ステイルメイトの会会長の日常1

通を歩るいて居ると、若人が若人を連れて歩るいて居る。近頃の若人はなにぶん冗談を囁き合って居るものだから詰らない。冗談なんぞ雑踏の中で大々叫んでようやく価値のあるものだ。それを仲間内でコソコソ云い合ってクスクス笑うものだから、声帯を馬鹿にして居る。
とは言っても、業々訊きに行く程の事でも無し、放って置く。そうやって必要不必要で算段をするものだから都市は肌に適わぬ。大体、人が造った処に人が棲みにくいとか、生き辛いとか謂ったとて、草枕でも無い。人でなしの世に行きたきゃ行くがいい。人は後に成って喚くのは自分の癖に、余計な事に執心するから敵わない。ニュートンとかデカルトだとか、あんな者はロクでもない。自分の趣味に他人を巻き込んで世界をややこしくして死んじゃった。良い御身分だ。リンゴが落ちて万有引力がどうたらとか、精神患者の言い分そっくりじゃないか。リンゴでもウンコでも良い処を業とリンゴとか云って洒落れるから、偉人だと謂われて居てもそこらの若人と頓と見分けが着かぬ。ニュートンは万有引力に気付くまでウンコをしなかった訳じゃ無いだろうから余程鈍かったに違無い。それか便所より果樹園の方が沢山在る不思議な国に生れ育ったかだ。
屍人の身分で生人の僕に絡んで来るのだから質が悪い。成仏し切れて居ないのやも知れぬ。

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