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タイで大麻解禁

日本でも大きく報道されているようですが、2022年6月9日、タイで特定の大麻栽培を認める新たな法律が施行されました。

とはいえ、「全面解禁」ではありません。いくつか制約があります。

まず、「幻覚などを引き起こす成分の含有率が0.2%以下であること」。
タイ政府は、2019年に医療目的に限り大麻の使用を解禁しましたが、その後も幻覚成分の含有量を低くした品種の改良に取り組んできました。その結果、タイ政府の基準に沿った新種の大麻草が誕生。今回、タイ政府は100万本の苗木を希望者に無料で提供していますが、それはこの改良型合法新種を普及させるためでもあります。

次の制約が、「娯楽目的ではないこと」。
逆に言えば、「医療目的」や「菓子など加工品の原材料にする」ことが目的でなければなりません。娯楽として使用したり、娯楽目的の売買は、引き続き違法行為となります。

3つ目が、「登録制」であること。
タイ政府は、大麻の栽培をする人たちに、オンライン登録を義務付けています。「許可制」ではなく、登録さえすればよいわけです。現在、タイ政府はオンライン登録の仕組み説明に注力しています。個人のスマホから簡単に登録できるようです。なおこの登録時に、栽培目的を選択する項目があります。ここで実態と異なる虚偽の栽培目的を登録をしていたら、それは違法行為とされます。

なぜ、タイ政府が一定の制約を設けながらも、大筋で大麻を合法化したのか。そこに、タイ政府の成長戦略があります。

大麻を原材料に用いた医薬品や加工食品、加工飲料をさまざまに開発することで、農家の所得向上につなげ、かつ新たなビジネス分野を創設することを狙っています。ガイコクからの観光客にとっても大麻製品が魅力のひとつとなり、タイ観光の呼び水にもなり得ます。つまり、「一度の人生、楽しくやろうぜ」というお気軽な発想ではなく、そこには「国力アップ」に向けた、したたかな計算が働いています。特に農民所得の向上は、長年にわたるタイの悲願です。

私が住んでいるバンコク都内には、大麻コーヒーの自動販売機まで登場しています。大麻ケーキはもちろん、レストラン・メニューにも大麻加工品が登場。セブン・イレブンといったコンビニでも、すでに大麻加工飲料が商品棚に陳列されているほどです。

これは、たいへん大きな市場になりそう。いったい、どれほどの経済効果を生みだすのか…。

こういう大変革、今のニッポンでは難しいでしょうねぇ。
なにしろ、「反対のための反対」が根付いている社会。ベンチャーが育つ余地があまりにも小さいような…。

そのうち、タイの方が経済的に豊かになっていたりして。
10年、20年後、あらためてこのブログを読み返したら、どんな感想を抱くことか。今から楽しみにしています。

※私はタイに永住するつもりで、年金もタイでいただく予定ですが、ひょっとしたらその時には、「日本の年金は少なすぎて、タイでは生活できない。物価の安い日本に帰ろうかなぁ」なんて考えているかも知れません。タイなら日本の年金で楽に生活できるという時代は、もはや終焉に入っています。


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