったウェブのコンポーネントとかは、皆さんがネイティブアプリだと思って使ってるんだけれども、実はウェブビューとかがプリフェッチされ……。その、ウェブビューって、画面遷移してから作ると、ちょっと白い画面が出ちゃったりするんですけど。

hidek:はいはい。

​天野:そういうの、事前にインスタンスを作っておいて、ほぼアプリと変わらないように遷移できるように頑張ってたりとか。

hidek:うんうん。

​天野:本当に技術そのものがユーザー体験にまでちゃんと影響して、ビジネスをドライブしているのは本当にすごいなぁ、っていう。

hidek:もともとHTML5でゲームプラットフォームを作るのが、たぶん彼の夢で。やっぱりゲームエンジン、ゲームってその辺のUIというか描画周りって結構重要だったりするので。その辺の技術が活きてるんでしょうね。

​天野:うん。

hidek:素晴らしいですね。

​天野:素晴らしい!

hidek:あの人は本当にね、素晴らしいけど、ある意味、変態ですね(笑)。

​天野:うんうん、そうなんですよね(笑)。エンジニアとしては、ものすごいエンジニアの鑑のような人です。

hidek:いや、人としてもすごい好きですよ。でもまあ、ある意味、変態ですよ(笑)。

​天野:そうですね。人としても全然。エンジニアとして、ああいう人格がめっちゃ好き。

hidek:(笑)

​天野:こだわりがめっちゃ強くて。

hidek:そう。

​天野:自分がやりたいことにみんなを巻き込んでいく、っていう。

hidek:すごい強引ですけどね、あの人(笑)。

​天野:(笑)

バックエンドEMのための「EM Night」

hidek:あと、最近、カンファレンス周りをやっていらっしゃるようで。弊社のマネジャーと一緒にやってるのかな? 「EM Night」。

​天野:そうですね。バックエンドEMの方が登壇して、バックエンドEMの「あるある話」みたいな、「ここが大変だよね」とか「みんなキャリアどうしてる」とか、そういった話をするような、オンラインカンファレンスみたいなのをメルペイさんと一緒にやらせていただいてたりしますね。

hidek:前回が、これ、11月ですかね?

​天野:いや、つい最近やりました。

hidek:あ、やったんだ? 失礼、失礼。自分のとこなのに(笑)。

​天野:いつだったかな? 1月15日? 16日?

hidek:本当に最近。あ、先週か? 先週やってましたね、そういえば。

​天野:うんうん。

hidek:そうなんだ。なるほど、なるほど。

​天野:で、バックエンドEMにフォーカスしてるのは、やっぱりバックエンドEMが、メルペイさんもスマートニュースも、採用をしたいポジションだからだと思うんですけど。結構、EMポジションって、日本にまだそんなに大きな転職市場もないし、新しめの仕事だと思うので。「EMになりたいな」って思う人が増えたり、「EMとしてEMで転職したいな」っていう人が増えて、EM自身のキャリアっていうのができていくといいな、みたいなことを思っていますけど。

hidek:なるほどね。うん。組織を作っていく上で、「上から作れ」ってよく言うんだけど、マネジャーがいない中にメンバーだけたくさんいても、結局、組織ってうまく回らないので、エンジニアリングマネジャーの育成・採用っていうのはすごく重要だな、って思うので、いいですね。

​天野:「組織は上から作れ」ってすごくいい言葉ですよね。

hidek:うん。よく言いますよね。新しく事業を立ち上げる時に、事業責任者から、どっかから連れてきて、もしくは立ち上げて、そこから作っていく、っていうのがすごく常套手段ってよく言われてますよね。そういった意味では、マネジャーの育成っていうのは非常に重要だな、って僕も思うので、ぜひ続けて欲しいですね。

​天野:ありがとうございます。あ、hidekさんとか、上から作っていったいい例じゃないですか? 組織を、トップを採用する、っていう。

hidek:そうですね。採用された側なんですけどね(笑)。

​天野:やっぱり組織を変えたい時に、エンジニアのトップを採用する、っていうのはすごくいいですよね。弊社も結構それでうまくいっている会社かな。うん。

hidek:こういうカンファレンスも、やっぱり「続けることが大事」っていう面があると思うので続けてほしいな、というのと、あとは、いろいろな会社を巻き込んでできるといいですね。

