歴戦の勇者である元CTOたちがスタフェスに集まる理由
2009年に創業し、日本最大級のフードデリバリー総合モールを運営しているスターフェスティバル。そんな同社の強みは、飲食店や物流とのネットワークを構築していることですが、テクノロジーをまだ十分には活かしきれていないことに課題があります。テクノロジーをもっと活用すれば「伸びしろしかない」と話していた元メルカリCTOの柄沢聡太郎に次いで、2020年9月には元アイスタイルCTOの竹澤有貴がジョインしました。12期目を迎えたスタフェスに一体何が起きているのか。竹澤のこれまでのキャリアと、スタフェスに感じた可能性について話を伺いました。
ミュージシャンからエンジニアへジョブチェンジ
――竹澤さんのこれまでのキャリアについて教えてください。
僕は最初からエンジニアだったわけではなくて、もともと北海道で音楽活動をしていました。約13年前に上京後も、バックミュージシャンとして活動。でもそれだけでは生活ができなかったので、知人の紹介で都内のWeb運営会社でアルバイトをすることに。これがきっかけで、エンジニア人生が始まりました。
音楽よりもエンジニアの世界に興味が湧いたきっかけになったのは、テンポを決めてベースラインを作ってメロディを乗せていく作曲活動と、エンジニアのものづくりの考え方は似ていると気づいたこと。
さらに、初めての案件で触れたデータベースの構造を理解するうちに、「データ処理が面白い」「プログラミングが面白い」とのめり込むようになったんですね。そこで、音楽をプロとして続けるのはやめて、エンジニアにジョプジェンジしました。
その会社は小さなベンチャー企業だったので、開発だけでなく営業も何でもやる必要があって、働いていた5〜6年の間にとにかくいろんな経験を積みました。SESとして客先常駐や、炎上している案件の火消しも(笑)。なんでも挑戦する僕の基礎はここで鍛えられたと思っています。
その後、もっと大きなサービスやアプリケーション開発をしたいと思ってエキサイトに転職。約3年の間に、システムのリプレイスや新規事業のバックエンド開発、海外エンジニアとのブリッジなどをしました。
そうして、新しい技術を取り入れたり、当時はまだ広まっていなかったチャットツールを実験がてらに作ったりしているうちに、外部から声がかかってPHPに関する共著を書くことになったんです。これが僕の最初の出版物となりました。
誰もやっていない領域に挑戦する、ワーカーホリック
その後、さらに大きなシステムを体験したいと思ってヤフーに転職。アプリケーションの品質改善や、チーム力の強化のためのチームビルディング、アンドロイド開発などさまざまに関わらせてもらいました。ヤフーという組織的にもシステム的にも大きい会社で働きおよそ1年が過ぎた頃、アイスタイルにいた知人のエンジニアから、「アイスタイルには技術的な課題がとにかくたくさんある。何とかしたい」と相談を受け、その際“とにかく課題だらけ”というフェーズの会社は面白そうだとジョインしました。
僕はもともとワーカーホリック気味なので、アイスタイルに入社して半年目に部長を任された頃は、みんながいる時間はマネジメントに徹し、みんなが帰宅後にゴリゴリ開発するスタイルに(笑)。
2018年にCTOに就任すると、エンジニア組織の技術的課題の解決や、技術力の底上げ、人材採用や育成にも注力するようになりました。その傍らで、技術系のコミュニティにはずっと参加していたので、イベントやカンファレンスにも登壇して、企業ブランディングにつなげていました。
また、2015年にアイスタイルに入社したとき、まだ世の中にビッグデータという言葉が出始めた頃でしたが、「この会社には使えていないたくさんのログがある。いつか使うことになるだろう」と思い、個人的に自宅でビッグデータのデータ処理の知見をためていたんですね。
それが功を奏し、2019年に「ビッグデータを扱いたい」と言われたときには、ビッグデータの根幹を簡単に開発できるようになっていました。とにかく、他の人がやったことのないことを率先してやるのが好きで、同時進行で本も3冊書いていたので、振り返ると本当にワーカーホリックだったなと思っています(笑)。
課題にあふれたスタフェスは可能性の宝庫
――バイタリティあふれる竹澤さんが、次の活躍の場にスタフェスを選んだ理由は何だったのでしょうか。
以前からスタフェスのCTOである柄沢とは知り合いで、アイスタイルを退職後、2ヶ月ほど休養期間を取っていたときに「スタフェスには課題がたくさんあって、とにかくおもしろい状態にあるよ」と声をかけられました。
同時期に、いろんな会社からお声がけいただいてはいましたが、ほとんどがエンジニア組織の土台がある状態で「技術力を向上させたいからCTOをやってほしい」という話が多かったのですが、スタフェスは土台がなくて課題がたくさんあったんですね。土台からまさに構築していかれる。
自分たちで土台を作り、文化と組織を作りながら事業をドライブさせていく方が、僕にとってはよっぽど面白い。
もちろん、以前からエンジニア組織はありましたが、小規模でどちらかというと運用するための守りの姿勢が強かったと聞きました。でも会社の方針としてプロダクト開発に舵を切ったことで、保守・運用、リリース作業などの多くが手作業が必要になるようなDX化ができていないアナログな部分に、速いサイクルで物事を進められるようにテクノロジーの力を使った改革が求められていました。またサービスごとにデータもバラバラになっている状態なので、データ分析基盤の整備や分析処理の開発を行ってユーザーやデリバリーといった様々な行動をトリガーに分析を行って、より良いサービス作りを高速に、かつ的確に行えるようにシステム部分は大きく進化させていかなければなりません。テクノロジーを使って、サービス設計や事業推進などに大きくコミットできるものが必要な段階でもあります。
