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元彼への執着

精神疾患と診断された理由は8割以上仕事が原因と思っているが、医師にも相談していないもう一つの原因があると思っている。

そう、元彼だ。

私は20代を最後に彼氏がいない。
彼氏がいないと言っても、30代、40代に男性と全く何もないわけではない。数は少ないけれども色々あった。付き合ってはいないだけで。
合コン、婚活パーティー、出逢いを求めて誰かを好きになる努力をしたことだってある。

だけど、人知れずずっと恋愛の悩みを抱えていた。

恥ずかしながら、学生時代に少しばかりお付き合いした男性をいい歳してずっと忘れずにいた。

というのも、会えもしない彼を健気にずっと想っていたわけではない。

今から18年程前、女友達と居酒屋で2人で飲んでいると少し離れた席に見覚えのある顔があった。同僚と2人で飲んでいた彼から声を掛けてきて、席を移動し4人で一緒に飲むことになった。

全員独身同い年、元カレ元カノという古い話は置いといて、何度かグループで遊ぶようになった。

彼と私は同じ路線で、最寄駅も隣同士のご近所さん。

再会に運命を感じた私の人生はそこから狂い始めたのかもしれない。

この関係を曖昧な関係とでも言うのだろうか。

やっていることはカップルと変わらない。
もちろん会う回数は非常に少ないが、歴史が長い。お互いの家に遊びに行ったり、二人で出掛けたり、プレゼントを送り合うこともあった。

だけど、私達は付き合っていなかった。

私はこの長い月日の間、これっぽっちもこの関係に割り切ることはなかった。関係と言っても、しょっちゅう連絡を取り合う仲でもないし、頻繁に会うこともない。彼からみたら私は、数年前の話をいつまで引きずってるんだと呆れくらい彼の人間関係相関図に登場しない人物かもしれない。
曖昧な関係というほどの関係性もなく、数いる元カノの一人となんとなく会った記憶しか残せていないかもしれない。

だけど私は一緒に過ごした楽しかったあの日を昨日のことかのように鮮明に覚えて、2年、3年、5年..ずっとずっと大事にして彼を想っていた。

思い返せば、私のこと絶対に好きなはずとしつこく復縁を迫って距離を置かれたり、あまりに辛くて絶交を宣言して何年も離れたけど結局自ら連絡してしまったり。かと思えば、これは付き合ってるのでは?と思うほど仲良く旅行に出掛けたこともあった。とにかく色んなことがあった。

一年のうち一緒に過ごす数日だけが幸せで、360日以上苦しかった。
ましてや、何年も会ってもらえない時期が何度もあったので20年弱の若くて大事な時期に幸せな日は何日あったのだろう。

忘れたくて忘れたくて、でも忘れられなくて。

大好きなのか大嫌いなのか自分の感情がわからなかった。愛ではなく執着や依存だと気付いているからこそ、誰にもこの悩みは話せなかった。

人生は残酷だ。

私はそのまま他の誰かと恋愛をすることなく、この年齢になった。


精神疾患と診断される2ヶ月半前、彼が結婚したことを風の噂で知った。

音信不通にされることは、年に何度もあったのでいつものことかと思っていた。

結婚願望のない彼だけど、このまま待っていれば諦めて私と一緒になってくれるとどこかで期待していた。

絶望した。

お相手は私達より10歳以上若い看護師さんらしい。妊娠してるんだって。

もう何もかも頑張れない。

仕事も頑張れない。

私の人生どこにどう進んでいいかわからない。

私の心のコップから水が溢れた。

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