見出し画像

ヘッドハンター・キムさんからの電話

「キムさんが、電話欲しいみたいです。」
キ、キ、キ、キムさん…?木村さん??

会社には最近、個人宛の怪しい電話がよくかかってくる。僕が身を置く建設業界は慢性的な技術者不足なので、巧妙に本題を誤魔化したヘッドハンターっぽい人からの電話を繋がれることがある。

今回は、「ナントカ工務店ですが、○○道路工事について話がしたい。△△さんいますか?」みたいな導入だったようだ。建設業には、建築と土木という分野があるのだが、道路工事は土木分野。で、ご指名いただいた△△さんは建築分野の技術者。
  「△△さんは、建築の人ですが?」
キム「じゃあ、◎◎さん!」
  「その人も建築ですけど?」
キム「じゃあ、▲▲さん!」
みたいな残り物ドラフト会議で最後に辿り着いたのが土木分野の僕でした。ホームページの社員インタビュー、一番後ろだからね。

○○道路工事は、去年会社の先輩が携わった工事で、僕は一切関係ない。でも、ナントカ工務店が困っているならと思い、一応電話をかけてみる。日本語の上手な外国人が、iPhoneの向こうにいた。

キム「御社で施工した○○工事について話がしたくて、現場担当者から連絡を差し上げたいのですが、よろしいですか?」
みたいなことを、カタコトで言われる。いや、お前は何だよ!笑
現場担当者が電話しなよ!
「いいんですが、私、その現場を担当していないんですけど。」
と伝えても、壊れたロボットのように同じ文言「現場担当者から連絡を」を繰り返してくるキムさん。携帯の電話番号ゲットしたから、きっともうキムさんの仕事は完遂なのだろう。

この後現場担当者から連絡が来て、一体どんな展開が待っているのかな?
僕の会社携帯の電話番号がヘッドハンター界隈に流出して、ネット引越し見積りの如く鬼電がかかってくるのか。
セクシーな声の女性から電話でおびき寄せられた僕がハニートラップにかかり、まんまと弱みを握られて骨抜きヘッドハントされてしまうのか。
マジで何かに困っている現場担当者に、質問攻めにされるのか。
正直、何が起きるか楽しみ。

ああ、キムさんはヘッドハンターなのだろうか。
どちらにせよ、韓国からわざわざやってきたキムさんが、心から自分のやりたい仕事をできていることを祈る。

#創作大賞2024 #エッセイ部門

この記事が参加している募集

#業界あるある

8,630件

#創作大賞2024

書いてみる

締切:

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?