エンジニア組織を自分たちで強化するのも面白いし、今までの自分の経験をフルに生かして次々と課題を解決できるなんて、僕にとっては可能性とワクワク感がずば抜けていた。ここなら、やることがなくならなそうだし、やればやるほど自分に返ってくるような印象があって、スタフェスを次の主戦場に選びました。
物流や飲食店などのリアルをテクノロジーと融合させる
――2020年9月に入社された竹澤さんですが、現在の役割について教えてください。
現在は、フードデリバリーサービス「ごちクル」をメインで担当し、UX改善のためのパフォーマンス改善や、アルゴリズムの変更などを安全に着手できるように静的型付け言語に変更したり、読み込みが高速なデータベースに一部置き換えたり、裏側を支えるアーキテクチャを刷新しています。また、メンバーの教育も担当しています。
使う技術も今までとは変えて、一つのプロジェクト内で2〜3個の言語を使うようにしています。これまで一つの言語、一つのデータベースで、できる範囲で作られていたものを、次々に変わっていくサービスの仕様や機能拡張、扱うデータ構造の変化などに合わせてそれに相応しく、かつ数年先でも容易に変更にできるようにしていく必要があります。現時点のシステムと数年先のビジネス展開を考えてみると、現状変更に強いシステムになっていない、規模に相応しくない部分も多かったので、それらに対応するために、エンジニアの対応力や問題解決に対するアイディアの抽斗(引出し)をこれまで以上に強化したいのです。各処理で得意な言語、データベースというのが分かれているものですが、問題解決のためには一つの選択肢しか知らないというよりも、多くの選択肢を知って、適材適所で技術の採用ができるようにすることで、これまで以上の様々な改善や、仕様変更に耐えられるシステム開発をスピーディに行うことができます。そうした対応力の強化や、技術力の底上げなどを意識してメンバーの育成、教育などにも取り組んでいます。
エンジニアは全体で約14名、「ごちクル」サービスについては僕を含めて3名という小さい組織ですが、そのぶん課題解決に足かせがなく、やりたいと思ったことを何でもできる状況なのが楽しいですね。
今回はCTOではないので、現場からボトムアップで組織を変えていく文化を醸成できたらいいなと思っています。そのためにも柔軟な考え方や、事業を理解して開発に生かす技法、チーム力向上や開発に向き合う姿勢などをメンバーに伝播させ、開発速度向上につなげていきたいと考えています。
スタフェスは入社前に聞いていた通り、事業とテクノロジーがまだ十分に融合していない領域が多く、できることや可能性が多いです。たとえば、お弁当などの配送を自前でやっているから、配送データを吸い上げれば配送ルートの最適化が実現する。物流や飲食店など、さまざまなリアルデータを蓄積しながら最適解を見つけたいと思っています。
いずれにしろ、ここには眠っている資産がたくさんあるので、掘り起こして活用すればプラスにしかなりません。Webで完結しているサービスではなく、リアルのデータがたくさんあるのが大きな価値で、それが数年以内にスタフェスの唯一無二の強みになるはずです。
挑戦したい、改善したい、組織を作りたいなら、最高の職場
――スタフェスで得られるキャリア価値や、フィットするエンジニアについて教えてください。
たくさんありますが、手を挙げて挑戦することを歓迎する会社なので、エンジニア組織を自分の力でどんどん変えていけるんですね。だから、リーダーシップがあって、新しいことに挑戦したいと思うエンジニアにとっては、他のどこよりも楽しめる職場だと思います。
システムも未熟な部分が多いから改善しがいがありますし、改善すれば当然UXやソフトウェアの品質向上につながります。頼もしいのは、それを見て追随してくれる既存メンバーがたくさんいること。
組織は変わることを拒んだ瞬間に、新しい挑戦はできなくなり、エンジニア組織はゆっくり死にゆく運命を辿ります。でも、スタフェスは変わり続けることに寛容ですし、自分たちの力で会社を成長させていくフェーズにあるので、いろんな実験をしながら自身をもっと高みに連れて行ってくれると思いますよ。
また、大きな組織にいると「開発の一部にしか関われない」「新しいアプローチで課題を解決したいのにできない」といったジレンマを抱えている人は結構いると思います。カンファレンスに登壇したときにもらう質問でも、「上司の理解を得られずに新しい技術を使えない」といった声はよく聞いていました。
でもスタフェスはこれから組織を作っていく段階なので、そういったジレンマはありません。少なくとも、CTOの柄沢や僕を筆頭に、新しいことに挑戦し続けたい人が揃っているから、組織が大きくなってもジレンマを感じるような形にはならないと思います。
もし、今いる会社でチャレンジの仕方がわからないなら、率先してチャレンジする僕をぜひ真似してほしいし、挑戦するポジティブな雰囲気がある組織なので安心してほしい。興味があれば、ぜひ声をかけてくださいね。
それから、スタフェスは10年前のスタートアップを成長させた経験のあるような「歴戦の勇者」も活躍できる場です。昔味わった新鮮さをもう一回味わうこともできるし、これまでの経験は当然生かせます。人数が少ないぶん、自分のエッセンスを入れやすいので、きっと心の底からワクワクするような面白い挑戦ができると思いますよ。
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