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集団生活で行動がワンテンポ遅れる子は、やる気がない?

園生活の中で、着替えやお散歩準備など手順が複数あったり、活動と活動の切り替えになる時間に、どうしても行動がワンテンポ遅れる子がいます。一見「やる気がない子」と取られることの多いこの様子ですが、本当に「やる気がない」のでしょうか?

※この記事は、保育園や学校で、発達障がいを持つお子さんによく見られる行動と支援という切り口で、書いています。ただし、行動がワンテンポ遅れるからといって発達障がいであるとか、発達障がいの子皆が行動が遅れるわけではない点は、ご理解ください。

下記のInstagramでの Live内容を引用しています

https://www.instagram.com/hattatsu.hoiku.gakkou/?hl=ja

指示が伝わっていないことで、行動が遅れる

周囲に合わせて動こうとする気持ちは育っている子であっても、全体指示が何らかの理由で本人に伝わらない、ということが起これば、それは行動の遅れの原因になると考えられます。

何らかの理由とは
・不注意で指示自体を聞き逃す
・自分も指示の対象という自覚が薄い
・指示の理解ができない
などを指します。

全体指示が本人に伝わっていない場合、指示が終わった直後に動き出すことは当然難しいので、他の子たちが動き始めて、「あー何かしなきゃいけない!」と気が付いてから、周囲をみて行動し、結果的にワンテンポ遅れることになります。

また、何か別に気が向いていたことから全体の活動に、注意や気持ちを切り替える必要があるので、各々の切り替える速度によって、すごく遅れる子から、ほんの一瞬遅れる子まで幅がでてくることになります。

指示が理解できているのに、行動が遅れる


一方で、指示されていることに注意は向いているし理解しているけど、不安が高いので周囲を確認しないと動けない子もいます。そういう子は、人の行動を見てから行動開始するので、ワンテンポ遅れます。

こういったタイプは、園でワンテンポ遅れるし、理解力低いのではないかということで、専門機関で発達テスト受けに行くと、意外と高いIQが出てびっくりする場合があります。

療育などのマンツーマンだと、自分の理解力のままに行動できるので、力を発揮できますが、集団のなかでは確認がいるタイプです。

このタイプの子には、「大丈夫、あってるよ。」のような安心する声掛けと同時に、「心配になっちゃうんだよね。」と言う、自分の気持ちの持ち方を伝えてあげると良いと思います。

時々、絶対あってると分かっていても、何度も先生に確認しにくる子もいます。それは、同じく背景には「間違ってはいけない不安」を抱えているものの、周囲を見て確認する子とは、方略が違います。このタイプは、先生に聞きに行くのはOKなのですが、度を超すとしつこいって言われるリスクがあります。

あまりに確認が頻回な場合には、小学生であれば、書かれた指示を確認して、のように確認の仕方を教えていくと良いと思います。幼児期は、字を読むのが特別に得意な子には、小学生と同じ確認の仕方をさせたら良いでしょう。

衝動性が高いタイプの子だと、「あってる?」と人に聞いた上で自分のテンポで相手から答えが返ってこないとイラっとすることがあります。

この場合は、「この説明終わったら行ってあげるから待っててね。」のように、聞いたらすぐ答えてくれる形が固定化しすぎないようにした方が良いと思います。自分のテンポで聞いて、いつも答えが得られるわけではないという経験は、いろんなタイプの大人と関わる上で必要な経験です。

そもそも周囲に合わせる気がなく、行動が遅れる

上記2つのタイプとは違い、周囲に関心をもって、「みんなが何かしてるから、それに合わせて動いていった方が良いぞ」ということが身についていない子は、当然周囲に合わせて動かないので、自分ペースの行動になります。

特に、人生の中で、みんなと一緒に動くという事が一度も出来て無い子は、一緒に動くという意味が分からないので、当然マイペースに動きます。

だから、幼児期のうちに「みんなと動けて、ラッキーだった、楽しいことがあった」という経験を積むことで、集団生活に馴染む上では大事です。

みんなと一緒に動いてよかった経験は、やはり「動いてメリットがあった」という感情とセットにする必要があります。

たとえば、一緒に動いた結果
・長く遊びができる
・残り物のおやつでなく1番大きい物を選べる
・「よく頑張ったね。」と褒められる
など、いつもと違う良いことがあると実感しやすいと思います。

「お散歩の時に先生のお隣をゲットできる」ということも、良い刺激だと思います。一般的には、みんなと一緒に動けてない子が先生のお隣になることが多いですが、そうすると、人が横についてもらうには、集団から外れてた方が良いという誤った学習にもつながる可能性があります。保育現場では、早く行動できたら先生の隣というセットを意識できると良いと思います。

注意としてな、周囲とテンポが合ってなくても、「みんなと同じことしてよかったね」を大事にしてあげることです。本人にとって苦手なことを頑張ったのですから。

ワンテンポ遅れちゃう子って遅れてる原因が本人たちなりにあるので、それが何処の部分で起こってるかを見極める必要があると思います。

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