呪詛 乾燥(ネタバレ有り)

くっそ怖かった

最初呪いの影響でばんばん人が死んでいくところで引き込まれて、次に家に何かいるところが怖かった。子どもを引き取る展開が嫌な予感ビンビンにしてて、弱くて純粋な存在が身近にいることで追い込まれた感じがした。親子で過ごす夜がホント怖かった。あー入ってきちゃった、から子どもに入ったか? と予感させる演出。冷蔵庫の牛乳のボトルの蓋が外れてたの地味に嫌で、嫌なことが起こるぞ、としっかり頭に入ってきた後だったから怖さも倍増。
ボランティアのおばあさんのボンヤリした顔も嫌だったなぁ。この人これから死ぬんだ、てのが分かった。スマホで撮影してるっぽかったのに撮ってる人止めないのなんでだよ。
子どもが屋上の仏像部屋行くのは怖いというより嫌だったなあ。文言唱えた時、それ言っちゃいけない奴! な感じがヒシヒシとしてたから。パスを繋がせたかったのね。
田舎に凸るとこは、ああ導入感あるね、だった。仏様が振り返るのは予想がついてたから、まあ。終始息が詰まって、嫌だなぁ嫌だなぁと思いながら見てた。
何だかんだ導師の奥さんが恨み言を言うとこが一番怖かったな。生身の人間が変質したモノが一番怖い。
主人公を助けようとした男の人が頭ガンガン打ちつけて死んだところも怖かったしビックリした。ファーストヘドバン。車で逃避行の時の方が怖かったけど。闇夜の人影マジ怖い。
虫や肌の穴はそこまで。苦手な人はダメだろうけど、虫は合成っぽさが強くて肌はただの傷っぽくて。
最後のネタばらしからの自爆はなんかこう予想がついてたから、おまえー!感はあったけど他のシーンと比べると怖くはなかった。隠された顔もそんなだったし。
まとめると、嫌だなぁ自分の身に起きて欲しくないなぁ、というシチュエーションを土台にドンドン状況が悪くなるのを分からせられて、たまにビックリさせられた。怖かった。

あー行けませんお客様!

最初から最後まで、それをやってはいけない! 要は禁忌を主人公その他が犯しまくっていた。こちらからするとハッキリ分かる形で。時系列順にまとめる。

  • 田舎に行く途中で仏様を轢く

  • 親戚以外来てはいけない村に行く

  • 子どもの名前を邪神に捧げる

  • 明らかに不調で嫌な予感がするのにそれを無視する

  • 入ってはいけない祠へ入る/しめ縄を切る(Youtuber)

  • 神子の言うことを聞かない(Youtuber)

  • 邪神の顔を見る(Youtuber)

  • 名前を聞かれて答える(Youtuber)

  • オカシイものが映ったカメラを無理やり持ち帰る

  • カメラを他人へ預ける

  • 邪神のことを話題に出す(両親)

  • 名前を捧げた子どもに本名を取り戻させる

  • 子どもと暮らす

  • 呼び声がした時にドアを開ける

  • おかしなことが起きてもビデオを撮り続ける

  • 子どもから目を離す

  • 原因がはっきりしてるのに子どもを手放さない

  • 取り上げられた子供を奪い返す

  • 夜道を慌てて進む

  • 物を盗む

  • 導師の言いつけを破る

  • 呪物となったカメラを持ち出す(男)

  • 呪いの映像を解析する(男)

  • 人を騙して邪神の情報を拡散する

  • 邪神の顔を隠している布をめくる

それは死ぬわ。

呪い

邪神というと、日本では荒魂になり、個人へ降り注ぐというより村、町、群、国、に凶事が起こる、というスケールになる。一族や個人には妖怪/幽霊が祟るイメージが強い。鬼や妖怪が転じて神として封じられているケースは祟り扱いかも。(あくまで俺のイメージだけど)
それはともかく、今作も規模としては土着神なんだけど、日本よりさらにコンパクトにまとまった邪神、というより超強力な呪いって印象。姿が徹底的に見えないから現象やウイルスに感じた。病気も昔は瘴気って言ってたし。作中で何回も出てきた真言もある意味自身を呪う言葉だったし、呪詛ってタイトルに偽りはなかった。主人公が真言を拡散したのも、不特定多数への呪詛だったし。

お話として

禁忌を犯す、がテーマだったと思う。最初はビデオの視聴者の味方の振りをして最後にネタばらしをする展開は、多少予想がついたけど、予想がついたことによって「嫌な予感」というエッセンスになった。
最初に我が子を引き取るところで、庇護しなくてはいけない、子どもを死なせることこそタブーと刷り込まれたから、その後の子どもを中心に巻き起こる怪異が滅茶苦茶嫌になった。
全ての人が怪異に無理解なのではなく、現実に抑え込む手段があるところも良かった。まあ主人公の行動で台無しになったわけだけど。人が死んだの8割くらいは主人公の選択ミスだよね。
ただまー長かった。1時間20分くらいで良かったかな。親子の情とか主人公の行動に説得力を持たせるだけのシーンがあったけど、そこで俺の気持ちが緩んじゃったってのもある。「それでも私のお母さんだから」以降はそう…て気持ちがあった。作品と見たいものがマッチしなかったところ。
怖い9割面白い1割。ホラー好き二人に話を聞いたところ、どちらもそこそこ怖かった、て感想だったので、俺がホラー苦手か、なんか弱点に刺さってたんだと思う。犬を飼わないでいて本当に良かった。予感が出来る怖さ、が苦手なのかも。

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