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トランプ最高のディール、史上最大の財政出動、なんでカサブランカ?

◆トランプと映画カサブランカ

昨日、アメリカの下院では2兆ドルの米経済対策法が成立した。雇用危機と景気減速に対処するためのもので、史上最大の財政出動となる。さっそく、彼はGMのオハイオの工場を再開して「換気しろ」、フォードも!!!!とつぶやいた。

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そのツイートに対して、素晴らしいディールだ、取引だと絶賛したのはケルトン教授である。彼女は民主党のサンダース大統領候補の経済ブレーンなので、トランプとは政治的立場が反対なのだが、今回のトランプの「ディール」を高く評価している。Art of the Deal というのはトランプ大統領の著作のタイトルでもあるから、気の利いたツィートだ。

不動産王として大成功したトランプは、幾たびかの失敗も経験している。著作は、ここまでの成功秘訣は、大胆な発想、緻密な計算、粘り強い交渉の成果だ、という自慢である。そんな彼もオークションのディールで日本人に負けた悔しい過去がある。

それが映画「カサブランカ」のピアノである。バブル最盛期、数多くの日本人が世界中から様々なものを買った。ニューヨークのシンボル、エンパイア・ステート・ビルも日本企業が手に落ちた。その中に、カサブランカで使われた映画の小道具のピアノもあった。当時アメリカ経済の状況は悪く、トランプもビジネスに失敗し、金がなく、さして大きくもないディールで苦い思いをしたことがあるのだ。

トランプが購入できなかったピアノは、奈良市の大きな通り沿いの喫茶店の目玉展示として飾られていた。バブル崩壊後、その喫茶店は倒産し、質流れとしてある人の自宅に長らく置かれていた。

縁あって、2012年そのピアノをニューヨークのサザビーズのオークションに出品することになった。最終的にピアノを競り落としたのはデカプリオだった。ここまでが、トランプとカサブランカのお話しである。

トランプのすごさは、苦い思い出とともに自分も沈むのではなく、不屈の精神で復活し、しかもビジネスの苦労を自国の経済に活かしたいと思ったのだろう。大統領選に出た。前評判とは全く異なり、トランプは選挙戦を勝ち残り、そして史上最大のディールに成功したのだ。すごい男である。

◆史上最大の財政予算

大統領選に出たトランプが最もやりたかったこと。それは財政出動だったのではないか、と思っている。なぜならトランプの足元にも及ばないが、私も不動産事業者だからだ。トランプがフィナンシャル・アクセレーターメカニズムを理解できているかはわからない。しかし、金融政策中心の米国経済学者の中では珍しく、財政にも理解があった中央銀行総裁バーナンキにすごく共感してるのではないかと思っている。

バーナンキの特徴は

⑴財政政策を前面に打ち出したヘリコプター・マネー

⑵貨幣の動きが不動産など資産市場に影響を与えという学説フィナンシャル・アクセレーターメカニズム

この二つの理論である。その一つを自分が大統領任期中に実現できたことを深く喜んでいるだろう。米国の経済の問題点は不動産担保ローンの破綻である。リーマンショックも引き金はそこだった。トランプは米国の経済関係の専門家、中央銀行・財務省関係者、エコノミスト、経済学者をあまり信用していないのではないだろうか。筆者も同じようなところがある。

米国の対策

米国の予算は、弱っている業界に対してきめ細かく、また予算も潤沢に用意視された。弱っている業界に資金を渡すことを通じて「早期に再開したいとは考えさせない」という感染症対策となっている。

いま、コロナウイルスで苦しんでいるのは米国だけではない。日本も同様である。トランプの経済政策はスピード感、財政出動への規模感、業界のきめ細かな対応と、非常に素晴らしい。日本の国会の議論を比較するとその差は歴然としている。確かに、コロナも問題だけでなく、消費税増税が失敗だったといち早く取り組み、大幅な財政政策を叫んでいる熱心な議員がいる。

しかし、この米国の予算が成立したタイミングで、これが日本にどんな影響を与えるかを過去から探って語る人は一人もいない。リーマンシッョク後の円高でどえらい目に合ってきたのに。おそらくリーマンショックのための財政・金融一体となった米国の政策が、日本にどのように影響を与えたか総括できていないのだ

円高をを米国発の天災と思っているんじゃないだろうか。

これまでの米国の経済政策の歴史の中で、トランプのディールがどれほどの価値があるかを語れる人が日本にはいない。実はトランプはすごい財政予算の作成に成功したのだ。彼は税金に紐づいていない予算を作成したのである。巨額の財政は出すが、増税の予定はない。ケルトンの興奮はここにある。ひょっとすると米国の歴史に名を輝かす大統領となるかもしれない。

日本に目を移すと、とても暗澹たる気持ちである。どうすると、日本の状況を変えられるのか。期待は反緊縮のネットワークの人々である。今後は、バーナンキのフィナンシャル・アクセレーターメカニズムや反緊縮について記していきたい。

ケルトン集合写真

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