マガジンのカバー画像

『奥会津最後のマタギ』取材記録

7
小学館の雑誌『BE-PAL』に2019年2月号から2021年8月号まで連載した『奥会津最後のマタギ』の取材記録を写真中心に振り返る内容です。
運営しているクリエイター

記事一覧

2019年2月取材記録「穴グマ猟」

2019年2月取材記録「穴グマ猟」

2019年2月、穴グマ猟に同行した。穴グマ猟とは、山奥の穴蔵で冬眠しているクマを探し出し、寝ているクマを起こして穴からおびき出して仕留める猟のこと。クマの猟期が冬眠の時期と重なっているため、現在ではおのずと穴グマ猟がクマ猟の主流になっている。
 穴グマ猟の成否のカギは、クマが冬眠する穴をどれだけたくさん知っているかにかかっている。そのため春でも夏でも、マタギは山に入るとクマが冬眠しそうな穴の探索に

もっとみる

「奥会津最後のマタギ」取材記録2018年11月

小学館の雑誌『BE-PAL』での連載が決まり、その最初の取材で奥会津・金山町を訪れたのは2018年11月4日、5日、6日のこと。

わが家から金山町まではクルマの場合は常磐道→磐越道・会津坂下ICルートと、東北道・西那須野塩原IC→国道400号線ルートがある。常磐道を使えば3時間40分、東北道を使うと所要時間は4時間10分だとカーナビが教えてくれる。

金山町へ行くときはいつも東北道ルートを使う。

もっとみる

「奥会津最後のマタギ」取材記録 2017年9月

 猪俣さんに会うために再び奥会津・金山町を訪ねたのは翌2017年9月のこと。猪俣さんが「生活」の先生として名を連ねている「熱中小学校」について取材をするためだった。2021年現在、北海道から沖縄まで20校近くにまで広がった熱中小学校の設立に、猪俣さんは大きく関わっているのだ。
 取材の翌日、猪俣さんにお願いして沼沢湖でのヒメマス釣り、渓流でのイワナやヤマメ釣りにつれて行ってもらった。ヒメマス釣りは

もっとみる

自然との共生を図るマタギに密着したワクワクドキドキ体験記

 猪俣昭夫さん(1950年生まれ)は、江戸時代より前に奥会津・金山町の三条地区に移り住んだ旅マタギの系譜を継ぐ最後の一人。身長185㎝の長身。すらっと伸びた長い脚。高倉健を彷彿させる男前。流行の服を着せればモデルのようであり、ダークスーツを着せれば大会社の重役のようにも見える。マタギという言葉からイメージする風体と、猪俣さんのそれとはまったく異なる。
 初めて会ったのは2016年2月のこと。雪に埋

もっとみる