hidekのエンジニアと長話 第6-4回【全文書き起こし】~ゲスト:元UUUM CTO BTO (尾藤正人)氏~
stand.fmで配信中の「hidekのエンジニアと長話」6人目のゲストは、元ウノウCTO・元UUUM CTOで現在は技術顧問やエンジェル投資家をされている尾藤正人さんです。
「hidekのエンジニアと長話」は、メルペイVPoEのhidek(木村秀夫)さんをメインパーソナリティにお招きし、ゲストエンジニアとともに作っていくスペシャルトーク番組です。
第6-4回の今回は、元ウノウCTO・元UUUM CTOで現在は技術顧問やエンジェル投資家をされている尾藤正人さんをお招きして、Rustや技術の変遷、クロステックベンチャーなどについて語りました。
※本記事は、2021年5月21日にstand.fmで配信を開始した番組を書き起こしたものです。
ゲスト
尾藤正人(BTO)氏 @bto
昔: Vine Linux SPARC版の開発・未踏ユース採択・ウノウCTO・UUUM CTO
今: 技術顧問数社・エンジェル投資数社・未踏ジュニアPM
メインパーソナリティ
hidek(木村秀夫)氏 @hidek
株式会社メルペイ VPoE(Vice President of Engineering)
パーソナリティアシスタント
gami(池上)氏 @jumpei_ikegami
株式会社プレイド エンジニア
いま流行りのRustでエミュレータを実装した話
hidekさん(以下、敬称略):そうですね。あと、そうか。最近って、面白いサービスとか技術とかって何かあったりします?
尾藤さん(以下、敬称略):最近、僕、結構、「Rust」が面白いな、と思って書いてて。
hidek:お! 流行りですね。
尾藤:UUUMを辞めたあとに。僕、5〜6年、プログラムを書いてなかったんですよね。
hidek:はい。
尾藤:で、辞めて時間ができたから、久々にプログラムを書こうと思って。で、どうせやるんだったら、何か新し目のことやりたいな、と思ってRustを書き始めたんですよ。
hidek:はい。
尾藤:で、Rustでエミュレータを書きました。
hidek:お、何のエミュレータですか?
尾藤:「Chip8」っていう、1970年代に実装されたVMがあるんですけど。主にゲームを動かすためのVMなんですけども。当時のパソコンって、ちゃんとした定番のOSみたいなのがなくて、「新しいコンピュータが発売されるたびに、毎回プログラムを書き直す」みたいなことをやっていた時代なんですよ。
hidek:はい。
尾藤:で、「それだと大変だ」っていうことで、マシン上のVMを定義して、そのVM上で動かせばいろいろなマシンでゲームが遊べるんじゃないか、っていうので実装されたのが、このChip8ってやつなんですよ。
hidek:ふーん。
尾藤:だから、これ、コンピュータ史上初のエミュレータで、VMで。で、昔のコンピュータで動くので、スペックもめちゃめちゃ低いんですよ。
hidek:へー。
尾藤:CPUの命令セットが30個くらいなんですよね。
hidek:おー。なるほど(笑)。
尾藤:で、モニターのサイズが32x64のモノクロディスプレイで、メモリが4KBでレジスタが16個。
hidek:おー。
尾藤:キー入力も16個のキーしかないんですよね。
hidek:なるほどなるほど。
尾藤:そんな感じのすごくスモールスタートで、エミュレータの実装の入門としてすごく人気で、GitHubでもリポジトリがいっぱいあるんですよ。
hidek:ふーん。
尾藤:で、僕がやったのがRustで、Chip8のエミュレータを実装して、それをWasmで出力して、ViewのところをReact Reduxで書いて、ブラウザで動かすみたいな感じのことをやってました(笑)。
hidek:へー、面白そう(笑)。Rustって、僕、手をつけたことがないんですけど。マルチパラダイム言語?
尾藤:はい。
Rustの特徴
hidek:手続き型でも書けるし、オブジェクト指向でも書けるし、関数型でも書けまっせ、っていうのが、結構、特徴っていう認識なんですけど。それって合ってましたっけ?
