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ゲーム感想 サイバーパンク2077-生きる街ナイトシティ

発売日に手に入れていたもののPS4がブルースクリーンを吐きまくるので、泣く泣くタケムラとのクエストが始まるあたりで積みゲーにしていたサイバーパンク2077。
Netflixでエッジランナーズを見て、やっぱりナイトシティで遊びたくなり、つい先日PS5を手に入れて出戻りクリア。
最っっっっ高に面白かった。
エンディングが良すぎた。あまりにも素晴らしすぎて、垂れ流しのSpotifyから「Never Fade Away」が再生されるたびに手が止まる始末で、ずーーっとナイトシティに心が置き去りになっている。
生涯忘れられない大好きな作品がひとつ増えた。ボケても誰かにずっと勧めている自信がある。本当によかった。本当によかった…

このゲームの何がそんなに素晴らしいのか

・ナイトシティの魔力

サイバーパンクの主役は人ではなくナイトシティ。と思えるほど鬼のような作りこみ。都市の繁華街やビジネス街、リトルジャパンもあるし、高速道路も室外機ひしめく路地裏もある。
どこを歩いても、どこかの誰かの生活感と乱雑さを感じるのが楽しい。歩道の一角に捨てられたゴミとか、中身が入ったままの誰かのキャリーケースとか(服はもちろん拾えて装備できる)、ザ・サイバーパンク!なネオン看板がいっぱいの路地を楽しめる。ここまで作りこみがすごいと散歩するだけで楽しい。
でもナイトシティは都会だけではない。離れれば巨大な生産工場やメガソーラー、ゴミの廃棄場、廃墟や田舎や自然も楽しめる。
オープンワールド形式で遠くにみえる建物に、実際行くことができるゲームは増えたものの、そのリアルな生っぽい体験はやっぱり感動する。
田舎に行ってもサイバーパンク2077を遊んでいる実感が薄れないのは、都市部の広告が田舎からでも見えるから。これが本当に良い。プレイヤー的には拠点が見える安心感もあるし、単純に暗闇に浮かぶ街の光がかっこいい。でもナイトシティからは簡単に逃げられない閉塞感も感じる。
サブクエを通じてほんっとにこの街住んでる人間サイテーだな、でも大好き!の繰り返し、そんなナイトシティから常に監視されている感じ。
主人公も出自によってはナイトシティにうんざりして離れるも出戻りするといったエピソードがあり、なんか、わかるわぁといった感じ。

少し離れた郊外から 昼でもくっきり見える広告

Twitterでは発売後数年たっているにもかかわらず、盛んにフォトモードで素敵なナイトシティの写真が上がっているし、ハイエンドモデルPCの描写テスト動画によく使われている。
プレイ時間100時間を超えたけど、多分まだ通ったことのない路地裏がある。一生遊べるのでは??
こんなに緻密な街がデータの容量の制約がある中どう作られたのか、制作のお話も非常に面白かった。

・ゲーム内小ネタの多さ

このゲーム何が恐ろしいかというと、サブクエストがどっさり用意されているにもかかわらず、クエストリストに表示されない名もなきサブクエストや、広大なマップに突然何かのオマージュがあったりする。
サイバーパンクと同じくらいどっぷりハマった海外ドラマ「ブレイキングバッド」のネタもあるのが嬉しい。
他にも映画やアニメやら、ウィッチャー3やらデスストやら盛りだくさん。かといってもちろん本編の邪魔をするわけでもなく、分かる人が見れば分かるにやっと感。

リバー邸 屋根の上のピザ

あと拾えるチップの文章もとても良い。多すぎてプレイ中は読み切れないほどの文章があちこちに落ちている。スクショを携帯に移して、移動中に読んだりしている。楽しい。

基本的にブラック企業しかないらしい
ナイトシティにも腐女子はいた

膨大なテキストはプレイ中に読んでも読まなくでもクリアするには関係ないので好きなタイミングで読める。でも読めば読むほど、ナイトシティに深みが増す。
メインに絡むもあえて深くは語られないハナコの取材メモとかも良い。

ハナコとドビュッシーに関しての考察を、サイバーパンク2077大辞典、12.名無しのサイバーパンクさんが書いていたのでリンク。(※ネタバレ注意)


日本語ローカライズにあたって、吹き替えの台本(しかも一部)だそう。
もう本当に本当にありがとうございました。素晴らしかったです…


・推理パート ブレインダンス

行く先で色んな事件に巻き込まれる際、推理に使うブレインダンスがまた楽しい!人の記憶を3Dデータにしてデトロイトの推理パートのように、怪しいところをピックアップして再生できる。これぞゲームにしか表現できない感じで、とてもわくわくする。
ブレインダンスの映像自体がかなり容量大きそうなので、何個も収録するのは無理だとは思うけど、本編やサブクエであと何個かブレインダンスやりたかった…

