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善意の罠:SNS時代に見る新しいコミュニケーションの形

寸善尺魔(すんぜんしゃくま)
→ 善いことはきわめて少なく、悪いことの方が多いというたとえ。

SNSは今や多くの人々の生活に欠かせない存在となり、それぞれの日常や考え、感じたことを気軽にシェアできるプラットフォームを提供している。

一方で、この手軽さが新しいコミュニケーションの問題を生んでいることも事実だ。

まず、SNSの特性として「瞬時に情報を共有し、広く拡散する」ことが挙げられる。

これにより、1つの投稿やコメントが瞬く間に多くの人々の目に触れるようになった。

この即時性が、人々の間でのコミュニケーションの質を変えている。

「善意」という言葉を考えるとき、多くの人は「他者のために良いことをする」という意味合いで捉えるだろう。

ところが、SNS上ではこの「善意」がどのように伝わるか、また受け取る側がどう感じるかは一筋縄ではいかない。

例えば、友人がダイエットに挑戦しているのを見て、励ますつもりで「頑張れば痩せられるよ!」とコメントしたとする。

これは善意からの励ましのつもりかもしれないが、受け取る側は「太っていると思われているのか?」と不安に思うこともあるというわけだ。

また、SNSでは匿名性が保たれる場合が多い。

これにより、普段の生活では言えないような直接的な意見や批判が投稿されることもある。

善意を持ってアドバイスや意見をシェアすることはもちろん大切だが、その背後には相手の状況や気持ち、背景を十分に理解した上でのコミュニケーションが求められるのである。

