ホワイト国とGSOMIA

1/27に日本が韓国をホワイト国に再指定し
対韓輸出管理を緩和するとの方針を発表

実は、GSOMIA破棄の問題が取り沙汰されていた時期に
このホワイト国を巡る日韓の対立含め詳しく調べていた事がある
あれからどうなったのかと思っていたが
まさか日本が今までとは正反対の動きを見せるとは思っていなかった
非常にタイムリーな話題でもあるため、ホワイト国とはそもそも何か
戦後最悪とも言われた日韓関係悪化
その要因の一つとなったこの問題をGSOMIAに絡めて記事にしていく

ホワイト国を語る上で欠かせないのが
GSOMIA(ジーソミア)の問題であり
先にGSOMIAからの流れを語った方が
より理解しやすいと思っているので
GSOMIAから順を追って説明する

GSOMIAとは

GSOMIA
略称/通称:軍事情報包括保護協定
正式名称:軍事情報に関する包括的保全協定
英語:General Security of Military Information Agreement

GSOMIAとは上記の通り
同盟国である二国間、或いは複数国間で
秘密軍事情報を提供し合う際に
第三国への情報漏洩を防ぐ為に締結する協定

日本はアメリカ合衆国やNATO含む9カ国
アメリカ合衆国は60カ国以上
韓国は21カ国とこの協定を締結している

これは余談になるが
日本は軍隊を持たない為
他国と比べると締結国は少ない方だが
実は日本の自衛隊は国際法上で
*交戦資格を有しており
事実上の軍隊としての要件を満たす
*交戦国が国際法上有する種々の権利の総称であり
実際に戦いを交えるという権利ではないとのこと

日本が結んでいる情報保護協定
アメリカ: 軍事情報保護協定 2007年8月10日署名
NATO: 日・NATO情報保護協定 2010年6月25日署名
フランス: 日仏情報保護協定 2011年10月24日署名
オーストラリア: 日豪情報保護協定 2012年5月17日署名
イギリス: 日英情報保護協定 2013年5月7日署名
インド: 日印秘密軍事情報保護協定 2015年12月12日署名
イタリア: 日伊情報保護協定 2016年3月19日署名
大韓⺠国: 日韓秘密軍事情報保護協定 2016年11月23日署名
ドイツ: 日独情報保護協定 2021年3月22日署名

基本的には「秘密軍事情報の保護」を謳っているが、
単に「情報の保護」とするものも多く
「情報保護協定」 (GSOIA:General Security of Information Agreement)
と呼ばれる事もある
しかし、協定の内容に大きな違いはなく
大半のGSOMIAとGSOIAには
ほぼ共通の内容が規定されている

これらの協定には
"情報を保護するための原則"というものが存在する

情報を保護するための原則
(1)情報提供国の事前の承認なしに第三国へ提供しない
(2)提供国と同等の保護措置をとる
(3)目的外使用しない
(4)関係する特許権などの知的財産権を遵守する
(5)情報にアクセス可能な資格者の登録簿を作成する

そして交換される秘密軍事情報は
アメリカ政府の秘密情報分類に従い
3段階(Top Secret、Secret、Confidential)
上記に分けて取り扱われることが多い

ここまでがGSOMIAと呼ばれるものの
ざっくりとした概要である
ニュースで取り上げられていた時期に
GSOMIAは日韓特有のものと
勘違いしている人が非常に多かった

GSOMIAは日本と韓国の間だけで
締結される協定と言う訳ではなく
国家間で取り結ぶ軍事的な情報や
軍事システム等を包括的に内包する条約

日韓のGSOMIAは以下の通り

日韓のGSOMIA

略称/通称:日韓秘密軍事情報保護協定
正式名称:秘密軍事情報の保護に関する日本国政府と大韓民国政府との間の協定
英語:Agreement Between the Government of Japan ant the Government of the Republic of Korea on the Protection of Classified Military Information
韓国語:대한민국 정부와 일본국 정부 간의 군사비정보의 보호에 관한 협정

2016年8月23日に一年毎の更新
という条件の元に日韓で締結された
この条約は更新終了を次回更新日の
90日前に通達する決まりになっており
背景には米国が大きく関与している

2000年代以降、北朝鮮の核開発や
ミサイル発射問題が加速した
事で
日韓両国は強い懸念を抱いており
両国の同盟国である米国にとっても
東アジアの安全保障上から見て
これらは非常に重要な問題であった
日本は日本海に飛翔したミサイルの
航路追跡や電波傍受に長けており
韓国は軍事境界線付近の情勢や動向を
脱北者等から情報収集し掌握出来る立場
にある
当時同盟国同士ではなかった日韓間で
GSOMIAが締結されていないという事は
日米・米韓での軍事行動に参加していない
第三国の情報を共有する事が出来ず
米国の極東戦略に必要不可欠な条約であった
この為日韓両国のGSOMIA締結は
米国を含む三国に恩恵をもたらす物とされ
特に重要視されていたという背景がある

時系列を追って説明すると
2011年に実務者間で交渉が開始
本来は2012年に締結予定だったが
韓国側の都合により急遽延期となる
その後2016年に交渉が再開され
11月23日にソウルの国防部で
署名式が行われ締結された
日本と韓国はそれぞれアメリカとも
GSOMIAを締結しているため
主にアメリカの情報システム上で
情報のやり取りを行なっている

このGSOMIAを締結するというのは
どう言うことなのかと言うと
国防の観点からも軍事情報は
秘密裏に情報交換を行う必要がある

その為、『第三国へ許可無く情報を共有しない』
『情報を取り扱う人を限定する』など
前述したように”情報を保護する為の原則”
上記を定めた国同士でしか情報交換を行わない
言わば、GSOMIAは国家間で
『秘密の話をする為の条件』というもの
防衛省関係者も『これが無ければ防衛相会談は行えても秘密の話はできない』
と口を揃えて言うらしい

ところが、これほど重要な協定を
韓国は突然破棄すると言い出した
韓国がGSOMIA破棄を宣言したのは
2019年8月22日でコロナ前のこと
日本が韓国をホワイト国から
除外したのを受けて破棄を宣言した

ここでようやく登場するのが
"ホワイト国"というキーワード
ここから日本と韓国は
"日韓貿易戦争"へと突入することになる

次回は日韓貿易戦争と
ホワイト国含め輸出管理制度について
詳しく書いていこうと思う

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