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胸キュンではなく、胸クソな反面教科書の恋愛映画「わたし達は大人」

ヒロインになりきれないヒロインの物語を輩出するプロジェクト「(not)HEROINE movies」の第一弾となる作品。

まさにキラキラしているヒロインになれないヒロインを目にした。

あらすじ
男性の俺様感と女性の尽くしたい気持ちが上手くずれていて、ずっと噛み合わない。
噛み合わないことに気づかないふりをしながら一緒に暮らす。
ある日、同棲している彼女が妊娠したけど旦那は今彼なのか、違うのかをきっかけによりお互いの想いがずれていく。

久しぶりにみた、こんなに胸糞悪い映画(褒めてます)。カップルの痴話喧嘩映画で、反面教師としては画むちゃくちゃ良いかも。

冒頭から違和感を感じる男女のやりとり。
同棲してる男女のシーン、体調悪そうな彼女に対して、男性が熱測った方がいいよって心配するのだが、全ては薄い言葉のみ。体温計をとるのは彼女で、そのまま男性のために朝ご飯を作るのも彼女。

終始、自信をもち、全て自分の判断が正しいと思う俺様系男に同じ男としてもイライラさせられる。

こういう作品を見ると、悪い例としてこんな男性にはならないぞっ思うんやけど、他人のレビューを見るとどうやら共感する人も少なくないみたいで、そんな人もいるんだなって驚かせられる。

リアルとは俯瞰することができず、違和感に気付かないものなのかもしれない。

俯瞰してみると、いろいろ違和感を感じるシーンが多かった。
・女の子の初体験エピソードでは初体験は童貞の彼氏ではなく、経験済みの彼氏ではない男とセックスしたという話。
・友達達と贅沢して一旦ホテルに、後日彼氏にサプライズで連れていってもらい、初めて来たリアクションする女性。
・彼女の子供が自分か別の男か、関係なく自分の子供として育てる決意をしながらも、遺伝子を調べようとする男。
・考え方の相違、別れる判断をしても、まだ好きと言う感情。

しかし、自分の人生を照らし合わせると近い経験したこともあると思うと、恋するってある意味相手に酔っているのかもしれない。

キャストもよかった。
特に藤原季節さん。今作ではなかなかのサイテーな俺様役がリアルに感じ、hisやくれなずめなど今まで見ていたイメージが吹っ飛ぶほど。

あとは山崎紘菜さんもなかなか衝撃。
今まで清純な役を演じているイメージやったけど、ヒステリックな感じ、今までの真逆な役にドキドキさせられた。

監督の加藤拓也さんは今作が長編デビューってことで、度きつい作品を生み出したな。
今後の加藤さんの作品も見たくなった。

「わたし達は大人」という皮肉ったようなタイトルもよかった。
大人だけど大人ではないみたいな。
見終わったあとに、大人になるってどういうこと?なのかを考えたくなった。
成人になれば?社会に出て仕事で金を稼げれば?子供がうまれて親になったら?

もしかしたら、いずれも違うのかもしれない。
自分なりの大人の定義を見つけたくもなった。

最近見た映画の中でぶっちぎりの胸糞映画だったはずなのに、思い返している間にいろいろ人と話したくなった。
話したくなる映画はおもしろい映画だと思う。

これは成熟されていない若いカップルが未熟なまま大人になろうとする最高の胸糞映画なのかもしれない。

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