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第4回 エイジングの研究方法

第4回の講義の担当は、前回に引き続き遠藤利彦先生。
講義動画のリンクはこちら

講義タイトルはエイジングの研究方法。
紹介されているのは、
歳をとるにつれて、何が変わるのか?
その変化はなにに起因するのか?を分析する方法。
あと、最後の方には
サクセスフル・エイジングとは何か?を考えるための諸説が紹介されます。
先生は話を時間内におさめられず、発達心理学の限界は授業内で説明しきれておりませんでした^^; 
このノートにもおさめておりません。
上記講義リンクにある、添付資料をご覧ください。

<講義ノート>

・生涯発達心理学の特徴

従来の発達心理学から、
発達の見方を抜本的に見直すことがなされた。
それはつまり、発達の普遍性。
青年期以降、中高年期への発達にも注目しよう!という動き。

・発達心理学の研究方法

時代差法:複数コーホートを、同年齢時点で調査
時代による個体間変数を統制できる。

たとえば、昭和生まれの20歳と平成生まれの20歳をちゃんと比べることで、
同じ年齢でも、
その時代特有の人の性質が出てくるんじゃね?という疑いを、
払拭する。


※コーホート(cohort):仲間のグループ。
特に統計で、同一の性質を持つ集団。(デジタル大辞泉より)

系列法:中でも特に、シャイエの最も効率的なデザインが使われる。
複数の集団を対象に、縦断的調査をする。
そして、
ある集団が40歳になる→40歳の参加者を追加募集して調査する。
⇒サバイバー効果を統制できる!

・生涯発達における連続性と変化
ー歳をとって、
変わらないもの/変わるものー

- 絶対値/平均値の連続性と変化
異なる集団の同一変数の平均値を年齢ごとに調べる
古典的研究の多くが、横断的方法
→衰えていくことが強調されがち

しかし、そもそも人の性質は、年齢だけでなく、
時代によっても変わる。
だから、横断的方法のデータに基づくグラフは、
人工的で、誤謬でありうる。。。(;´・ω・)

ex.) 知能の発達の曲線でみられる誤謬
時代が最近であるほど、そもそも知能水準が高め。
例えば、同じ50歳でも、1920年生まれよりも1970年生まれの方が
知能は高いと考えられる。
そのもとで横断的研究をすると、本来の年齢による衰退よりも、
大きく衰退していくことが示されるデータが出てしまいうる。
(これは、第三の変数が隠れているせいで起こる、統計の錯覚ですね。
気を付けないと...。)

・パーソナリティの連続性と変化
ーBig5モデルに基づいてー
Big5モデルとは、性格を5つの因子で説明する理論です。

歳をとるにつれて、どう性格が変わっていくのか?というお話。
5因子と加齢の関係↓
経験への開放性ー加齢とともに減少
誠実性ー加齢とともに増大するが高齢期にはやや減少
外向性ー加齢に伴い減少
調和性ー加齢に伴い増大
神経症傾向ー加齢とともに減少するが、高齢期後半にやや増大

こうした変化パターンには、文化差があまり認められない。
(たとえば、アジアでも欧州でも共通ということでしょうね)

では、それはナゼなのか?
- 標準的な社会的時計が関与しているから?
ex.) 結婚、家族形成、キャリア確立など)
- 生物学的・進化論的要因が関与しているから?
  ヒトの動物的本能ゆえ?
ex.) 繁殖成功に寄与する変化
  幼少期ー成長
  若年期ー配偶関係の確立

・差異/順序性の連続性・変化
例えば知能。
ヒト一人に注目して、その推移を辿ると、変化がある。
それにもかかわらず、
そのヒトの、集団内での順位はあまり変わらないことも。

加齢とともに、集団内の順位は固定化していくと示唆する研究がある。
その原因は、環境の変化の影響を徐々に受けにくくなるからか?
といわれている。

・生涯発達に影響を及ぼす要因

発達を駆動する主要因は、
遺伝&環境。生まれ&育ち。
発達では、両者が相互規定的に作用する。
ex.) 生まれつき不安がりな人が、自分とウマの合う保守的な友人やコミュニティとつるむ(遺伝⇒環境)。するとその周囲の影響の中で、その人の気立てに関連する、特定の遺伝子が活性化する(環境⇒遺伝)。

生涯発達心理学での人の発達の分析の枠組みでは、
3要因が想定されている。

①標準年齢的要因:
人であれば共通して経験する要因。
=[生物学的個体発生要因]+[標準的な社会化要因]
(ex.第二次性徴と就職、結婚)

