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数学でインパクトのある平面を決定する4つの条件

黄絹幼婦(こうけんようふ)
→ 2人の判断がまったく一致していること。

黄絹幼婦(こうけんようふ)とは、解釈や判読が正確なことという意味もあるようだ。

もっとわかりやすくいうと、絶妙の隠語ということだ。

絶妙という言葉を聞くと、とある数学の場面を想い出す。

私は別に数学が得意ではなかったが、今でも鮮明に覚えている場面があるのである。

今でも忘れられない数学のテスト

数学には様々な公式があることは、学生時代の義務教育で少なからず触れている事実だろう。

簡単な公式からいうと、三角形の面積の求め方や円の面積の求め方といったところだろうか。

序盤の公式や数式は比較的わかりやすく楽しさを覚える人も多いと思うが、微分法とか積分法の学習となっていくと多くの人が離脱していくとう流れだろう。

かくいう私も、上述したとおり数学は特段得意ではなかったし、好きか嫌いかと問われたら嫌いな方だと思う。

というのも、1つの答えを導くという数学の根本的な解答が私にはどうも苦手なのである。

つい答えはいくつもあった方が世の中においては合理的だと思ってしまうタイプなので、数学的な発想はどちらかというと否定的な学問と勝手に捉えていた。

このあたりは大きな誤解があったことは大人になってから知るのだが、教育というか先生の教え方というのは本当に重要だと思う。

というのも、中学のいつだったかを明確に覚えていないが、今でも忘れられない数学のテストがある。

問題:平面を決定する条件を1つ書きなさい。

この問に対する私が書いた解は、一直線上にない3点は平面を決定するというものだ。

このテストの点数も常日頃と同じように、大した点数ではなかったはずだが、この答えに対してもらえた正解の◯は妙に誇らしく、今でもこのことはときどき想い出す。

その理由はなぜか。

平面を決定するという授業の印象が絶妙に私の脳裏に刻まれているからである。

平面を決定する4つの条件

平面を決定するといっても、ピンと来ない人もいるだろう。

簡単にいうと、下敷きを空中で安定させる方法を考えてもらえればいい。

別に下敷きでなくてもプラスチックの板でもダンボールでもなんでもいいのだが、空中で安定させようと思ったら、下に指を1本添えるだけではポロリと落ちてしまう。

地球上に引力があるが故に安定させるには、ちょっとした工夫が必要となるわけだ。

つまり平面が決まる条件、その方法は4つあるというのが、数学の授業で教わったことだ。

1)同じ直線上にない3つの点を含む平面

こちらがまさに私が数学のテストで答えた内容そのものなのだが、同じ直線状にない3点で下敷きを支えると安定する。

カフェやファミレスでウェイターやウェイトレスがおぼんに飲み物を置いて運んでいる姿を想像してもらいたい。

なんとなくだが、3本の指で支えているイメージがないだろうか。

これはまさに理にかなっていて、3点で平面を決定しており、上手くバランスが取れているということになる。

2)1つの直線とその直線上にない1点を含む平面

1点および2点でのみ平面を決定することはできないのだが、1点と線を使えば平面を決定することができる。

下敷きの下に物差しと指を1本添えれば安定するので試しにやってみて欲しい。

3)交わる2直線を含む平面

直線を2本交わるように並べると平面を決定することができる。

試しに下敷きの下に棒状のものをクロスして添えてみると下敷きが安定することがわかるだろう。

4)平行な2直線を含む平面

3)のように交わらなくても平行な直線でも平面を決定することができる。

こちらも同様に2本の棒状のものを平行に下敷きの下に並べてみると下敷きが安定することがわかるはずだ。

4つの条件に対する違和感

上述したとおり、4つの条件が平面を決定するのだが、2)〜3)については、なにも思うことはなかった。

けれども、なぜか私には1)の条件が絶妙に頭に残っていた。

そのときの先生の説明が未だに残っているのだが、机で説明をしてくれた。

3点の脚で支えられている机の方が4点で支えられている机よりも圧倒的に安定するというものだった。

その後、珍しく自分で調べたときに、3点で設計されている机や椅子はアジャスタがないのに、4点で設計された机や椅子にはアジャスタがあるという話も絶妙に脳裏に焼き付いている。