尾藤:Rustの一番特徴なのはGCがないんですよ。
hidek:あ、そうですよね。GCないですよね。
尾藤:そこがめちゃめちゃ大きくて。コンパイラ言語でGCがなくてモダンな書き方ができる言語って、現状、たぶんRustしかないんですよね。
hidek:なるほどなるほど。
尾藤:やっぱりGCって処理が重いじゃないですか。処理が重いから、Rustは「GCやんない」って言って。でも、GCは持ってないんだけど、ちゃんとメモリセーフに書ける、っていうのがRustの特徴なんですよね。
hidek:それは、メモリセーフを意識しないで、メモリセーフに書けるってことですよね?
尾藤:多少意識する必要はあるんですけど、Rustの場合は「所有権」っていう考え方があって。変数を確保するともちろんメモリ領域が確保されるじゃないですか。
hidek:はい。
尾藤:で、その変数の所有者が必ずひとりですよ、っていうルールなんですよ、Rustって。
hidek:うんうん。
尾藤:だから、例えば変数があって、その変数を関数に渡したら、渡した瞬間に所有権を失うんですよ。
hidek:ふーん。
尾藤:だから、変数Aを定義して、関数Fooとかに渡すじゃないですか。で、自分の変数の中で変数Aを参照しようとするとエラーになるんですよ。
hidek:じゃあ、参照呼び出しはできない?
尾藤:できないことはなくて。それだとあまりにも不便なので、「レンタルする」みたいな「貸す」っていう概念があって。
hidek:(笑)。へー、なるほど。
尾藤:所有権は自分が持ってるんだけど、「一時的に貸しますよ」みたいな感じのことができるようになっていて。所有権システムっていう、所有権が必ずひとり、っていう特徴があって。所有権が必ずひとりだから、所有者がいなくなったら、そのメモリは絶対開放しても大丈夫ですよね、っていうのが保証されるんですよ。
hidek:なるほどね。
尾藤:だから、それでメモリを解放するっていう、そういう仕組みになってるんですよね。
Rustを選択するテック企業が増えている?
hidek:なるほどね。Rustで募集かけてる会社、結構、最近多いですよね。
尾藤:最近、なんか徐々に増えてきてますね。
hidek:海外だとGolangよりもRustの方が使われ始めてる、みたいな話も聞いたりとかして。
尾藤:うーん。まあでも、やっぱり、システム系のプログラミングに使われることが多いので、なかなか一般的なWebアプリとか、そういった領域で使われるのはなかなか難しいかな、と思ってます。
hidek:「実行速度、そこまで求められるものが、今、どれだけあるんだっけ?」っていう話も一方あったりする。
尾藤:うんうん。
hidek:いわゆるバックエンドというかサーバサイドと。
尾藤:そうですねー。だから、プロダクション領域では、僕も、全然Goで書いた方が合理的だとは思ってますね。
hidek:うんうん。さっきちょっと言いかけたのが、手続き型でもオブジェクト指向でも関数型でも書けるって、結構、書く人によって形が、いろいろな書き方ができてしまうのかなー、っていう。そんなことないですか?
尾藤:うん。まあ、僕もチョロっとやっただけなのでなんとも言えないですけど。どっちかと言うと、GoとかCとか、あっちに近い感じですけどね。クラスとかもないので。
hidek:はいはい。
尾藤:コード構造体があって、そこにメソッドを書くとか、そんな感じなので。Goには似てますよね。
hidek:なるほどね。うんうん。でも、この辺、さっき「Web 2.0」みたいな話があったけど、当時はそれこそ、「型がある言語はクソだ」みたいな風潮があったけど、今、「型セーフじゃないと書く気しないんですけど」みたいな(笑)。
尾藤:その辺は、「型推論が発展した」っていうのが、たぶん一番大きいと思いますね。やっぱり、CとかC++とかJavaとかもそうだと思うんですけど、必ず型を宣言……、Javaはどうだったかわかんないけど、最初に型を書かなきゃいけないじゃないですか、プログラマーが。
hidek:はい。
尾藤:で、型推論ができると、型を書かなくて済むから記述量が増えないんで。だから、型ストリクトな言語が脚光を浴びつつあるんだろうな、とは思いますね。
