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親の闇 子どもの闇

「子供を殺してください」という親たち 押川剛

長期間ひきこもりや家庭内暴力などの問題が続く人とその親の支援、病院受診や生活支援を行ってきた人の本である。

医療関係者ではなく、元々警備会社の人で、多くの現場での経験と時間をかけた対応などから得たものは説得力がある。

精神科医療から見てもその通りと思う部分が多い。対象となる人は是非読んで欲しい。

ただし心温まる話はほとんどなく、どうにもならない現実も淡々と描かれており、人によっては気持ちは暗くなる。

特に印象的だった部分(適時変更)

・家族も治療者の一人であるという自覚を持つ
家族である以上 逃れることはできない。
何も見ないふりをしてずるずると先延ばしにするか、黙って耐えるか、あるいは正面切って向き合うか、決断をするのもまた家族でしかない。

「子供を殺してください」という親たち 押川剛

実際 見ないふりをして先延ばしにする家族が多い。

先延ばしすることで何か変わることを期待するも、変わることはなく、悪化していくことが多い。

・医療機関が「対応困難」な問題を締め出したがるのは、患者本人だけでなく、家族にもおかしなところがあるから
親は問題行動を繰り返す子供について「人の言うことを全く聞かないのです」「嘘ばかりつくのです」「倫理・道徳観が無いのです」などと訴えるも、その親自身が「人の言うことを全く聞かず」「嘘ばかりつき」「倫理・道徳観が無い」ふるまいをしている。
自分たちに都合のいい話だけをし、事実を述べない。親の過ちを指摘すると言い訳に躍起となり本質の話をさせない。指示に対して自分の考えを優先し聞き入れない。

「子供を殺してください」という親たち 押川剛

本当にそう思う。

相談に来た家族の多くは、自分たちに都合のいい話だけをし事実を述べない、さらにこちらのアドバイスに対して「でも・・・」「それは・・」と自分の考えを優先し聞き入れない。

正直 問題解決をしたいというより、家族がぐちを言いたいだけにしか見えないことが多い。

冷たい言い方ながら、病院に来て医師に相談する以上、ぐちではなく問題解決をするために全力で努力をするべきである。

・家族の見解が一致していない場合、保健所や医療機関は介入しない
相談中に家族の意見の相違が明らかになり、時に口論となったりお互いを責めだしたりして、方針を決めれないことが多い。

「子供を殺してください」という親たち 押川剛

よくある構造は、
強制的にでも入院させたい父 と かわいそうで入院させたくない母
家から追い出したい父 と 将来を心配しずっと面倒を見たい母

いずれにしても家族の気持ちが一致しないときには保健所や病院は動きようがない。

もちろん措置入院になるほど、危険な状態であれば家族の気持ちは無視するものの、そこまでいかないときには、「家族でもう少し話し合ってください」と伝えるしかない。

注意点を一つ。

下記事のように、ひきこもりを解決するといいながら、特別なことはせず、ただ拉致して多額の金をとって終わりというところも多い。

上記の本の中でも、「これはどうなんだろう?」と思うような対応をしている場面があり、この人たちが常に適切なことをしているかは疑問ではある。

実際にサービスを利用するときには、
・お金は総額でどの程度かかるのか?
・実際に何をしてくれるのか?
・実績として利用した人はどのようになっているのか?
などを確認した方がよい。

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