SNS時代における「善意の罠」は、このような背景から生まれている。

一見、善意に見えるコメントやアクションが、実は相手を傷つける可能性があるということだ。

ということで、SNSを通じてのコミュニケーションにおいて、真の善意とはなんなのか、どのように伝えるべきかを探っていこうと思う。

善意の押し付け:SNSでの事例10選

この善意の罠を具体的に理解するためには、まず実際のSNS上での事例を見てみることが有効だ。

多くの人が経験したことがあるかもしれない、あるいは目にしたことがある「善意の押し付け」について、具体的な例を通して考えてみよう。

1)ダイエット情報の勧め

友人がダイエットの挑戦をSNSで報告していると、多くの人がアドバイスやエールを送る。

しかし、「この方法が一番効果的だよ!」という一方的なアドバイスは、受け取る側にプレッシャーを与えることがある。

2)他人の子育て方法へのアドバイス

子どもの写真や日常をSNSでシェアする親は多い。

けれども、それに対して「私ならこうする」というアドバイスが飛び交うこともしばしばある。

親としての方法は十人十色で、1つの正解はない。

3)環境問題への強烈なスタンス

エコ活動をSNSでアピールするのは素晴らしいことだが、それを理由に他者の取り組みを批判するのは適切ではない。

状況や背景を知らない第三者が、一方的に価値観を押し付けるのは問題がある。

4)他人の投稿への過度な訂正や指摘

誤字脱字の指摘や、微妙な事実誤認を訂正するコメントは、善意からのものかもしれない。

けれども、その指摘が相手を不快にさせることもある。

特に公の場での指摘は、受け取る側を傷つける可能性がある。

5)ライフスタイルや価値観の強調

自らの価値観や選択を強調し、それが唯一の正解であるかのように伝える行為が増えているように思う。

例えば、ヴィーガンのライフスタイルを選んでいる人が、肉を食べる人を批判するようなケースなどが代表例だ。

人々の選択は多様であり、1つの正解を強要するのは適切ではない。

6)他人の選択への批判的なコメント

結婚や出産、キャリア選択など、人生の大きな節目に関する選択をSNSでシェアする人は多い。

ただし、それに対する「なぜそうしたの?」や「それは考え直した方がいい」というような批判的なコメントは、相手を深く傷つけることがある。

7)無責任な励ましや同情

「大丈夫、すぐに良くなるよ」というような一般的な励ましや同情は、相手の深刻な問題を過小評価することになりかねない。

真に相手を思いやるコメントをするためには、相手の状況や感情を深く理解することが必要だ。

8)他人の恋愛や結婚観への干渉

恋愛や結婚に関するステータスを更新すると、多くの人からアドバイスや意見が寄せられることがある。

ところが、それが時としてプレッシャーになり、関係に亀裂を生むこともある。

9)パーソナルスペースの侵害

私的な内容をSNSでシェアすることは、その人の選択だ。

けれども、それに対して過度な質問や詮索は、相手のプライバシーを尊重していない行為となる場合がある。

10)偏見やステレオタイプの強化

特定のグループや文化に対する偏見を持ったコメントは、そのグループや文化に対するステレオタイプを強化し、差別や偏見を生み出す原因となる。

こういったの事例から、SNS上でのコミュニケーションがどれだけデリケートであるかを示していることがわかるだろう。

善意だと思って伝えた言葉が、相手にとっては違う意味に受け取られることがあるのだ。

トラブルの火種になった善意:SNS事例10選

より具体的にトラブルの火種になった善意の例も挙げておこう。

1)子育てアドバイスによる親の対立

SNS上での子育てアドバイスが、親同士の間で意見の対立や感情的なトラブルを引き起こすケースが増えている。

特に教育方法や食事に関するアドバイスは、意見が分かれやすい。

2)健康法の推奨による健康被害

健康や美容に関する情報はSNS上で頻繁にシェアされるが、根拠のない情報や誤った情報が拡散し、それに従った結果、健康被害を受ける人も出てきている。

3)エコ活動のアピールによる地域の影響

エコ活動や地域資源の保護をアピールする投稿は、時に地域の経済や生活にネガティブな影響を及ぼすことがある。

観光地などでの行動をSNSで非難することは、その地域の評価低下につながる可能性もある。

3)投稿への指摘によるオンライントラブル

他人の投稿の誤りや不備を指摘することが、SNS上での大きな論争を引き起こすケースがある。

特に政治や宗教、文化に関するトピックは、感情が高ぶりやすい傾向が強い。

4)投稿への指摘でオンライントラブル

他人の投稿の誤りや不備を指摘することが、SNS上での大きな論争を引き起こすケースがある。

特に政治や宗教、文化に関するトピックは、感情が高ぶりやすい。

5)ライフスタイルのアピールで人間関係の断絶

自分の価値観やライフスタイルを強くアピールすることで、異なる価値観を持つ人々との間でトラブルや関係の断絶が起きることがある。

6)恋愛アドバイスでカップルの対立

カップルの問題や恋愛に関する投稿に対してのアドバイスが、実際のカップル間でのトラブルの原因となることもある。

外部からの意見が、2人の関係を複雑化させる場合があるということだ。

7)励ましの言葉で感情の軽視

「大丈夫だよ」や「気にしない」といった励ましの言葉が、実際には相手の感情や悩みを軽視する結果となることがある。

8)個人のプライバシー侵害で法的トラブル

他人のプライベートな情報や写真を無許可で共有する行為は、法的なトラブルの原因となることがある。

9)偏見やステレオタイプのコメントでオンラインハラスメント

特定の属性や背景を持つ人々に対する偏見やステレオタイプを元にしたコメントは、オンラインハラスメントやバッシングの原因となることが多い。

10)ステレオタイプなコメントで差別の増長

特定の国や文化、宗教に対するステレオタイプなコメントは、それらのグループに対する差別や偏見を増長させる可能性がある。

このように、SNS上での善意が、意図せずトラブルの原因となることが多々ある。

善意だと思って行った行動やコメントが、予期せぬ問題を引き起こすことのないよう、注意深くコミュニケーションをとることが重要になるというわけだ。

こういった事例は、善意の裏に隠れた罠がどれだけ深刻な影響を及ぼすかを示している。

善意だと思って行った行動が、実は大きなトラブルの原因となることもあるというわけだ。

そして、これらのトラブルは、双方のコミュニケーションの欠如や誤解から生じることが多い。

SNS上でのコミュニケーションは、実際の顔を合わせたコミュニケーションとは違い、相手の表情や声のトーンを感じることができない。

そのため、文字だけで相手の気持ちや意図を正確に掴むのは難しい。

ただ、それを理由に、善意を名目とした行動が他者を傷つけることを許容してはならない。

真の善意とは?

SNS全盛の時代に、真の善意とは何かを理解することは極めて重要だ。

善意とは単に「良いことをしよう」という動機だけではなく、相手の立場や背景を尊重し、その上でのサポートやアドバイスを意味する。

善意の定義

善意とは、他者の幸福や利益を思いやり、自らの行動や言葉を通してそのために貢献することを指す。

ただし、この「他者の幸福や利益」というのは、その人自身しか真に知ることはできない。

SNS上の善意の誤り

SNS上でのコミュニケーションは瞬時に広まる。

そのため、善意からのコメントやアドバイスも、それが相手にとって本当に必要かどうかを深く考える時間がないまま、発信されることが多い。

相手の立場や背景を理解する

善意を正しく伝えるためには、相手の立場や背景を理解することが不可欠となる。

一見、善意と思えるコメントも、相手の状況や感じていることを知らないと、傷つける可能性があるということだ。

例えば、仕事での失敗をSNSで吐露したとき、すぐに「気にしないで!」や「次回頑張ればいいよ」というコメントが寄せられることがある。

これは確かに善意からのものかもしれない。

けれども、その失敗がどれほどの重大さを持っているか、どれだけの努力が背後にあるかを考えると、それらのコメントは場面に合わないものとなる場合も当然ある。

真の善意とは、相手の気持ちや状況を尊重し、その上で最も適切なサポートやアドバイスを行うことだということを改めて理解したい。

SNS全盛の時代だからこそ、一歩引いて相手の状況を考え、真の善意を持ったコミュニケーションを目指すべなのである。

まとめ

SNSは、私たちのコミュニケーション方法を劇的に変化させた。

情報の拡散速度、アクセスの容易さ、そして広範なコミュニケーションの可能性は、数多くの利点をもたらしている。

それと同時に、善意の伝え方や受け取り方に新たな課題を生じさせているという側面もある。

相手を尊重する

善意の真髄は、相手を尊重することにある。

SNS上での一つ一つのコメントやリアクションにも、その心が込められていることが大切だ。

自分の意見や価値観を押し付けるのではなく、相手の考えや背景を理解しようとする姿勢が求められる。

はやさより質

SNSのコミュニケーションは速さが求められることが多いが、その速さの中で質を犠牲にしてはならない。

1つのコメントやアドバイスをする前に、少し時間をかけて考え、相手の立場を思い浮かべてみることで、より質の高いコミュニケーションが可能となる。

善意の伝え方を学ぶ

SNS全盛の時代における善意の伝え方や受け取り方を学ぶことは、今後のコミュニケーションの質を高める鍵となる。

それには、自分自身の価値観や考えを見つめ直し、他者との違いを受け入れる姿勢が必要だ。

SNSを通じてのコミュニケーションにおいても、常に相手の立場を尊重し、善意の真の意味を理解しようとする姿勢を心がけたい。

そうすることで、SNS上での誤解やトラブルを避けるだけでなく、より深い人間関係の構築が可能となるだろう。


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株式会社stakは機能拡張・モジュール型IoTデバイス「stak(すたっく)」の企画開発・販売・運営をしている会社。 そのCEOである植田 振一郎のハッタリと嘘の狭間にある本音を届けます。