​天野:そうですね。はい。バックエンドEMの方で、ぜひ、こういうイベントに興味のある方は、Twitterとかで声をかけていただければ、一緒に参加できるかもしれないので。

hidek:こちらまで。

​天野:概要欄とかにあるのかな、僕の名前?

hidek:たぶん、いけると思います(笑)。

​天野:はい。

最後に

hidek:こんな感じかな。最後、CMもしてもらったので。最後に、池上さんから聞きたいこととかないですか?

gamiさん(以下、敬称略):えー、どうですかね? なんだろうな。個人的には、今のオンメインと違うかもしれないですけど、JavaScript、僕も最近、普通に書いていて、その歴史を聞けたのはすごい面白かったですね。全然聞いたことのないJavaScriptライブラリの名前とかが出てきて、「そんなものが昔あったのか」みたいな。jQueryでさえ、僕らにとっては「そろそろ倒さなきゃいけない」みたいな感じになっている中で、その前があったっていうのを聞けたのはすごいよかったですけどね。

hidek:あれ、今、「JAMstack」だっけ? JAMstackって、JavaScriptとAPIとMarkupみたいな、なんかそういうトレンドがあるんでしょ? 最近、ちょっと僕も勉強していて、まだ、手動いてないからわかんないんだけど。

​天野:へー。

gami:そうですね。よく聞きますね。JavaScript、APIs、Markupの頭文字を取ったもの。

hidek:そう。JAMstackもJAMもいつも忘れちゃうんだけど。JavaScriptとAPIとMarkupって全然関係ないじゃん、とか思いつつ。

gami:(笑)

​天野:JavaScriptのアーキテクチャの変更の速さ、っていうのも、なんかひとつ面白いですよね。

hidek:速いよねー。サーバーサイドレンダリングみたいなのが出てきたりだとか。速いですよね。

​天野:その間、Ruby on RailsはRuby on Railsだけのままずっと来てて。

hidek:(笑)

​天野:その間に5〜6個出てきて、って感じですよね、JavaScriptは。

hidek:いやー、このJavaScript界隈のフレームワークだとかアーキテクチャの移り変わりって、まあまあ速いな、っていうのは、まあ面白いですよね。

​天野:そうそう。

hidek:追っかける方は大変だと思うけど(笑)。

​天野:支配的なディクテーターがいないからなんじゃないかな。

hidek:あー、たしかに。

​天野:うん。「優しい支配者がいると安定する」って言いますよね。

hidek:はい、そんな感じで。池上さん、まとめてもらっていいですか?

gami:はい。もちろんです。今日もすごい多岐に渡ってて、そのJSとか歴史の話から起業の話と、サービスの話とか組織の話と、ダイバーシティの話とか、過去にないくらいいろいろな話題が出たかな、と思うので。ぜひね。僕、毎回、Twitterのハッシュタグでエゴサしてるんですけど、あんまりわかりやすく表にコメントとか出てこないので。たぶん聞いてる人はいると思うんですけど、ぜひ、「この話が面白かった」とか言ってもらえると、すごい番組を続けるモチベーションになるような気がするので。ぜひ、聞いている方はTwitterのハッシュタグ、#hidekのエンジニアと長話、かstand.fmのコメント機能でもライトにいただけると。「楽しかったです」くらいで全然いいので、うれしいかな、と思います。

hidek:僕らエンジニアなので、承認欲求高いので、ぜひ、お願いします。

gami:(笑)

​天野:最近、でも辛いよ、エンジニアの話題になるのが怖いんだよ、叩かれそうで。

hidek:え?

gami:そんな(笑)。

​天野:みなさん、優しいコメントをお願いします。

hidek:炎上しないように。

gami:そうですね。

​天野:炎上したくないでーす。

gami:では、すみません、長丁場になりましたが、今日はありがとうございました。本日のゲストはamachangさんでした!

天野:ありがとうございました!

hidek:ありがとうございました!

​天野:お疲れさまでーす。

hidek:お疲れさまでーす。


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