hidek:なるほどね。うん。特に大規模開発をしていると、タイプセーフじゃないと本当にもう、しんどいというか(笑)。どこになんのバグが出てくるかわからんので、やっぱり。
フロントエンド技術の変遷
尾藤:そうですねー。だから、僕もTypeScriptを書くときは、絶対any書かないっていう気合いで書くようにしてますね(笑)。
hidek:あれも、でも、TypeScript以外の発想っていうのは、もう、ちょっと、JavaScript界ではなかなか厳しいものが……。
尾藤:いや、もう、TypeScriptに本当に決まりましたね。
hidek:そうですね。
尾藤:CoffeeScriptとかありましたけど(笑)。
hidek:ありましたね。
尾藤:決着ついた感がありますね。
hidek:意外とあれなんですよね。フロントエンド技術って、すごく移り変わりが激しいじゃないですか。
尾藤:はい。
hidek:特にフレームワークのところって本当にもう。最近、割りとReactとVueで拮抗し始めてこの辺でバランス取れてそう。一方で、そこの記述のところって、それこそCoffeeScriptあったりとか、ほかにもいくつかあって、どんどん死んでいったと思うんですけど。最近はTypeScriptに収まり始めてますよね。
尾藤:そうですね。もう、完全にTypeScriptですよね。結構、フレームワークもReactが勝ちそうな感じがしてますね。
hidek:うんうん。それこそ昔はいろいろなフレームワークが出たり入ったりして、1年くらいで陳腐化しちゃったりとかして(笑)。
尾藤:(笑)。
hidek:フロントエンジニア、キャッチアップするの大変だ。それこそ、フルスタックエンジニアなんか絶対無理だな、とか思いながら見てたんですよ(笑)。
尾藤:(笑)。gulpとかありましたからね。
hidek:ありましたね。
尾藤:gulpって一体なんだったんだろう、みたいな。
hidek:いやー、本当に。なので、この辺もようやく落ち着き始めたから、腰を据えて学べてうらやましいなー、とか思うんですけどね(笑)。
尾藤:でも、React界隈は、いろいろやっぱり変わってる感じはしますけどね。
hidek:うん。でも、これ、パラダイムシフトが起こるのって、Reactのフレームワークの改悪みたいなのが行われて、横っちょで、ちょっといい感じな「反React」みたいな、こう進んでいるところにみんなが乗り換える、みたいな、たぶんそんなのが起こっちゃうんでしょうね(笑)。
尾藤:うーん。そうですねー。
Rubyのオワコン説は本当か
hidek:サーバサイドの言語もだいぶ移り変わりましたよね。
尾藤:移り変わりましたねー。
hidek:それこそ、僕なんかはPerl界隈だったので。Perlなんて、今、むしろ使っているところはほとんどないだろうし。
尾藤:(笑)。
hidek:PHPとかはね、裾野が広いので、いまだに使われているし、JavaはJavaで、やっぱり大規模開発には向いているので使われているってあるけど。でも、Rubyとかね、一時期の勢いとかあんまり感じなかったりとか(笑)。
尾藤:うーん。
hidek:使ってるんですかね。スタートアップとか使ってたりとかするんですか?
尾藤:どうなんですかね。RubyとかRailsが「オワコン説」が流れてて、僕は「本当なのかな?」と思いながら見てるんですけど(笑)。フロントが発展してきて、フロントでほとんどのものを記述することになってきてるケースが増えているので。やっぱり、今ってサーバサイドって「APIを書くのがメイン」みたいな感じになりつつあるから、そうなると、どう考えてもGoが全盛期になるから。でも、Railsそんなに廃れるかなぁ、っていうのは思ってますけどね(笑)。
hidek:それこそ、社内ツールをちょこちょこっと書くときにはね、よかったりとかするだろうし。
尾藤:うん。絶対楽だと思いますけどね。で、ほかにサーバサイド系のWebフレームワークで、「じゃあ、別にRailsのオルタナティブって何があるんだろう」って言ったら、別にそんなにないと思うんですけどね。
hidek:「フロントエンドもセットで」って考えると、意外と分業が進んでるから、さっきおっしゃってた、フロントエンドとフロントエンドのバックエンド、みたいな切り分けはされてるんでしょうけど。そこを「1セットで」ってなると、結構、いまだにRailsの一強な気はするので。まあ、使い方によってはありだと思うんですよね。
