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【映画鑑賞・読書感想】アナログ ビートたけし 原作/タカハタ秀太 監督

スマホを持たない生活。自分はアラフォーなのでスマホや携帯電話が無い時代を知っているけれど、その時の感覚はもう思い出せない。その感覚を「なんか良いな」という気持ちと共に呼び覚ましてくれる映画でした。

この映画は人や空間のあいだにある"空気感"が心地良いシーンが多く、とても印象的でした。

例えば物語の導入に出てくる、主人公が暮らす実家の整頓された台所、そこで作る朝食。余談だが独身男性が糠漬けをしていることに驚愕。

主人公と女性が出会う喫茶店のゆったりした時間やこだわりのインテリア、マスターの佇まい、美味しそうなコーヒー。

主人公を女でひとつで育てた病床の母親とのやりとり。交わす言葉は少ないけれど、お互いを思いやっているのがとても強く伝わってきました。

主人公と男友達2人のわちゃわちゃしつつ、しっかり友情を感じる会話。演技がとてもナチュラルで、何度も笑ってしまいました。

主人公が好意を寄せる女性がスマホを持っていないことから始まるアナログなお付き合い(毎週木曜日に喫茶店で会えたら会う・連絡先は交換しない)は特に新鮮で、見ていてあたたかい気持ちになりました。

語りたいことはたくさんありますが、その中でどうしてもお伝えしたいことは以下の二点です。

主人公(二宮和也)カラオケ上手すぎ!
やけっぱちで酔っ払っているシーンのはずなのに、さすが嵐。

「自分が望めば、世界は優しい」
誰が言ったセリフか忘れてしまいましたが、その言葉を象徴するようなシーンがいくつかありました。思うようにいかなくても腐っていたらダメだ、きちんと向き合え、という自分への戒めというか希望になりました。

散々号泣した私はエンドロールの「原作/ビートたけし」に度肝を抜かれました。こんなおしゃれな恋愛小説なんて書くの!?血と暴力の世界しか描かないのでは?といった思い込みを払拭するため、映画の余韻が冷めないままに本屋へ直行しました。

注意!映画と小説は別物です

小説も良かった。良かったんだけど…空気感は全くの別物です。主人公と女性のアナログなやり取りというベースのお話は変わりませんが、映画との差分は以下の通りです。

・主人公の母への気持ち(親孝行出来ない悲しみ)が大きい、号泣シーン多め。ビートたけしさんならではなのでしょうか。
・男友達との会話が下品、下ネタ多め。
・男友達が大事なシーンに出張りがち。(いや良い人達なんですけどね)
・主人公達のほんわかしたデートのシーンはほぼ描かれていない。

特に男友達との絡みがきつく、おしゃれ感が遠のいた大きな原因かもしれません。しかしながら、読後はさっぱりと気持ちよく、人との関わり方を改めて考えさせられる良い作品でした。
制作して下さった方々、ありがとうございました!

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