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詩歌ビオトープ

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歌人や俳人、詩人の分布図を作るプロジェクト
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2023年6月の記事一覧

詩歌ビオトープ030:近藤芳美

詩歌ビオトープ030:近藤芳美

詩歌ビオトープ30人目は近藤芳美です。

この人は1913年、朝鮮馬山浦で生まれました。12歳で帰国し、広島県に住んでいたそうです。高校生の頃短歌に興味を持ち、広島で療養していた中村憲吉を訪ねたことがきっかけでアララギに入会、中村と土屋文明に師事しました。

大学卒業後は建設会社に入り、設計技師として働く傍らアララギの活動もしていたそうです。

終戦後の1947年には加藤克巳、宮柊二らと「新歌人集

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詩歌ビオトープ029:宮柊二

詩歌ビオトープ029:宮柊二

詩歌ビオトープ29人目は宮柊二です。

この人は1912年に新潟県で生まれました。北原白秋に師事して「多摩」の創刊に参加、戦時中は召集され、そのときの経験を詠んだ「山西省」は戦争詠の代表的な歌集といわれています。

戦後は「多摩」の後継誌として「コスモス」を創刊。「コスモス」は今も会員がたくさんいて、歌壇における重要な一派といえるのでしょうね。

門下生もたくさんいて、島田修二や高野公彦、河野裕子

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詩歌ビオトープ028:中野菊夫

詩歌ビオトープ028:中野菊夫

詩歌ビオトープ28人目は中野菊夫です。

この人は1911年に東京都で生まれました。中学生の頃石川啄木を読んで短歌を始めたものの、特に誰かに師事するといったことはなかったようです。

その後多摩美術大学でデザインを学び、卒業後は学校の図画の教員となりました。

歌人としては、戦後「人民短歌」の創刊に関わり、その後自身の歌誌である「樹木」を創刊します。

この「人民短歌」はいわゆるプロレタリア文学系

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詩歌ビオトープ027:香川進

詩歌ビオトープ027:香川進

詩歌ビオトープ27人目は香川進です。

この人は1910年、香川県に生まれました。大学在学中に前田夕暮に師事し、自由律短歌を始めます。

大学卒業後は三菱商事に入社、サラリーマンとして働いていた頃に戦争が始まり召集、戦後の1952年に第一歌集となる「氷原」を上梓しました。

その後は文語定型短歌へと回帰し、1953年には山本友一らと歌誌「地中海」を創刊。1998年に亡くなりました。

今回も、小学

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詩歌ビオトープ026:山本友一

詩歌ビオトープ026:山本友一

詩歌ビオトープ26人目は山本友一です。

この人は1910年生まれ、19歳の時に窪田空穂の創刊した「国民文学」に入会し、松村英一に師事しました。その後、香川進らと「地中海」を創刊。「国民文学」も「地中海」も、今でも続いている短歌結社なのですね。

満州鉄道に勤務していた頃に日中戦争が開戦、現地で召集されました。その頃の経験を詠んだ戦争詠が高く評価されているそうです。

さて、今回も小学館の昭和文学

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詩歌ビオトープ025:佐藤佐太郎

詩歌ビオトープ025:佐藤佐太郎

詩歌ビオトープ25人目は佐藤佐太郎です。

この人は1909年に宮城県で生まれました。大学卒業後に上京して岩波書店に入社、この頃斎藤茂吉に師事して「アララギ」に入会します。1945年には岩波書店を退社し、自らの第一歌集の名を冠した歌誌「歩道」を創刊しました。この「歩道」は今でも精力的に活動しているようですね。

さて、今回も小学館の昭和文学全集35に収められた歌を読んでいきます。

本書には第一歌

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詩歌ビオトープ024:斎藤史

詩歌ビオトープ024:斎藤史

詩歌ビオトープ24人目は斎藤史です。

この人は1909年、東京都に生まれました。お父さんが軍人でありながら歌人でもあり、その影響で佐佐木信綱に師事して若い頃から「心の花」の同人だったそうです。その後、前川佐美雄らの新芸術派運動に参加しました。

若い頃はまるで絵本の世界のような幻想的でロマンチックな歌が多かったそうですが、27歳のときに二.二六事件があり、幼馴染だった青年将校の多くが刑死、父親も

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