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読書感想文 23AW
‘240109
7月
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「ヨーロッパ退屈日記」伊丹十三
佐渡島旅行のお供として持って行った。旅をしている時に誰かの旅エッセイを読むのは、非日常同士がかけ合わさってむしろ日常。親近感を覚える。
英語の発音についての指摘が的確なことに驚いた。俳優という職業もあってか、食のエッセイには書かれていないようなこと(ファッション、アイデンティティ、カクテルなど)もたくさん知れて読後の満足度が高い。
中国料理の美味しい食べ合わせ、食事の服装など、ガストロノミーも好きなんだなと思った。私もである。
私が生まれた翌年に亡くなった。彼のことはこの本でしか知らない。
8月
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「HYGGE 365日シンプルな幸せのつくり方」マイク・ヴァイキング
「マジックショップ」ぶりの幸福に関する海外の書籍。読んでいるだけでリラックスできて、寝る前にベッドライトで読むには最適な本だった。
デンマークの気候を知って、四季があることは恵まれてるんだなと思った。
キャンドルを引っ越し祝いでもらった時、すごく嬉しかったのを覚えている。とても良い香りだった。思い出すだけでもじわじわ暖かくなる。瞼が徐々に落ちてくる。
9月
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「美味礼讃」ブリア・サヴァラン
ひたすら著者が「あの料理は美味しい」「あれはまずい」と食事そのものに対して評価していることがほとんど。かの有名な「どんなものを食べているか言ってみたまえ。君がどんな人か言い当ててみせよう」に引っ張られて、選択する食事とその人の傾向を分析している本かと思っていた。
当時どれだけ完璧なものに見えても、時を経て一歩引いたところから読んでみると意外と穴が多かったりする。著者の性格と時代背景が浮き彫りになるから面白い。
10月
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「緑の天幕」リュドミラ・ウリツカヤ
ロシア文学、大河小説という2 つの新しいジャンルに挑戦。圧政に屈しない人々の一生を歴史色濃く書かれたものと思ったら、実際は人々の感情・生活側にフォーカス。時系列はバラバラで短編集みたいだった。
Aという人から見た事実の裏で、Bという人はこんな風に生きていた、といった「知らぬ間に関わりができていて、それを知らないまま死ぬ」みたいなことが自分の周りにもあるんだろうなと。
学生時代の先生が子どもに及ぼす影響は計り知れない、という根底にある考え方に同感。
11月
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「透明な夜の香り」千早茜
お久しぶりの大好きな千早さん。食べ物の描写は、食べなくても分かる。絶品。人間の心のギリギリ理解できる、できないを描くのがうまい。実際に出会ってみたい、と思わせる人物を作り上げた千早さんは天才。
12月
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「五感巡礼」大竹昭子
ペーパーブック的な文庫本。表題とカバー絵が気になって買ってみた。
「素人感が出ない文章感」ってすごく大事なことなんだなと。文章の中の「私」はあくまで読者自身もしくはサブなのであって、作者の人間感があまり出過ぎてもいけないのかもしれない。
なんて言えば良いかわからないけど、言葉の訴求力がある人たちは、個人の話をしながらも没個性ができている人たちなんだろうなと思う。
音の話は面白かった。意識した瞬間からめちゃくちゃ気になり出しちゃうのわかる。