詩歌ビオトープ027:香川進
詩歌ビオトープ27人目は香川進です。
この人は1910年、香川県に生まれました。大学在学中に前田夕暮に師事し、自由律短歌を始めます。
大学卒業後は三菱商事に入社、サラリーマンとして働いていた頃に戦争が始まり召集、戦後の1952年に第一歌集となる「氷原」を上梓しました。
その後は文語定型短歌へと回帰し、1953年には山本友一らと歌誌「地中海」を創刊。1998年に亡くなりました。
今回も、小学館の昭和文学全集35に収められている歌を読んでいきます。
本書には「氷原」から76首、「印度の門」から36首の112首が収められていました。
で、僕の分類ではxが14、yが11で「絵画的かつ自然主義的」な人になりました。
この人もしっかり師匠と同じカテゴリーに入りましたね。やっぱ昔はちゃんとあったんだろうなあ、それぞれの結社の色みたいなのが。
ちなみに、前回も紹介しましたが、この人が創刊した「地中海」は今も続いているようです。
本書に収められていた「氷原」も「印度の門」も、時期的に戦争体験を詠ったものが多かったです。ただ、その割に明るいというか、ふっとすごく可愛い雰囲気の歌が出てくるのが、なんかすごくいいなあと思いました。
たとえば、この歌。
すごく現代的な感じがしますよね。時代がよければ、きっとこういう歌をたくさん残した人だったんだろうなあと思います。ちょっと晩年の歌も読んでみたいです。
あと、この歌がすごく印象的でした。
この歌、師匠である前田夕暮のこの歌にすごく似ている気がします。
やっぱ、好きだったんですね、師匠が。それでいてこの人の歌の方は、もっと前川佐美雄的なシュールレアリスムっぽさも感じます。
あと、一番好きだと思ったのはこの歌です。
きっとこの歌、何かの隠喩ですよね。沖縄で詠ったようです。多分、戦争のことだと思う。この歌の情報だけでは何も分からないけれど、なんかすごく心に残っています。
ということで、28人目に続く。
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