うつ病の人の「もう大丈夫」は信じてはいけないときがある
精神科の救急が必要な人の中で、『悩みや嫌なことがあって死にたいのではなく、病気の症状として死にたいときには10分話を聞いて気持ちが和らぐことはない』と書いた。
楽になったという人
「自分は病気で苦しんでいるときに、話を聞いてもらってすごく楽になった。」という人もいる。話をすることで少し楽になるというのは確かである。しかし話をすることだけで楽になる人たちは、精神科・心療内科ではなくカウンセリングなどで治療を受けるべきである。
重度のうつ病の人の”死にたい”という気持ちは、
・あの時悪いことをしてしまったから
・お金がないから
・体調が悪いから
などの理由があって、死にたいのではない。
どうしようもなく理由がわからず、ただ頭のなかに”死にたい”、”死ぬ”、”死ぬしかない”という考えが渦巻いている。自分で自分を殺す自殺ではなく、死を選ぶしかなくなっているのである。
うつ病の人が「自殺」するとき
うつ病の人が、ちょっと心配な言動をとったときに家族や周りの人が少し話をして「楽になったよ」「もう大丈夫だよ」「ありがとう」と少し表情が柔らかくなる。家族も本人も安心して一度眠るものの、夜中から早朝に目が覚め、”死ぬしかない”という考えが再度渦巻き、家族が寝ている間に家を出て自殺をしてしまう。
うつ病の人の”死にたい”という気持ちは、非常に注意が必要で話せば一時的に楽になるものの、楽になる時期は長くは続かない。これは脳内物質の異常である限り仕方がない。
高血圧の人が興奮したときに血圧が上がり、リラックスすると血圧は一時的に下がるも、しばらくすると血圧は再度上がっていく。この状態と変わらない。
うつ病の人の「もう大丈夫」の言葉
うつ病の人の、死にたいという気持ちは話をすることで一時的に楽にはなるものの、近いうちに再度増加する可能性があり、「もう大丈夫」は信じてはいけないときがあるということは覚えておいて欲しい。
また前述の、話を聞いてもらったことで楽になり、その後もずっと安定していられた人は、うつ状態が脳内物質の異常より、心理的・環境的要素が大きかった あるいは ちょうど治る時期に来ていたかである。
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