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人類以外の生物にとっての美の基準

沈魚落雁(ちんぎょらくがん)
→ 魚や雁(がん)も恥じて隠れるという意味で、転じて、容姿の美しい女性を形容する語。

沈魚落雁(ちんぎょらくがん)とは、魚や雁(かり)も恥じて隠れるほどの美女を表す言葉だ。

「沈魚」は魚が沈み、「落雁」は雁が落ちるという意味で、美女の前では魚も雁も恥じ入って姿を隠すほどだというのだ。

この言葉の由来は、中国の古典「荘子」に遡る。

「荘子」には、「毛嬙(まおしぇん)、西施(せいし)は、沈魚落雁、閉月羞花の美人なり」という一節がある。

毛嬙と西施は、中国の伝説的な美女だ。

その美しさは、魚を沈み、雁を落とし、月を閉ざし、花を恥じ入らせるほどだと称えられている。

沈魚落雁は、この一節から生まれた言葉だ。

現代では、絶世の美女を形容する言葉として使われることが多い。

しかし、ここで疑問が生まれる。

果たして、魚や雁にとって、美しさの基準は何なのだろうか。

人間の美意識は、時代とともに移り変わる。

太古の美女と現代の美女では、美の基準が大きく異なる。

それでは、人間以外の生物にとって、美しさの基準とは何なのだろうか。

次のカテゴリでは、動物たちの美意識について探ってみよう。

人類の美意識の変遷

人類の美意識は、時代とともに大きく変化してきた。

古代ギリシャでは、ミロのヴィーナスに代表されるような、豊満な体つきが美しいとされた。

中世ヨーロッパでは、蒼白い肌が高貴の証とされ、白塗りの化粧が流行した。

江戸時代の日本では、歯を黒く染める「お歯黒」が美しいとされた。

これらは、現代の美意識からすると、理解に苦しむものばかりだ。

20世紀に入ると、美意識はさらに多様化した。

1920年代には、ボーイッシュな「ガーソンヌルック」が流行。

1950年代には、グラマラスな「ブロンドビューティー」が理想とされた。

現代では、グローバル化の影響もあり、多様な美意識が共存している。

このように、人類の美意識は時代とともに移ろいゆく。

絶対的な美の基準など、存在しないのだ。

それでは、人間以外の生物は、どのような美意識を持っているのだろうか。

次のカテゴリでは、動物たちの美の基準を見ていこう。

動物たちの美の基準

動物たちにも、独自の美意識があるようだ。

その基準は、生存と繁殖に直結するものが多い。

ここでは、魚、鳥、虫など、様々な動物の美の基準を見ていこう。

1. クジャク

クジャクのオスは、美しい羽を持つことで知られる。

その羽は、メスを引き付けるためのものだ。

オスは羽を大きく広げて、メスにアピール。

より美しい羽を持つオスほど、メスに選ばれやすい。

つまり、クジャクにとっての美の基準は、羽の美しさなのだ。

2. グッピー

グッピーのオスも、美しい体色を持つ。

オレンジ色や青色の鮮やかな模様が、メスを引き付ける。

より美しい模様を持つオスほど、メスに好まれる。

グッピーにとっての美の基準は、体色の美しさだ。

3. カブトムシ

カブトムシのオスは、大きな角を持つ。

この角は、メスを引き付けるためのものではない。

オス同士の戦いに使われるのだ。

より大きな角を持つオスが、メスを巡る戦いに勝利する。

カブトムシにとっての美の基準は、角の大きさなのだ。

4. ライオン

ライオンのオスは、立派なたてがみを持つ。

このたてがみは、メスを引き付けるためのものだ。

より大きなたてがみを持つオスほど、メスに好まれる。

ライオンにとっての美の基準は、たてがみの立派さだ。

5. アカショウビン

アカショウビンは、オスが美しい歌声を持つことで知られる。

この歌声は、メスを引き付けるためのものだ。

より美しい歌声を持つオスほど、メスに好まれる。

アカショウビンにとっての美の基準は、歌声の美しさなのだ。

このように、動物たちの美の基準は、生存と繁殖に直結するものが多い。

美しい羽や体色、大きな角やたてがみ、美しい歌声。

これらは全て、メスを引き付け、子孫を残すための武器なのだ。

人間の美意識とは、大きく異なる。

人間は、生存や繁殖と直接関係のない要素も、美の基準に取り入れている。

ファッションや化粧、アクセサリーなどがその例だ。

動物たちの美意識は、より実利的なものと言えるだろう。

逆転する美の基準

動物たちの美の基準は、オスがメスを引き付けるためのものが多い。

しかし、中にはその逆もあるようだ。

ここでは、メスがオスを引き付ける動物たちの美の基準を見ていこう。

1. ウミホタル

ウミホタルのメスは、体の一部が発光することで知られる。

この発光は、オスを引き付けるためのものだ。

より明るく発光するメスほど、オスに好まれる。

ウミホタルにとっての美の基準は、発光の明るさなのだ。

2. キリギリス

キリギリスのメスは、美しい歌声を持つ。

この歌声は、オスを引き付けるためのものだ。

より美しい歌声を持つメスほど、オスに好まれる。

キリギリスにとっての美の基準は、歌声の美しさだ。

3. アンドンクジラ

