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#うつ病

抗うつ薬の個人的な印象

抗うつ薬の個人的な印象

以下の記事でどの抗うつ薬が最も優秀かという論文を紹介した。

今回は、抗うつ薬に対する一精神科医としての印象を紹介する。

これが正しいと主張する気はなく、「精神科医はこんなイメージで抗うつ薬を使い分けているんだ」ということを知って欲しい。

もちろん医師によっては全く違うイメージを持っているかもしれない。

SSRI 選択的セロトニン再取り込み阻害薬エスシタロプラム(レクサプロ)

効果はある程

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うつ病に抗うつ薬を使うか使わないか

うつ病に抗うつ薬を使うか使わないか

うつ病から「回復する」ために、薬はそれほど重要ではない。

うつ病の「再発を予防する」ために、薬は非常に重要である。

この2つは一見相反するものの、事実である。

抗うつ薬を飲んだ方がいいか?飲まない方がいいか?うつ病になってしまったら、薬を飲んだほうがいいのか? それとも できるだけ飲まずにいた方がいいのか?

・うつ病は非常に多くの人がかかる疾患である
・一度かかったら、再発する危険性は非常

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うつ病は非常に再発しやすい

うつ病は非常に再発しやすい

うつ病は再発しやすいMueller TI et al. Am J Psychiatry 1999 によると、うつ病が寛解した後 15年追跡することができた314人中、279人が再発し35人は再発しなかった。

実に88%が再発し、再発までの平均日数は概ね3年弱であった。

5年間安定した105人に限定しても、その後58%再発し、再発までの平均日数は約2年半であった。

再発しやすいのは、女性、導入

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抗うつ薬の継続率

抗うつ薬の継続率

抗うつ薬を続ける期間うつ病の人は抗うつ薬はどのくらい続ける必要があるか?
一般的に抗うつ薬を開始し良くなるまでに数か月、時に半年から1年かかる。
良くなってから 3-6ヶ月(可能ならできるだけ長く)続けた後、ゆっくりと減らして行くのが望ましいと言われている。

つまり最短で4ヶ月、最長で一生続けることになる。

実際の継続率実際はどのくらい続けているのか調べたデータがある。

続けていない人が非常

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抗うつ薬は同じか?異なるか?

抗うつ薬は同じか?異なるか?

【疑問】抗うつ薬は多くありますが、どう違うのでしょうか?

【回答】

もっとも効果と副作用のバランスの取れた薬は エスシタロプラム(レクサプロ)、セルトラリン(ジェイゾロフト)です。また効果の面で最も優秀なのはミルタザピン(リフレックス)、ベンラファキシン(イフェクサー)です。

しかし効果の差は小さく、副作用の出方は異なるため、自分に合った抗うつ薬をいくつか試して見つけることが大切です。

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抗うつ薬を飲んでいる人はうつ病とは限らない

抗うつ薬を飲んでいる人はうつ病とは限らない

抗うつ薬=うつ病の薬 ではない。

「病名は何と聞いていますか?」と聞くと、時々「抗うつ薬を飲んでいるので、うつ病だと思います」という返事が返ってくることが比較的多い。「抗うつ薬=うつ病に効果がある薬」であるものの、「抗うつ薬を飲んでいる=うつ病」ではない。

抗うつ薬=うつ病にも効果がある薬である。

実際 抗うつ薬の適応症を見ても、
・うつ病
・うつ状態
・強迫性障害
・社会不安障害(社交不安

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