・ゲーム内楽曲のクオリティの高さ

このゲーム移動中にラジオが楽しめるんだけど、収録曲がまぁ~~~良い。昨今ゲーム楽曲が手を抜かれている例はあんまりない(たぶん)とは思うけど、サイバーパンク2077は実在のアーティストとコラボしたとんでもなくクオリティの高い曲が山ほど用意されている。
ラジオ収録曲はポップ、ロック、テクノ、ハードコア、電波曲とジャンルも様々。ドライブしながら聞けばきっと好きになる曲がある。

もう一人の主人公 ジョニーのバンド「Samurai」の曲もある そしてもちろんすごく良い

どの曲も主題歌になってもおかしくないような存在感ある楽曲ばかり。悲しいのは一点アルバムが配信のみというところ。配信だけだと心もとないので、実物のアルバムが発売されたら非っっっ常に嬉しいのだけど、著作権やらなんやらいろいろ難しいのかもしれない。いつか出てくれることを祈る。

エッジランナーズ挿入歌で一気に思い入れが増し、ラジオで流れるたびにプレイヤーの情緒を破壊する「I Really Want to Stay at Your House」

こっちはサブクエにもチップにも街中の広告にも登場する「Lizzy Wizzy」の曲。おしゃ~な曲だけど人物はなかなかに破天荒なリズィー・ウィズィー。

楽曲提供したグライムスがゲーム発売後、再度「Lizzy Wizzy」としてリリースしたDJミックスだそう。現在Applemusicのみ配信。かっけぇ~…

キアヌ演じるジョニーのバンド、SAMURAI。楽曲提供のRefusedはスウェーデンのハードコアバンド。活動休止や解散後もファンの人気が衰えず、ロック音楽の発展に影響を与え続けた。その後2012年に再結成となった伝説的なバンド。(らしい)詳細は下記英語wikiへ。
そしてキアヌの歌い方に寄せて収録したとのこと。最高。

街中で一度ポンポンシー!を耳にすれば忘れられない「PonPon Shit」
楽曲提供のナマコプリは日本のアイドルユニット。残念ながら2021年6月18日にTwitterで解散を発表している。

そしてもちろんゲーム本編の音楽もクオリティが高い。戦闘曲はブチ上がるし、戦闘が終わったころにスッと曲が終わりのフレーズに切り替わって街の雑踏になるのもすごく良い。
周回するうちにエンディングで何度も聞くことになる「Been Good To Know Ya」と、ゲームスタート画面のBGM「V」が音楽がつながる部分があることに気付いてむせび泣いた。


開発期間9年。制作に携わった人の血と涙が惜しげもなく入っている(であろう)作品なので到底魅力が語り切れないんですが、気になっている人はとにかくプレイしてほしい。
特にエッジランナーズが面白いと思った人はぜひプレイしてほしい。
ゲーム本編をプレイしてエッジランナーズの深みまで増す、本当に素晴らしいメディアミックス作品なので、体験しないのは非常にもったいない。
私が石油王だったら、バキ童氏がやっていた「チェンソーマン保険」ならぬ、「サイバーパンク2077保険」を立ち上げる。

以下ゲーム本編ネタバレ全開の感想。
素晴らしい作品を初見で楽しめる、生涯に一度の機会を、どうぞ大切に。






エンディング感想(※ネタバレ注意)

・目指した高みの先 太陽エンド

男V、ストリードキッドのド定番1週目。ほぼ直感の選択肢でプレイ。愛人はパナム。タケムラの分岐の時に1週目は見殺しにしてしまい、どうしても生きててほしくてやり直した。
ジャッキーが死んでしまうあたりから、ナイトシティの冒険が楽しすぎてサブクエは全部やった。どっぷりとナイトシティで傭兵暮らしを楽しんで、最初に見たのはローグとアラサカタワーへ向かう太陽エンドだった。

あんなにジョニーが頑張ったのにあっさりオルトに余命宣告され、アフターライフのボスになって一流の仕事をしているけど、ジャッキーもジョニーもローグもいない。半年の命なのにナイトシティに憑りつかれたままのVに呆れてパナムも離れていく。
トップに立つ、ナイトシティの生ける伝説になった。半年後には死ぬけど。

ナイトシティで大物になるVの夢は確かに叶っているんだけど、100%なりたかった未来かといえばそうでもない気がする。きっとジャッキーと目指していた生ける伝説とはかなり違うはずだ。
頂点って目指している間が1番眩しくて、登り詰めた先って案外虚しいものなのかもしれない。私が虚しいと感じ取っていてもV自身はすごく満足してるかもしれない。それもいい。
宇宙服の中のVは、こんなはずじゃなかったという顔にも見えるし、(トップとしての仕事に満足していて)さぁ行くかという顔にも見える。

