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【読書感想】子どもを信じること/田中茂樹 著

読書中に何度も心に刺さるフレーズが出てきて貪るように読んだ本です。日々子育てに悩む自分の視界を広げてくれました。

著者は医師であり、臨床心理士であり、4児の父でもある田中茂樹氏。親子の関わり方について、多数の事例を元に解説されるため、リアリティを感じながら読み進めることが出来ます。

私は自分の親と上手くいっていなかった関係から生きづらさを感じる事が多々あり、それが元で40代の今も人生迷子な所があるため、我が子にはそのようになってほしくない思いが強くあります。この本では自分が「娘であった時の視点」「親になった今の視点」双方にとって多くの気づきを得る事が出来ました。

近すぎる親、遠すぎる親

前者はいわゆる過干渉な親、後者は子どもに無関心な親。どちらもバランスを欠いた毒親的関わり方であり、子どもを独立した存在とは見なさず、親の一部と認識している点が問題です。うちの親はまさしく『遠すぎる親』でした。そのような状況で育つ子どもは、自分の感情よりも親の気分や機嫌に敏感で、自分の気持ちを主張することや、自分が楽になる選択をすることに罪悪感を持つ傾向がある…これって私の事だわ。ただ残念な事に、その傾向を和らげる方法は書いてありませんでした。

「子どもの幸せのため」の努力が子どもを、親自身を不幸にする事がある

最も衝撃を受けたのは上記の内容です。「あなたのためを思って」という言葉が一方的な価値観の押し付けに過ぎない事は知っていましたが、ついつい日常的に発してしまう「宿題やったの?」「忘れ物ない?」「早くして!」などの言葉が子どもの成長を阻害してしまうという事。子どもが将来困らないように中学受験をさせようとする事なども同様です。(子どもの希望であれば問題ないのでしょうが)

私は混乱しました。もうどんな育て方をしても、何かしらの生きづらさを与えてしまうのでは?と怖くなりました。しかし著者は別の対談でこのように話していました。

生きづらさは絶対に生まれたらいけないものでもない

この言葉を完全には理解出来ていません。ただ、子どもにしんどさ、つらさを味わわせてあげる事の大切さはわかりました。問題を先回りして取り除いたり、解決法を渡す事は子どもの成長に繋がりません。生きている限り、傷つくことは避けられない。親に出来ることは、そっと見守り、つらい気持ちに寄り添うことだけ。
ついつい口出ししてしまう自分には難しい事ですが、心に留めておきたいです。

他にも『防衛規制』など日常的にやってしまいがちな問題行動の原因など興味深い記述がたくさんありましたが、長くなるので割愛します。

母親は子どもに去られるために、そこにいなければならない

著者の好きな言葉だそうです。
私も母親としてそうありたい。
出来るか自信はないけれど。

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