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タイ人の人情、奥が深すぎ

いやぁ、タイ人と結婚して長くなりますが、一緒に生活していても、時々妻の思考法に困惑することがあります。

まぁ、それは日本人同士で結婚したって、おそらく同じことなのでしょう。私は日本人と結婚した経験がないので、断定はできませんが。

とはいえ、やはり私にとって、タイ人の人情は奥が深すぎます。理解を超えることがしばしばあるのです。

1月24日、タイ南部のサトゥーン県で、小学1年生の女の子が重いカバンを背負おうと苦心している様子が見られました。ある TikTokユーザーがその様子を撮影して投稿。それがまたたくまに注目を集め、再生回数が220万回に達しました。そのため、このホットな映像がタイのテレビでも紹介され、ますます話題に。

撮影者とその友人は、女の子が重いカバンを背負えず、どうしたらいいか途方に暮れている様子を撮影した後、最後は友人が女の子に声をかけ、カバンを背負うお手伝い。これにて、一件落着…だったはずですが。

女の子のカバンを手にしたこの友人が、「おい、あれは重いぞ。15キロくらいはあるぞ」とコメントしたことから、SNSで大炎上。

「子どもにそんな重いカバンを背負わせて登校させるなんて、ひどすぎる!いったい、どこの学校だ?」というわけです。

ただ真相は、この日学校が子どもたちの栄養に配慮して、全校生に紙パックのミルク36個入りを1箱配ったのだとか。しかも学校は事前に保護者宛にこの配布について通知し、この日は子どもを迎えにくるよう保護者にお願いをしていたそうです。もちろん、この女の子、アイナちゃんの母親もバイクで迎えに行くつもりだったのですが、仕事先であるゴムのプランテーション農場の作業で少し手間取り、迎えに行く時間に遅れてしまったのです。それを知らないアイナちゃんは、「お母さんは、きっと迎えに来れなくなったんだな」と考え、母親とすれ違いで徒歩で帰宅の途についた…ということだったわけです。

誰も悪意がない中での、ちょっとした行き違い。

タイのマスコミもこの事情を把握したため、学校側や保護者への誹謗中傷を抑えるべく、続報を連発。中には、アイナちゃんの自宅まで取材に行き、母親から直接、「バイクで迎えに行ったのだけど…」という状況説明をインタビューするメディアもありました。

アイナちゃんの母親は、ゴム農場で働いています。そして、こうした農場で働く多くの人は、ギリギリの生活を送っています…。アイナちゃんの家も、けっして豊かではありません。先述したように、この騒ぎで母親がメディアのインタビューを受けたのですが、その際にアイナちゃんの家の様子も、映像となりました。

そうしたら、今度はこの自宅の様子が大きな話題に。アイナちゃんの弟も注目されました。

「重いカバンを背負おうと苦労していた、可愛いアイナちゃんと弟の家が困窮しているようだ…。なんとかしてあげたい…」。

今度はこの人情味あふれる声が、SNSに溢れでて…。

自宅住所まで公表され、アイナちゃんのところに学用品や食料、飲料品、さらには現金まで送られて…。報道では、総額が50万バーツ(約175万円)相当に達したそうです。

アイナちゃんとお母さん、今度はメディアを通して、善意を寄せてくれた人たちに心からの謝意を伝えています。

アイナちゃんの後ろでマスクをしているお母さん、おや、イスラム教徒だったんですね。インタビューの時は作業着スタイル、そしてお礼を述べる時には正装、ということですね。イスラム教徒の多い、タイ南部らしい光景。

偶然が重なって話題になったアイナちゃん。

そして、可愛いアイナちゃんの家の様子をみて、支援行動を起こしたタイ人たちの奥深い人情…。

この展開には驚くばかりですが、同時に、なんともほのぼのした気分にもなります。

いややはり、私はこの国に住むことができ、とても幸運な人間だとあらためて思います。



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