大事に思う人ができて居場所も他にあるのに、高みを目指すが故に(今までの犠牲も考えて目指すしかないのかもしれない)大事な人たちと人生が交わらなくなる虚しさ。エッジランナーズでも散々味わいつくしたあのやるせなさを、ゲーム本編でも味わえるとは思っていなかった。
星エンドみたく、残りの余生を恋人と幸せに暮らせよ!とも思うけど、それももうVの望む夢ではないんだなあと、ここまで一緒にクエストをこなした私と「V」の人生も交わらなくなる悲しさ。

普遍的にきっと誰もが体験する、好きだった人や物が、時間や状況や考えの変化があって、好きだけではそこに留まれなくなる悲しさとか、ここに詰まってて本当に良い。
完全なるハッピーエンドではないし、暗いんだけどどこか穏やかな太陽エンドが本当に良い。

でも欲をいえば、ローグに子供がいたことが分かった以上巻き込みたくなかったし、疑似エンドトライジンを飲んでVは意識のない状態、ジョニー1人に最後を任せっぱなしというのも、ここまで2人でクエストをこなしてきたのになんか寂しい。
隠しルートから太陽エンド(もしくは節制)が一番ハッピーエンドな気がする。アラサカ乗り込むあのシーンとか尋常じゃなくテンション上がるし、Vの体力が減り続けるのもぐっとくる。

・ジョニー

初見プレイ時、発売前の情報をほとんど見なかったので、序盤ジャッキーが死んでしまったことが普通にショックだった。そんな最中にくるのが初対面の印象最悪なジョニーである。
ジャッキーの代わりの相棒が、口が悪くてゲームの進行状況によっては急に慣れ慣れしく話しかけてくるこいつかあ…なんて思っていたが、100時間超サブクエをこなす中で、役に立つような立たないようなアドバイスをくれたり茶々入れてくるジョニーをあっという間に好きになっていった。

ニッコニコである

初対面で体を乗っ取ろうとしていたジョニーが、Vを助けるため屋上で疑似エンドトライジンを勧める展開でもうだめ。ラスト、泉に体を沈めるVに「じゃあな、V。戦うのをやめんなよ」もうだめ。

レリックで物理的に半身だったジョニーが、本当の意味での半身に。太陽も節制も2人が分かれていくところは本当つらかった。でもそれがいい。
エンディングのジョニーはどれも良く、どれも味わい深いエンディングにしてくれる。

・悪魔エンド

おそらくサブクエをあんまり進めないで、メインをどんどん進めた人が一番最初に見る明確にバッドなエンディング。これを見て気持ちが折れる気持ちもわからなくもないけど、与えられた必要最低限のクエストだけ選んでいればたどり着くあたり、すごく皮肉が効いている。
選択と行動の結果が、このゲームのテーマだそう。
アラサカの搾取っぷりをちゃんと考えず調べず、アラサカ(ハナコ)の言いなりになった先は、クサマ教授との変わらない日々。割れるホラールービックキューブ(大好き)
ヨリノブを使って復活するサブロウをきっかけに、きっとレリック事業は加速する。小金持ちの中流層は記憶コンストラクトを富裕の超上流層に支配され何もかも食われやすくなるだろうし、身内の体でなければ適合できなかったことコンストラクトは、きっとそのうち誰の体へもできるように技術が進歩する。ナイトシティはさらに格差が広がり、貧困層の体は富裕層に搾取され続ける。世界的に見てもかなりバッドエンドだと思う。
テロリストとの約束を守り手術もして、帰るかレリックになるかを選ばせたハナコも一見優しいし、タケムラもいいやつなのでアラサカって悪いところじゃないのかもと思いかけるが、搾取的な大企業って一旦身内になった人にだけは甘いよねっていう。
まあかといってジョニーもテロリストとして大勢の犠牲者を出しているし、結構なクズ野郎で根っからの善人とは言い切れないけど。

悪魔エンドはとにかく演出がとても良く、ホラー演出が楽しい。最悪なんだけど最高なバッドエンド。

・最後に

世界観の作りこみから、ゲーム序盤は飛び交う専門用語がわからなくてとっつきにくさもあるけど、一度飛び込んで水が合えば完全なる底無し沼だった。ほんっ…とうに楽しい。
私が死んだら棺にソフトとセーブデータが入ったSSD入れて火葬してほしい。死後も遊びたいから。

2023年9月26日には追加コンテンツ「仮初めの自由」も出ることだし、まだまだまだまだ楽しめそう。
しかも本編エンディングに追加要素があるかも、とのこと。
有給申請ばっちりです。楽しみー!!

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