アンドンクジラのメスは、長い歌声を発する。

この歌声は、オスを引き付けるためのものだ。

より長く複雑な歌声を持つメスほど、オスに好まれる。

アンドンクジラにとっての美の基準は、歌声の長さと複雑さだ。

4. セアカゴケグモ

セアカゴケグモのメスは、美しい模様を持つ。

この模様は、オスを引き付けるためのものだ。

より美しい模様を持つメスほど、オスに好まれる。

セアカゴケグモにとっての美の基準は、模様の美しさだ。

このように、メスがオスを引き付ける動物たちも存在する。

彼らの美の基準は、オスを惹きつけるための武器なのだ。

発光や歌声、模様など、その方法は様々だ。

しかし、その目的は同じ。

より優れた遺伝子を持つオスと子孫を残すことなのだ。

動物たちの美の基準は、生存と繁殖に直結している。

それは、オスがメスを引き付ける場合も、その逆の場合も同じなのだ。

変化する動物たちの美意識

動物たちの美の基準は、時代とともに変化するのだろうか。

この疑問について、科学的な研究が行われている。

英国のある研究チームは、グッピーを使った実験を行った。

彼らは、オスの模様の好みが変化するかを調べたのだ。

実験では、2つのグループのメスグッピーを用意した。

一方のグループには、オレンジ色の模様を持つオスを見せた。

もう一方のグループには、青色の模様を持つオスを見せた。

その後、両グループのメスに、様々な模様のオスを見せた。

すると、オレンジ色のオスを見せられたグループは、オレンジ色の模様を好むようになった。

一方、青色のオスを見せられたグループは、青色の模様を好むようになったのだ。

この実験から、グッピーのメスの好みは、経験によって変化することが分かった。

つまり、グッピーの美意識は、固定されたものではないのだ。

同様の研究は、他の動物でも行われている。

例えば、キンカチョウのメスは、赤い色を好む傾向がある。

しかし、赤いオスが少ない環境で育ったメスは、黄色いオスを好むようになるという。

また、ゼブラフィンチのメスは、育った環境の模様を好む傾向がある。

縞模様の環境で育ったメスは、縞模様のオスを好むようになるのだ。

このように、動物たちの美意識は、経験や環境によって変化する。

それは、人間の美意識と同じだ。

私たちの美意識も、文化や教育、メディアなどの影響を受ける。

絶対的な美の基準など、存在しないのだ。

ただし、動物たちの美意識の変化は、あくまで種の存続に有利なものだ。

グッピーがオレンジ色を好むようになるのは、オレンジ色の模様が目立つから。

目立つオスは、捕食者に狙われやすいが、その分メスに見つけてもらいやすい。

つまり、オレンジ色を好むメスは、より多くの子孫を残せるのだ。

動物たちの美意識の変化は、生存と繁殖に有利なものなのだ。

人間の美意識への示唆

人間以外の生物の美意識を見てきた。

彼らの美の基準は、生存と繁殖に直結するものが多かった。

また、その基準は固定されたものではなく、経験や環境によって変化するものだった。

これらの事実は、人間の美意識を考える上でも、示唆に富んでいる。

人間の美意識は、動物たちのそれとは大きく異なる。

私たちは、生存や繁殖と直接関係のない要素も、美の基準に取り入れている。

ファッションや化粧、アクセサリーなどがその例だ。

また、私たちの美意識は、文化や教育、メディアなどの影響を大きく受ける。

同じ時代に生きていても、美の基準は人によって異なるのだ。

しかし、だからこそ、私たちは美の多様性を認め合うことが大切だ。

絶対的な美の基準など、存在しない。

美しさとは、主観的なものなのだ。

他者の美意識を尊重し、多様な美を認め合うこと。

それが、成熟した社会の証なのではないだろうか。

また、動物たちの美意識からは、もう一つの教訓を得ることができる。

それは、美の基準が変化するということだ。

動物たちの美意識は、経験や環境によって変化する。

それは、種の存続に有利な方向への変化なのだ。

人間の美意識も、時代とともに変化してきた。

そして、これからも変化し続けるだろう。

大切なのは、その変化を恐れないことだ。

新しい美の基準を受け入れ、柔軟に適応していくこと。

それが、私たちに求められている姿勢なのかもしれない。

まとめ

沈魚落雁。

絶世の美女の前では、魚も雁も恥じ入る。

しかし、その美しさの基準は、私たちが思うほど普遍的ではないのかもしれない。

人間以外の生物たちが教えてくれるのは、美の多様性と変化の重要性だ。

彼らの美意識に学びながら、私たちなりの美を追求していく。

そんな柔軟な姿勢こそが、これからの時代に求められているのではないだろうか。

美の多様性を認め、新しい美の可能性に挑戦する。

人間も、動物たちと同じように、美の進化を続けていくのだ。


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株式会社stakは機能拡張・モジュール型IoTデバイス「stak(すたっく)」の企画開発・販売・運営をしている会社。 そのCEOである植田 振一郎のハッタリと嘘の狭間にある本音を届けます。