九州発のコスモスが他のドラッグストアやスーパーを圧倒している理由
栄耀栄華(えいようえいが)
→ 人や家などが大いに栄えること、また、甚だしくおごりたかぶること。
まずはこちらの記事を読んで欲しい。
地方スーパーが撃沈「コスモス薬品」の破壊力
(出典:東洋経済オンライン)
ドラッグストアのコスモスといえば、九州にいる人であれば馴染みのあるお店だろう。
ピンクの看板に大きくコスモスと書かれた看板を目にすることは多い。
そんなコスモス薬品が大いに栄えているという記事だが、一体どんな戦略で拡大しているのか読み解いていこうと思う。
コスモス薬品の展開するドラッグストアとは?
くり返しになるが、コスモス薬品は九州が地盤のドラッグストアだ。
多店舗展開を始めたのは1993年ということで、ドラッグストア業界では後発組になる。
ところが、2020年の売上は7,264億円と業界第3位という位置につけている。
2021年7月31日現在、九州に565店舗と圧倒的な箱を構え、全国には1,139店舗を保有している。
九州から徐々に東へ進出を始め、私の地元である広島でも数店舗展開がされている。
特にここ2年は東京を中心とした首都圏への進出を加速する戦略を取っている。
2021年5月末時点の関東では25店舗を展開しているが、来年2022年5月期は関東、中部、関西地区に70店舗出店するとのことだ。
コスモスの強みとは?
そんな爆発的な勢いで出店を加速しているコスモスの強みとは一体どんなところにあるのだろうか。
まず挙げられるのは、安さという絶対的な武器だ。
同地区のドラッグストアに比べて、各商品が10〜30円安く設定されている。
また近隣スーパーと比べると商品によっては3割近くも安い。
その安価な商品のほどんどが、食品の取り扱いであるところにも注目したい。
食品強化型のドラッグストアはフード&ドラッグと呼ばれるが、コスモスはその典型だ。
売上高構成を見ると、パン、ウインナー、ヨーグルトなどの食品が5割以上という、もはやドラッグストアというよりは競合はスーパーになることは理解できるだろう。
コスモスの内部分析
コスモスが出店を加速できる理由の1つが、他のドラッグストアやスーパーに比べて高い利益率を誇っているところだろう。
2020年度の営業利益率は4.56%で、これは他の大手スーパーと比べると非常に高い。
ライフコーポレーションは3.61%、ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス(USMHD)は2.61%、マックスバリュ西日本は1.52%ということなので、差は歴然だ。
ドラッグストアはスーパーに比べると、優れたビジネルモデルだといわれている。
ドラッグストアの典型的なビジネルモデルが、食品を安く販売して集客をし、利益率の高いOTC医薬品(市販薬、一般用医薬品)で儲けるというものだ。
例えば、ドラッグストア大手のウエルシアHDの2020年度の決算によると、医薬品の粗利率が40.8%、食品の粗利率が20.9%となっている。
これは、ライフコーポレーションの食品の粗利率が31.1%ということなので、いかにディスカウントをしているかが明確にわかる。
また、ドラッグストアで取り扱っている食品の多くは冷凍食品や加工食品で、店舗で加工する必要のないものが多数を占める。
スーパーのように店舗内に加工場を設ける必要がないので店舗設計も簡略化されることで出店スピードを上げることが可能なのだ。
加工場が必要ないということは、ドラッグストア内に必要以上に人がいらないため、人件費も抑えることができる。
その証拠に、スーパーと違ってドラッグストア内ではスタッフがウロウロしていない印象がないだろうか。
ドラッグストアとスーパーの戦い
スーパーマーケットで差別化を図っていくためには、惣菜を含めた生鮮食品の取り扱いを充実させることだろう。
先に述べたとおり、ドラッグストア内には加工場がないため、そもそも生鮮食品を取り扱うのには向いていない。
確かに手間はかかってしまうが、裏を返せばそこに勝機があるということだ。
また、コスモスのようなドラッグストアは売り場面積が300坪を超えるような大型店舗になる場合も多い。
となると、どうしても都心部に箱を確保することは難しくなるので郊外に出店せざるを得ない。
ということは、都心部の小回りの効くエリアでは大型ドラッグストアに対抗した施策を打つことができるはずだ。
この戦いは今からも続くだろう。
ちなみに、九州ではコスモス薬品がイオン九州を上回り、九州の企業として食品の売上高が最も大きい企業となっている。
この実績が関東圏でも起こりうるのだろうか、今後の戦いから目が離せない。
まとめ
記事を書いていて思ったのだが、スーパーで買うものとドラッグストアで買うものを分けている人というのは多い気がする。
と同時にポイント5倍デーとかアプリからクーポンが出るといった施策も各社がしのぎを削っている現状もある。
それから、一人暮らしと家族がいる人によっても使い方が変わるはずだ。
もっというと、気づいたら地方のドラッグストアやスーパーは、大手のドラッグストアや大手小売の傘下に入っていたりする。
買収や業務提携をくり返し、パイを取りに行く競争は今後も激しさを増すだろう。
ライフスタイルの変化はこういったところにも出てくるので、動向を追いかけていこうと思う。
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