②標準歴史的要因:
ある世代に特有の歴史・社会・文化的要因。
(ex.戦争の経験、大不況の経験の有無)

③非標準的要因
個人特有のライフ・イベントに関連する個別的要因
(ex.浪人)

それらの要因の作用の仕方について、
一説では
若いころは、標準年齢的影響が強い。
青年期以降は、標準歴史的影響が強い。
歳をとるにつれ、非標準的影響が強くなる。

社会文化的文脈が、生き様に与える影響にも注目している
ex. )『大恐慌時代の子ども』を対象とした研究(エルダー)
その研究によると、
恐慌時に児童だったコーホートよりも、
その時乳幼児だったコーホートの方が、
受けたダメージが大きかったという。


・発達的行動遺伝学が明かす発達のパラドクス

遺伝率:
とある集団内にて、ある特性を反映する特徴における個人差のばらつきを、遺伝子型のちがいで説明できる割合。
(世の中には、算数が得意な人も苦手な人もいる。
その差は何によるのか?という時に、遺伝とするか、後天的要因とするか。)

遺伝率を明らかにする方法は、双生児研究。
一卵性双生児ー共有する遺伝子全く同じ
v.s.
二卵性双生児ー共有する遺伝子はきょうだい並み
このデータを集めて遺伝率を導く。

遺伝率は、年齢によって変化する。
例えば、年を取ればとるほど、知能のちがいは遺伝子の差に由来する。
(ただ、経験は蓄積されていくはずなのに、環境的要因よりも遺伝的要因による説明率が上昇する?という謎はある。
その背景は、人生の中で人は、自然と自分の遺伝にマッチする環境を選び取っているのであり、それゆえ遺伝的要因の影響が強いことになるのだ、といわれる。)

非標準的影響(つまり個人に特有のもの)については、
環境要因の影響は、年齢とともに低下していく。
遺伝的要因の影響は、年齢とともに強く影響するようになる。


・生涯発達の諸理論

精神分析
フロイトーパーソナリティの発達では幼児期が重要だ!
ユングー40代以降の内面化の過程が成長だ!
ビューラーー人生を5段階に分けた。老年期は引退と回顧の時期だ。
ハヴィガーストー発達課題理論。
老年期の発達課題は、健康の衰えへの適応、引退への適応などだ。

エリクソンー精神分析の理論に社会・文化的視点を導入したよ。
ライフ・サイクル論:人生を8つの段階に分けた。

・エリクソンのライフ・サイクル論における中高齢期以降
 
成人期後期
生成継承性 vs 停滞 の葛藤が起こる
危機:
変わりたくないのに、変わらないといけない
子離れの課題
老親との関係(役割の逆転、再調整)
職業・役割から離れた自分の立て直し

老年期
統合 vs 絶望  の葛藤が起こる
危機:
退職・対人関係の変化
身体機能の衰え、近親者の死

老年期には危機を多く経験→心理的成熟の契機になる
統合とは、
それまでの自分の良いところ嫌なところ、すべて合わせてひっくるめて、
受容するようになること。

老年的超越性
90歳以上の人は、統合性を達成した人でも危機を経験するかもしれない。
心身が衰えることにより、以前に解決された危機と再び向き合うことになる。
その結果、自己概念の変容、宇宙的意識(宗教的な?)の獲得


・寿命の伸びとサクセスフル・エイジング
時代とともに寿命は伸びているが、
不健康の時期が拡張しているともいえる。

→サクセスフルエイジングを目指そう!

でも、サクセスフルエイジングとは何だろう?

・まず、QOLとは? 
残念ながら、QOLの決まった見方も測度もない。

分野ごとの視点のQOL
医学・保健ー生命の質ー健康・生活機能を測定
社会・福祉ー生活の質ー社会経済地位・活動・日常生活の質を測定
心理学などー人生の質ー幸福感・生きがい・自己概念等を測定

・活動という観点からのサクセスフルエイジング

活動理論:高い活動性の維持がハッピーの鍵だ。
離脱理論:高い活動領域からフェードアウトしていくことがハッピーの鍵だ。
連続性理論:↑の内どちらなのかは、人によって異なるよ。
つまり、前段階との関係が鍵だ。

SOC理論(選択最適化補償理論) 
心身機能の低下という現実に対する、健康的かつ適応的な対処。

自分の持つコンピテンスを最大限発揮できる領域を、
狭くてもいいので、選び出して、そこで全力でがんばる。
それにより、幸福度を向上させられるという理論。

SOC理論の参考にしたリンク

授業では話きれなかった内容は、資料にあり。
生涯発達心理学の限界など。



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