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相手に見えている景色に映ろう

「大丈夫?」


困ってそうな人を見て、こんな言葉ををかけることがあります。

何か助けたい、自分にできることがないかと探します。


「この人は、きっとこんなことで困っているんだろう」

「自分ができることで、解決ができないだろうか」


こう考えるのは自然なことです。

決して悪いことではありませんし、素敵な寄り添いでもあります。


でも、

心配してくれることがありがたい一方で、相手のこうした思い込みに当事者は悩まされることがあります。


すべてを見えなくする、思い込み


「ああ、そう見えてるんだ」

「そうなんだけど、そこじゃないんだよなぁ」

「ありがたいんだけれど、なんだか断るの難しいなぁ」

「勝手に決めつけないでほしいなぁ、もうほっといてくれ」

「この人は、自分のために私を利用しているのか?」


助けたいという思いは嬉しいものの、助けたい病は時には迷惑にもなります。

つまり、ありがた迷惑です。


事前にワタシも、「占ってみたんだけど・・・」なんて、身勝手なアドバイスに、嫌な思いをしたことがたくさんあります。

占いは否定しないけれど、勝手に占って伝えられるほど迷惑なことはありません。


解決したい病、解決しなければならない病


ビジネスも一緒です。


顧客やマーケットニーズを勝手に思い込むことがあります。

SDGsや社会課題を前にした時にも、思い込みの仮説で迷惑をかけることがあります。


多くの経営コンサルと呼ばれる人たちも、解決しなければならない病で、自分ができる解決を押しつけたりします。

またカウンセリングを生業にする人たちも、解決したい病で、答えを早急に出そうとします。

ビジネスをする人も、解決できるハズだ病で顧客に商品を押しつけたりします。


なぜこういうことが起こるのでしょうか。


質問がわからないから困っている


答えはひとつ。

相手の見えているものを、知ろうとしないからです。


「いや、出ている言葉に答えているから、合っているはずだ」


そういう反論もあるかもしれません。

では、どれだけ言語化ってできるのでしょうか。

いまもこうして目で見えている世界を、ひとことで表すことなんて、できるでしょうか。


必要なことは、相手が見えている世界を一緒に見る、ということです。


何がそこに見えているのか

どんな経験や記憶から現在があるのか


本人しかわからないことがほとんどです。

その本人すら、わかっていないこともほとんどです。

質問をしろといっても、その質問がわからないから困っているわけです。


「あなたの欲しいものは何ですか?」


そんな風に顧客に聞いて、出た答えのものを目の前に置いても、大抵は「これじゃない」と言われます。


アウトサイドイン、


自分が相手に対して何ができるか
ではなく
相手にとって自分に何ができるか


最終的に自分の商品を押しつけようとしたり、自分が優位に立ちたいという思いがにじみ出ている場面をよく見ます。

いわゆるマウンティングをしている風景など、見るに堪えません。

毎日のようにSDGsについて話をしていますが、大企業が出すSDGsの目標や宣言の多くがズレています。

結果的に商売が目的であることはわかりますが、それがにじみ出てドン引きします。

こうした会社のほとんどは、プロダクトアウトの発想で、独りよがりです。
だからSDGsウォッシュやラベリングしているだけなんて言われちゃうわけです。


相手の景色を一緒に見る


一旦自分のできることは脇に置いておくのが良いと思うのです。

肩書きも所属も立場も捨てて、まっさらになって、
そして、一緒に眺めてみるのが良いと思うのです。

私も可能な限り現場に行き、細かい作業や雑用をしたり、まず自分で全部やってみることが多くあります。

アタマで考える人が多いのですが、五感を通じて感覚で理解したり、
当事者になってみないとわからない景色がそこにあります。

もちろんすべての景色を見られるわけではありませんが、その景色を一緒に見ようとしているかどうかという姿勢は、少なくとも相手には伝わるのではないでしょうか。


相手の見えている景色を
一緒に見てみる


ビジネスなら、
消費者になってみるとか、お店に売るならお店をやってみるとか、
SDGsなら、
現場でボランティアをしてみるとか、話を一緒にしてみるとか、

アタマで考えて実現しようだなんて、自分への過信にすぎないのではないでしょうか。

たとえば子どもの目線に屈んでみるだけで、見える景色は変わるはずです。


そしてビジネスだけじゃなく、私たちが生きていくあらゆるケースで、一緒に景色を眺めてみることが、とっても大切じゃないかと思っています。

そして一緒に見える景色に、自分がどう映れるのかを考えることこそが、本当の支援であり貢献であり、ビジネスを通じた社会課題解決なのだと思います。

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