漁夫の利の例文に対する違和感の理由と派生
この漁夫の利という言葉は、比較的多くの人が知っているのではないだろうか。
ラッキー的な意味合いで使われる言葉だが、初めて知ったときから違和感がある言葉だ。
詳細は覚えていないが、漁夫の利という言葉を知ったのは小学校の低学年くらいだろうか。
そのときの例文がどれも全くしっくり来なかったのをよく覚えている。
漁夫の利の由来
漁夫の利は、中国の戦国時代の史書である、戦国策(燕策)の故事に由来している。
趙国が燕国を攻撃しようとした際に、燕の蘇代が趙の恵文王に会い、次のような話をしたという。
ここに来る途中の川にシギとハマグリがいた。
ハマグリを食べようとシギがクチバシを差し込んだところ、ハマグリは咄嗟に貝を閉じてシギのクチバシを挟んだ。
シギは身動きがとれなくなったため、ハマグリにこういった。
このまま雨が降らなければ、お前は干上がって生きていけないだろう。
ところが、ハマグリも負けずとシギにいい返した。
そういうお前こそ、このままではなにも食べることができずに生きてはいけないだろう。
両者は一歩も譲ろうとしない。
そんな両者が譲らない争いをしていたところ、たまたま通りかかった漁師が両者を難なく生け捕りにしたと。
そして、シギとハマグリのように趙と燕が戦うことで両国が疲弊すれば、強大な国である秦が乗り出してくることを説いた。
弱りきった趙と燕を秦は簡単に制圧してしまうだろうという話に、趙の恵文王は、燕に攻め入るのをやめたという話だ。
ちなみに、聞き慣れないかもしれないが、シギとは鳥のことだ。
つまり、漁師はハマグリもシギもゲットできてラッキーだったという言い回しが漁夫の利だ。
あるいは、簡単に横取りしてしまうという皮肉の意味もあるだろう。
言いたいことは理解できるのだが、そんな漁夫の利の例文として挙げられた授業に違和感しかなかった。
記憶にある漁夫の利の例文
細部までは覚えていないのだが、いくつか覚えている例文がある。
運動会の徒競走で足の速い2人と同じ組になったが、2人ともこけてしまったので1位になれた。
F1レースで優勝候補だった2人のレーサーが両者ともにスピンして優勝することができた。
1人の女性にに想いを寄せている2人の男性がいて、どちらが告白するのかを言い争っているうちに別の男性が告白をして、その女性と結婚した。
といった具合いに、たまたまいい結果が出たことに対して使われがちなのが、漁夫の利だという印象が、どうも納得できなかったのを覚えている。
正確にいうと、未だにこの漁夫の利という言葉の使いどころというか、由来にも納得がいっていない。
本当にたまたまだったのか、それも戦略だったのではないのかと思ってしまうのである。
あるいは、たまたまだったとしてもなぜ皮肉っぽくいわれなければいけないのだろうか。
世の中の大半のものは、偶然だったりラッキーだったりするものばかりだと思うのである。
マーケティングやブランディングにこだわる理由
私が今こうして生きているのは、単純にラッキーだと思う。
これは紛れもない事実で、私は何者でもないからである。
本当にたまたまでしかない。
スピリチュアルなものや精神論的なものが嫌いなのは、私の身近にいる人はよくわかってくれると思うので割愛するが、運が良いだけなのだと思う。
だからこそ、マーケティングやブランディングに力を入れているところもある。
逆説的だが、運が良いと思うからこそ、ロジックが気になるしデータを重視している。
つまり、その理由が知りたいのである。
加えて、そこがコントロールすることができるのであれば、最強だと思うからである。
自分が好きなように仕掛けることができれば、そこに運も加わるわけだから、なにをやっても上手くいくという理論だ。
だからこそ、なぜ人がそう動くのか、流行り廃りが生まれるのかに興味があるのだ。
バズるというワードが市民権を得てから、ロジックを考えてバズらせようとする傾向がある。
けれども、そう簡単にバズらせることはできないし、バズらせることを狙ってできたと主張しても、それは100%ではないだろう。
確かに、ある程度の型はあるのだろうが、その型も変遷する。
だからこそ、引き出しが重要だと思っている。
継続してマーケティングやブランディングを行うことで、自分自身を納得させようとしているのかもしれない。
結果が全てで過程はつくられる
勝てば官軍負ければ賊軍という言葉があるが、まさにこのとおりだと思う。
結果を出せば自ずと過程は第三者がつくるようになる。
そもそも考えてもいなかったようなことも、実はこういう意味が込められていたと第三者が勝手に良いように解釈してくれるようになる。
これもまたただのラッキーなのだが、私はそういう経験を他の人よりも多くしているのかもしれない。
勝手にイイ話に変えてくれるわけで、こっちはそうだと同意するというズルい手法だって使っていい立場になる。
よく気づいてくれたと乗っかればいいだけの話だ。
そんな格好の悪いことできないという人もいるかもしれない。
けれども、そもそもそこにたどり着くまでには、一般的にいう努力というものをこれでもかというくらいしているのが常だ。
まとめ
四字熟語やことわざの中には、よく理解できないというか納得できないものも多々ある。
今回のテーマとなった、漁夫の利もまさにその1つだ。
でも、だからこそ考えることもある。
まあ、漁夫の利だろうが、いい結果さえ得ることができれば、なんだっていいということだ。
そこへたどり着くと、ロジックを語りたくなるものだが、実はただのラッキーでしかなかったりする。
マーケティングやブランディングという言葉を使えば、単純に格好良いし頭が良い人に見えるから、そんな鎧をまとうのかもしれない。
ただ、これだけはいえる。
ラッキーだということがわかっているからこそ、そのロジックを探ろうとする。
マーケティングやブランディングを行うことで、最適解が見つかればいいと、いつもどこかで思っているし、実際にその解を見つけようと動いている。
ややこしい言い回しかもしれないが、この両軸で動いているということだ。
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株式会社stakは機能拡張・モジュール型IoTデバイス「stak(すたっく)」の企画開発・販売・運営をしている会社。 そのCEOである植田 振一郎のハッタリと嘘の狭間にある本音を届けます。