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日本語でソネットを書くということ その8 脚韻ソネットをつくってみる
少しおまけ。前回で終わろうと思ったのですが、よく考えたら理屈だけ述べて実作につなげないのは、僕自身にとって何の意味もないと思ったので、あと2回だけ続けます。
ここからは実作編。いくつか自分なりにつくってみたソネットをあげます。まずは、脚韻ソネットから。
青
夜空に期待しなくなったのは
流れ星なんて見たことないから
真っ赤な夕日が嫌いなのは
内臓みたいな色だから
僕の見てないところで太陽は沈み
雨は僕の顔を叩きつけた
風は僕の知らない場所へ雲を送り
三日月は嫌らしい笑みを浮かべた
傷つきたくなんてないからと
前だけ見つめてきたんだけどな
そうすればきっと安全なんだと
なのに、転んだときに見えたのは
それは、ずっとずっと遠くの空の
透き通るような、包み込むような、青
赤
僕らが集った広場の壁には
大きな布が貼られていて
大声で叫ぶ誰かが映っていた
僕らは笑った、その必死な顔を見て
あの日、青空の下でそれは
すでにもう、始まっていたんだ
僕らはそれを見ながら、理由までは
考えようとしなかったんだ
今、僕らは思う 僕らが必要なことを
誰かと歩調を合わせることを
その大切さを知っていたなら
今、僕らは聞いている 響きわたる銃の音を
そして見ている この青空のもと
瓦礫の中で遊ぶ子ら かつて誰かのものだった赤
今回は、脚韻だけに焦点を絞りました。なぜかというと、脚韻を踏むことで失われがちな物語としての統一感を失わせたくなかったからです。立原道造のようなソネットで、なおかつちゃんと韻を踏んでみる、というのを目指しました。
多分この方向を突き詰めていくと、今の日本語ラップのようなものになっていくのでしょうね。まあ、そこまでいってしまうと、僕の趣味ではなくなるなあ、というか、それはそれでソネットである意味がなくなるかもな、とは思います。
あと、ソネットではないけれど、脚韻の詩をもうひとつ。こちらは、韻を踏むだけじゃなくてほぼ七五調(所々七七)で揃えてみました。
四季
春
木々が教えてくれた空
円く輪を描き飛ぶ雲雀
命煌めくオーケストラ
鈴と緑の織りなす光
夏
風が囁き誘う海
飛び跳ね踊るカモメたち
くるぶし撫でる波が澄み
揺れる紺青、突き刺す日差し
秋
大地が羽織る真っ赤なマント
月が照らしてくれた夜
木枯らしからのプレゼント
頭を垂らした麦薫る
冬
誰かが残した橇の跡
雪が歌った物語
寂しさの先 また会えたらと
窓暖めた祈りの灯り
マチネ・ポエティクの詩のような読後感をめざしてつくりました。
さて、次は、音律にこだわってみます。それは、また明日。続く。
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