色々な抑うつ状態と治療方法
統計的な数値で言えばうつ病は確実に増加している。ただ正確に診断されている人は多くないように思える。
うつ病とうつ状態は異なる
ストレス・変化に対して、本人の適応能力・処理能力、生活上の癖などから上手に処理できないとき、気持ちの沈みなどの抑うつ状態を呈することはよくある。
しかし 抑うつ状態=うつ病 ではない。
・ストレスや変化の影響が大きい 適応障害
・本人の適応能力・処理能力や生活上の癖の問題が大きい パーソナリティ障害、知的障害
・元々心配性で気持ちの沈みも小さい 不安障害
などの可能性も考慮する必要がある。
上に当てはまらず、抑うつ状態が強く一定期間ずっと続くときに初めてうつ病と断される(双極性障害については今回は省略)。これらを考慮せずに、自分が申告するたけのうつ状態や特定の場面だけでのうつ状態をうつ病と診断するのは間違いである。
それぞれの疾患で特徴は異なり、治療方法や回復過程は全く異なる。それを全て同じレベルで考えてしまうので、「うつ病」の数は増え続け、「うつ病」に対して薬は効かないという結果になってしまう。
適応障害
<特徴>
ストレスや環境へ適応する力が不足していることが多い。大きなストレスや嫌なことがあってうつ状態などになる。
嫌な人に会ったり嫌な場面に行くと、嫌な気持ちになって気持ちが沈むものの、ストレスがかからなくなるとある程度元気になる。
<回復方法>
ストレスの原因を取り除く。
もっとも根本的な方法ながら、ほとんどの場合は難しい。
ストレスに対する処理能力を高める。
ストレスの影響(症状)を減らす。
<注意が必要な方法>
休養
極めて初期の段階でのみ有効。ストレスから離れて休むと、速やかに元気になるも、同じストレスがかかると、同じ状態になることを繰返す。
薬物
初期の段階や、少量使用は有効。ストレスに面した時の不安、気持ちの沈みなどを全て解決しようとすると、どんどん薬が増えて泥沼化しやすい。
パーソナリティー障害
<特徴>
考え方・見方・接し方の不器用さが原因。
うつ状態、パニック、摂食障害、などいろいろな症状を示すため、いろいろな診断名がついていることが多く、どんどんと病名が増えていき薬も増えていきやすい。
<回復方法>
極めて短期間の休養とストレスからの避難。
考え方・見方・人との接し方を少しずつ変えていく。”成長”を目指す。
未熟・不完全という意味ではなく、今本人が生きている社会においては、生活しづらい特徴を持っているため、今の社会に適応できるように変わっていくという意味での”成長”を目指す。
休養と薬物は注意が必要(上記 適応障害と同じ)。
不安障害
<特徴>
元々 些細な事を心配し色々と考えたり不安になったりする。
不安や心配を軽減するために、今まで周りに非常に気を使ったり、何かにこだわったりして生活しており、比較的しっかりと生活していることが多い。一度破綻すると、不安・心配・こだわり・完璧主義などが強くなり生活が大変になる。
<回復方法>
不安・心配・こだわりに振り回されないように練習。
なくならないことを受け入れ、今までそれがあったために上手く生活できていたことを理解する。
不安を持ちながら、今 自分がするべきことをする。
自信の回復。
休養と薬物は注意が必要(上記 適応障害と同じ)。
うつ病
※有名なので省略(以下を参照)
様々なうつ状態を呈する疾患は、一見するとうつ状態で同じように見えても、対応や治療は違うので注意が必要である。
少なくとも、
うつ状態 = うつ病
うつ状態の人の対応 = うつ病の人への対応
とは限らないことは覚えておいて欲しい。
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