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【ドイツ】天秤にかけられた命と権利

ドイツでは新型コロナウイルスを受け、感染しないため、命を守るために、コロナ対策を行ない、今ではこの制限も徐々に緩和に向かっています。

そんな中、新型コロナウイルスを封じ込める対策に反対するデモがドイツ各地で行われました。 シュトゥットガルト、ミュンヘン、ベルリン、フランクフルトでは何千人もの参加者が抗議集会に集まり、数回にわたって行われ続けています。

何が不満で立ち上がるのか?

ドイツ各地で行われるデモでは様々な理由が挙げられます。

政治の力によって国民が制圧されていると訴える者、陰謀論も飛び交います。会いたい人に会えず、仕事にも支障が現れ、付けたくもないマスクの着用が義務となったこの現状に不満を持つ者もいます。制限の行き過ぎによる基本的権利の侵害を訴え、声を上げる者もいます。

デモの参加者は新型コロナウイルスに対する恐怖よりも、拡散を抑えるために取られている対策に不満を感じ、支配される恐怖を訴えます。

陰謀論や、自らの権利と声を上げる理由は様々であると同時に、デモの参加者も様々です。右翼過激派からヒッピーまで同じ空間では普段一緒にならない層が、細かな理由は違えどこの状況に一緒になって不満を訴えます。

自由を求めるドイツ人

「会いたい人に会えない。国にそんなことまで決められたくない。」

「マスクをつけての息苦しい生活は送りたくない」

「顔の半分を覆った状態では目があった人に笑いかけることもできない」

「基本的権利に対する法律違反である」

デモの参加者はこのような不満を漏らします。したいことが出来ない今の状況に不満を語る姿からは、新型コロナウイルスに対する恐怖は見受けられません。

マスクを求めて長蛇の列を作る日本とは対照的に、ドイツではマスクを締め付けるもの、制圧する者と感じる人も多いようです。

デモには静かにプラカードを掲げて訴える静寂なデモもあれば、暴力沙汰となり何人もが逮捕されるような暴力的なデモに発展したものもあります。

連邦刑事庁のミュンヒュ氏はデモにより、過激派の思想や陰謀論の広まりを懸念しています。

ドイツ国民は政府の対策をどう見てる?

ニュースで流れるデモの様子を見れば参加者は多く、暴力沙汰や逮捕者が出ることに先行き不安な映像もあります。

そんな中、ドイツの国民は政府に対してどのような印象を受けているのでしょうか。

ZDFの調査によれば、調査に参加した国民の81%は政府の対策を「よくやっている」と答えています。反対に「そうでない」との意見は13%にとどまっています。 (5月8日時点)

ロックダウンの緩和の時期に関しては、37%が「早すぎる」、47%が「ちょうど良い」、そして11%「もっと早くするべきだった」と答えています。
(5月8日時点)

まとめ

ドイツでは各地で行われる、新型コロナウイルスの対策に対して多様な批判を理由に挙げ、デモが行われています。デモの様子も平和に行われるものから、逮捕者が出る暴力的なものまで、形はそれぞれ違います。

また参加者の政治的宗教的思想や社会的経済的地位は一貫しておらず、右翼過激派からヒッピーまで参加者も様々です。デモ参加者はそれぞれ基本的権利の侵害、ワクチン反対、陰謀論を掲げたり、自らの経験からワクチンの危険性を訴え、正に偏りのない多種多様な意見が共存したデモだと言えます。

メディアで連日報道される批判的なでもとは打って変わって、世論の意見では政府の対策に対し、大多数が満足しています。

少なくとも、デモに参加して声を上げる人々も、外出を控えて拡散抑制対策に協力的な人々も新型コロナウイルスの収束、そして自分自身と愛する家族や友人の健康を願う気持ちは同じだと言えるのではないでしょうか。

参考記事:

tagesschau:
【対策に対する抗議 コロナのルールに反対する何千人ものデモ】

tagesschau:
【制限に対するデモ:政治は過激主義を警告】

focus:
【ドイツ各地でアンチコロナデモ:「人々は理解できていない」】

Tagesspiegel:
【コロナ抗議は誰を引きつけるのか】


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