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【小児科医にきく】どの程度多動だと支援が必要?

2歳で病院や親の用事など少しもその場に居れず走り回ります。多動で支援を受けた方が良いのか見極めを教えてほしいです。こんな様子なら大丈夫、これは心配などありますか?

Instagramフォロワーさんから頂いた上記の質問を、小児科医の石川道子先生に答えて頂きました。この記事は、Instagram Liveでの内容を、部分抜粋し、言い回しを少し変えて記事にしています。

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多動で支援を受ける見極め


子どもさんが、言葉の指示をどのくらい聞けるかが、ポイントかと思います。

激しく動いている時に「座っててね。」とか「そっち行かないよ。」みたいな声かけをすると、どう反応するのかを見て欲しいですね。

普段動きは多いなと思っても、そういった声かけに従ってくれるのであれば、保護者の方としては、それ程やりにくくないですよね。

前提として、2歳という時期は言ってすぐ聞けない場合も多いですが、声かけを聞いてくれたり、すぐに聞けなくてもこちらの言ってることが伝わってるなという感覚があるかどうかです。いわゆる、言葉の理解や状況の理解がどの程度か、というところですね。

もしも、普通に声をかけただけでは伝わらないということであれば、専門機関につながって、どうやったら伝わりやすいかを、教えてもらうといいと思います。


どうやってよく動く子を落ち着かせるか?

落ち着かせる方法は、本人が落ち着けるもの、熱中できるものを使うことですね。要するに、本を読むとか、あまりおすすめではないですが、携帯の画面みると落ち着いてる子もいますよね。何にもしないで、ずっと待つというのは、年齢が低ければ低いほど難しいですから。

2歳だと、物でもすぐに飽きてしまうので、診察室に来られるときに、3つぐらい大きな袋持ってこられるお母さんもいましたよ。結構、図鑑のような分厚そうな本なんかも持ってこられて、準備がいいなと思いました。

あと、意外かもしれないですけど、お話のやり取りが楽しいお子さんは、話しかけると止まるんですよね。なので、退屈しないように、時々声をかけてあげると良いです。

多動になる原因は?


時間感覚がまだ身についていないと、いつまで待てば良いかがわからない(見通しが立っていない)ことは1つの原因かと思います。反対に、大人は、どれくらい待てば次のことが始まるかが、おおよそ経験から分かるようになるので、待てるのです。

それ以外にも、お子さんのタイプによって、動きが多くなる原因がいくつか考えられます。

タイプ1
あまり慣れてない場所が凄く不安で、不安なものを全部確かめたいという子。初めての場所では、引き出しも全部開けるわ、扉も全部開けるわで大変ですが、こういうライプの子は、よく行く場所では落ち着けるという特徴があります。


タイプ2
人と人が何かお話してるなとか、人の行動に全く興味がない子。このようなタイプの子は、(周囲を見て学ぶことが少ないので)自分はここに座っていればいいということが、よく分かってないです。そして、よくわかってなくても、自分で動くことは出来るので、動き回るという感じです。

タイプ2の子に対して、「待っててね。」といくら声をかけても通じないので、大人の苦労が増えるばかりです。ですから、何かその子が歩き回る以外に出来るものを用意しておくということが大切なのです。


タイプ3
凄く目がよく効き、自分がやりたいものや気になるものが、目からの情報として入ってしまうので、刺激に向かってまっしぐらになってしまう子。


このようなタイプのお子さんには、見える環境をすっきりさせることが大事です。また、このタイプも家でよく遊んでるなものを持って行くことで、余分なものが目に入らなくなる効果がありますね。

他にも多動の要因やタイプは考えられると思いますが、大事なことは、多動だからこうしなくてはいけない、ではなくて、多動の背景を考えて、背景の方に対応してあげないと、結局事象としては解決しないということです。「そこに座っていなさい。」っていう強い声かけに何らかの格好で従うんですけど、根本的なところは解決してないので、やらされた感があって苦痛を感じて育つ場合もあるのでね。

ADHDの診断は小学生以降につきやすいのはなぜ?


年齢が低ければ、集中する時間が短いのは当たり前です。そして、物事に集中する時間は、やはり年齢とともに長くなっていくんですよね。小学校の間も、そういう意味では刺激に反応することを制御して、何かに集中する力は育ってるのです。だから、授業は小学校の時は45分だけど、だんだん長くなってきますね。

それから、自分が思って、即行動にうつさないで吟味する力も育ってきますね。

非常に線引きは難しいのですが、診断つけるときは、「生活に支障が出てること」という前提です。それは、暮らしてる環境がどういう環境かということも関係します。育つ環境は皆バラバラですが、基準が一定になるところが学校での集団生活だと思います。幼児教育は、人数にバラつきがあったり、集団の基準に幅がありますが、学校は割と一定です。それから、授業は45分座ることも一定です。この基準が整っている中で、大多数の子が乗れているのに乗れない時に、多動とされることが多いのかと思います。

ただ、幼児期に受診してる時に、意外とADHDと診断を受けることも多いんですよ。親御さんからの訴えが、「すごく落ち着きがないです」ということになると、質問紙で点数がとれちゃいます。一方で、幼児期は子どもはこんなものじゃない?思っていても、学校に行って枠(基準)がはっきりした時に、枠に乗れてないってことで受診されて、ADHDが付く人もいますね。

こういった診断がつく方たちは、発達の凸凹といって、育ちやすい領域と育ちにくい領域がある方が多いです。そして、年齢が上がるほど育ちにくかった部分が目立つことがあります。ですから、大きくなって診断名が変わることもあります。1番は、学習が出来ないことが分かって、学習障害が診断に加わることが多いですね。

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