尾藤:そうですよねー。
hidek:ただ、分厚いフレームワークだから、チューニング……、パフォーマンスの問題を抱えたときにはしんどいだろうな、っていう。
尾藤:あー。もうその辺は、まあまあ、あるけど。まあまあ、でも、便利。便利ですからね。
hidek:いや、そうなんですよ。さっきの、スタートアップの組織の話もそうだと思うんですけど、フェーズによって向き・不向きってあると思っていて。最初のね、事業のスタートアップフェーズって、別にそんなにトラフィックとか考えなくていいじゃないですか(笑)。
尾藤:あー。
hidek:だから、別にRailsでも構わないだろうし。だから、良きところでちゃんと技術スタックが変えれていくといいのかな、とか思ったりするんですけどね。
事業立ち上げ時の技術選定の失敗とその弊害
尾藤:僕も起業家の方と話しとかするときに、事業立ち上げるときに、ちゃんとしたエンジニアがいない状態で始まってるところって結構多くて。で、最初の技術選定で失敗して、大きく遅れをとっているところとかも、結構、実際にあったりするんですよ。
hidek:なるほど。うんうん。
尾藤:で、前に聞いたところとかだと、CakePHPを使っていて(笑)。
hidek:おー。
尾藤:で、CakePHPも別に悪くはないかもしれないけど、結構バージョンの古いものとかをそのまま使っていたりとか。それって、結局、創業者の人がそれしか知らなくて、それでとりあえず作り始めた、みたいなところが結構あって。で、そこが機能開発に大きな足かせになってるんですよね。資金調達とかもして、これからビジネスがどんどん伸びて事業もどんどん伸びてる、っていうのがあって。開発案件もたくさん積み重なってる、でも、技術的な負債も大きいからリニューアルしないといけない。で、「これ、なんとかなりませんか?」みたいな感じで来るんですけど、「いや、なんとかなるわけないじゃん!」みたいな(笑)。
hidek:(笑)。たしかにねー。最初の技術選定の失敗で……。「採用が進まなくなる」っていう弊害もありますよね。
尾藤:それ、相当大きいですよ。
hidek:そこで、最初にCakePHPとか使われちゃって、「CakePHPを使える人を募集」みたいに言っても、なかなか優秀な人来ないし。
尾藤:うん。
hidek:裾野が変に広い分、ちょっと弱い人が集まってきそうなイメージもあるし。そこの、採用面でもちゃんと選ぶ必要って、たしかにあるかもしれないですよね。
起業家もITの知識が必須の時代
尾藤:うん。最初にちょっと相談してくれればいいのになー、みたいなのは、結構思ったりしますね。最近、とあるスタートアップが新しくサービスを立ち上げようとして。サービス自体はすごくいいんですよ。
hidek:うん。
尾藤:それが、フード業界出身の人で、そのフード業界が抱えているペインを解決するサービスを作ろうとしていて。当然、システム開発のことは全然わからないんですよね。で、資金調達も、まだ、エンジェルからちょっと入っている、っていう段階なので、お金もほとんどなくて。その人自身も、役員報酬を極限まで、ギリギリまで下げてやってるみたいな感じなんですよ。
hidek:はい。
尾藤:それで、とにかく何かを開発しないといけなくて、どうするか、みたいな話があって。カンボジアかなんかの「オフショアだったら安いから、そこに発注して作る」みたいなことを言ってて。
hidek:あー。
尾藤:すげー地雷案件になりそうだな、って(笑)。
hidek:(笑)。
尾藤:聞きながら、でも、お金たしかにねーんだよな、みたいな。
hidek:はい。
尾藤:それは、結局……。まあ、僕は間接的に聞いた話なので。
hidek:あー、なるほど。
尾藤:僕が直接聞いた話じゃないんですけど。うーん、それは(笑)。だから、その人も、システム開発のことがわからないから、内製化した方がいいのか、カンボジアの外注に頼んだ方がいいのか、っていう判断もそんなに正確につかないと思うんですよね。
hidek:はいはい。
尾藤:だから、すごく後々苦労するんだな、と思いながら聞いてたりしましたね。
hidek:なるほど。でも、その辺って、必要経費っちゃ必要経費じゃないですか?