なぜ、4つの条件の中で、1)だけが残っているのか自分なりに考えてみた。

まず、3)〜4)は直線を使うということが大前提にあり、線を使えばそりゃ安定する場面は多々あるだろうという単純な発想からきている。

数学には補助線という言葉も頻繁に出てくるのもあって、サポートするには直線が不可欠というのは、なんかズルいというか当然だろうという考え方だ。

一方で、どんなに大きな平面であっても3点で安定させることができるという点の力というか、目からウロコ的な発想が私には衝撃だったのだと思う。

この3点で安定させるという発想が、人間の生活の様々なところで活用されていることを知ったことも後押ししている。

年配の方が杖をついて歩くと安定するのも、両足ともう1点を人工的に生み出していること、脚を骨折した人が松葉杖をついて歩いているのは、脚ともう2点を人工的に生み出している。

カメラの三脚だって、その名のとおり3点で設計されているし、スピーカーのインシュレーターも然りだ。

大掛かりな直線を持ち出さなくても、平面を決定するのは3つの点だけでいいのだという、この感覚がとにかく衝撃だったのだと思う。

4点の方が安定するのに上手くいかない理由

ただ、3点でなくても4点でも支えることはできるという疑問も出てくる。

もっというと、4点どころかそれ以上の点で支えた方が安定するのではという疑問だ。

数学の先生の説明では、3点の脚で支えられている机の方が4点で支えられている机よりも圧倒的に安定するということを書いたが、実際の商品はそうはなっていない。

机も椅子も4つの脚があるものがほとんどだ。

その理由は、上にモノや人が乗るという大前提があるからである。

地球には重力があり、その関係で上から力が加わると安定の定義が変わってしまう。

3本の脚しかない机だと机の角に体重をかけると倒れてしまうし、椅子も同様に少し重心がずれるだけでひっくり返ってしまう。

たまにオシャレな3本脚の椅子があるのだが、なかなか安定せずに上手く座れないのはそのためだ。

だから、机や椅子は4本の脚があって4点で支えているのだが、4点以上で支える場合、双方が均一な平面か、あるいは精度の高い脚でないと安定しないというのが現実だ。

そこで、4点で支える商品の多くにアジャスタなどがつけてあり、調節が可能となっているわけだ。

つまり、3点モノは基本的にその中心に重心が来るように設計されており、前後左右から力が加わっても3点は地面に接したままだ。

そして、4点モノは4点の中心に重心が来るように設計されているのだが、実際は摩耗等で足の長さ微妙に異なると一時的には3点で支えており、その3点で重心を考えると重心は偏ることになる。

すると、当然その偏った方向に倒れやすくなるというのが、安定しない原因なのである。

まとめ

数学に対する考え方は大人になればなるほどに変わっているように思う。

学生時代は、なにも感じることがなかった数学という学問だが、このように実は人間の生活と密接に関わっている部分がとても大きかったりする。

それをよくわからない数字や記号で表現するからアレルギーを発症する人が多いわけで、平面の決定のようにもっと事例を上手く持ち出して興味をそそるように仕掛けることが教育だと思うのである。

そして、今回のように私が書いたことは違うと言う人が出てくるのも良くない。

細かいことを指摘されると、そりゃ専門家ではないので理解していない部分はあるだろう。

ただ、そんな重箱の隅をつつくことが教育なのか、私を言いくるめたところでなんのメリットがあるのか、よく考えた方がいい。

それよりも1人でも多く、専門の分野に興味を持ってくれる人が増えた方がどれだけ建設的なのかということだ。


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植田 振一郎 Twitter

株式会社stakは機能拡張・モジュール型IoTデバイス「stak(すたっく)」の企画開発・販売・運営をしている会社。 そのCEOである植田 振一郎のハッタリと嘘の狭間にある本音を届けます。