尾藤:(笑)。
hidek:カンボジアにしか…….、まあ、カンボジアでいいものが作れればそれに越したことはないんですけど。大体、リスキーだと思ってて。そこの費用がないってこと自体、事業計画的にはどうなんだろうか、って。
尾藤:うーん。
hidek:今から会社を立ち上げる人は、その辺も含めて、事業計画を練ってもらうといいかもしれないですね(笑)。
尾藤:そうですねー。創業者の方も、システムの開発がわからないと、要は「エンジニアが信頼できるかどうか」っていうのもわからないと思うんですよ。
hidek:はいはい。
尾藤:僕らが違う職種の人を見たときに、この人が本当に実力があるかどうか、って判断できないじゃないですか。
hidek:はい。
尾藤:僕ら、エンジニアの判断は簡単にできますけど。彼らからしたら、「このエンジニアに本当に会社の運命を預けていいのかどうか」みたいなのって、相当、判断するのが難しいと思うんですよ。
hidek:たしかに。そのときに技術顧問ですよ(笑)。
尾藤:そうですね(笑)。
hidek:真面目な話、さっき尾藤さんがおっしゃってた、「エンジニアなり、これから起業する人はファイナンスの知識がないとアカン」っていう話があったと思うんですけど。逆に、これから起業する人って、もうITとは、エンジニアリングと切り離してって、まあ、そういう世界もあるのかもしれないけど、僕らの身近なところだと、エンジニアリング・ITの知識っていうのは絶対必須だと思うので。「開発、オフショアするとどういうリスクがあるのか」だとか、「外注したらどういうリスクがあるのか」だとかっていうのは、逆にそっち側も知識としてインストールしておいてほしいですけどね。
尾藤:そうですね。それができるとすごく強くて。
hidek:そうなんですよ。
クロステックベンチャーの成功に必要なのは、ドメイン知識を持つ人とシステムに強い技術者のタッグ
尾藤:今って、結構、スタートアップ界隈でケースとして増えているのが、クロステックベンチャーがすごく増えているんですよね。
hidek:うんうん。
尾藤:要は「今までITが活用されていなかった分野にITの分野を持ってくるとイノベーションが起こる」みたいなのがあって。例えば、僕が顧問しているAntaaとかって、メディカルテックのベンチャーなんですけど、技術的・テクノロジー的に大したこと全然してないんですよ。やってることって、医者向けのQAサイトと医者向けのスライド共有サイトなんですよ。
hidek:はい。
尾藤:これって、僕らからしたらすでにあるんですよ(笑)。いっぱいあるじゃないですか。
hidek:はいはい。
尾藤:で、それがシンプルに医療業界になかっただけなんですよね。
hidek:なるほどね。
尾藤:で、そういうITが活用されていない分野に、僕らが当たり前に思っているようなものとかを導入するだけで、結構、市場に大きなインパクトを与えることができて。
hidek:はい。
尾藤:で、そういうクロステックのベンチャーとかを見ていると、うまくいくかどうかにすごく重要なポイントがあって、それが「ドメイン知識」なんですよ。
hidek:なるほどね。
尾藤:だから、IT業界の人が別の業界に目をつけてクロステックベンチャーを作って事業を立ち上げようとしても、ほとんどのケースでうまくいかないんですよね。
hidek:はいはい。
尾藤:それは、ドメイン知識を持ってないからなんですよ。やっぱり、ドメイン知識を持ってるのがめちゃめちゃ強いんですよ。でも、ドメイン知識を持っている人っていうのはITの知識がないんですよね。
hidek:うんうん。
尾藤:なので、ITの開発がうまくいかないことが多くて。ということは、ドメイン知識を持っているクロステックベンチャーを立ち上げている人がシステムをちゃんとやってくれる人と、うまくタッグを組むことができれば、結構、いろいろなところで大きな市場を作れる可能性があるんですよね。
hidek:あー、でも、それ、そうですね。言うたら、メルペイだって、金融ドメインっていうところにITっていう……。まあ、いろいろなペイがありますけど、でも、フィンテックってそういうものだと思っていて。だったりとか。
尾藤:はい。
hidek:僕、前職でモビリティサービスをやってたんですけど。要は、タクシー会社にITっていうものを入れていく。タクシー会社って、面白いのが、人の需給って、どこに行けばタクシーを待っている人がいるかっていう需給問題の解決がたぶん必要だと思うんですけど。
尾藤:はい。
hidek:あれって、全部、運転手さんの勘でやってるんですよね、配車以外は。
尾藤:あー、はいはい。
hidek:でも、そこって、人の集まる統計みたいなものは至るところにあると思っていて。で、それをもとに「配車アルゴリズム」みたいなものを作れば、たぶん、それですごく空車率が下がって、結果、収益が上がるっていう話。基本的にタクシーって固定費用が、人件費と車のガソリン代とか車の維持費なので、いかにそこを空車にさせないか、っていうところがミソな気がするので。
尾藤:はい。
hidek:既存の、「タクシードメイン知識×IT」みたいになっていくと、めっちゃ効率的になるし。結果、お客さんとしても待つ時間が少なくなるので。
尾藤:はいはい。
hidek:すごく豊かな世界になっていくなぁ、っていう気はしますよね。
エンジニアにはもっとスタートアップに関わってほしい
尾藤:はい。そうなんですよ。だから、僕の個人的な想いとしては、エンジニアの人にも、もっとスタートアップに関わってもらいたいな、って思ってて。クロステックのベンチャーを立ち上げる人とタッグを組めば、結構大きなことはできるはずなんですよ。
hidek:うん。
尾藤:だから、そのときにちゃんとした報酬をもらってほしいんですよね。
hidek:そうですよね。
尾藤:お互いちゃんとした制度設計でタッグを組んでほしい、っていうのが、僕が世の中に望んでいることですかね。
hidek:めっちゃいい話ですね(笑)。
尾藤:(笑)。それをやりたいので、無料で相談受けるので。
hidek:お便りはこちらまで(笑)。
尾藤:相談してくれたら、僕、全然、無料で相談受けますよ。
hidek:いやー、めちゃくちゃ最後、いい話で締めていただけたので。
尾藤:(笑)。
hidek:池上さん、どうですかね。こんな感じで。
gamiさん(以下、敬称略):はい。いや、すごく録れ高的にもばっちりだと思いますし、僕もすごく夢を持てました(笑)。いろいろな業界でそれができてくるって、めちゃくちゃ可能性があるというか。テック界隈みたいなところで作ってきたものって、すごくいろいろ発展したけど、そこに対して、「その上に何かを載せる」って、今後、結構難しいような気がしていて。
尾藤:はい。
gami:それがいろいろな業界に対して広がっていくって、まだまだやれることはいっぱいあるな、っていう感じがあって。聞いている人としても「その道あるな」みたいな気づきがあるような気がしましたね。
尾藤:そうですねー。エンジニアとしてスキルを上げてキャリアアップして給料が上がっていく、っていのうのは、それはそれでひとつの人生だと思うし、全然間違っていることではないと思うんですよ。でも、その中から何人か、何割かでもいいので、夢を見てチャレンジして大きなところに賭ける、っていうことをやってくれるエンジニアがひとりでも増えれば、日本のIT企業ってもっと発展していけるんじゃないのかな、って思っていますね。
hidek:めっちゃいい話だね。
gami:ありがとうございます。めちゃくちゃいい話なので、これ、マジでTwitterの反応ほしいですね。
hidek:(笑)。
gami:「感銘を受けました」みたいなコメントがいっぱいつくと、すごくうれしい気持ちになる気がするので。もし、聴いている人で何か思ったことがある人は、「よかった」だけでもいいので、ツイートして反応もらえるとすごくうれしいなと思いました。特に今回。という感じなので、ぜひ、番組への感想は、stand.fmのコメント機能かTwitterのハッシュタグ、#hidekのエンジニアと長話、までいただければと思います。はい。すごく、あっという間でした。どうでしたか、尾藤さん、いかがでしたか。出てみて。
尾藤:楽しく話ができたので。こういうのあれですね、今、ご時世で、オンラインでしかできないですけど、オフラインでやりたいですね。
hidek:いやー、そうなんですよね! 酒飲みながらやりたいですね、とか言って(笑)。
尾藤:酒飲みながらやりたいですね。酒飲みながらやると、ちょっとNGワードが、もっといっぱい出てきちゃう。
gami:(笑)。
hidek:編集が大変だ。編集ポイントがすごくたくさんある。
gami:たしかにたしかに。こういうオフラインの、ある種の勉強会。技術じゃなくて、こういう話の勉強会とかもあってもいいかな、ってすごく思いました。
尾藤:そうですね。
hidek:はい。
gami:なので、ちょっと、もし世の中落ち着いたら、また何か面白いことができるといいですね。
hidek:やりたいですね。
gami:はい。じゃあ、今回はこんな感じにしたいなと思います。今回のゲスト、尾藤さんでした。ありがとうございましたー。
尾藤:はい。ありがとうございましたー。
hidek:ありがとうございましたー。
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