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442 いつでもPCR検査

コロナが国政の最重要事項と各党が声をそろえる衆院選挙。国民の健康保障の重要性は当然だが、もっと優先事項があるだろう。それが率直な気持ち。
国民の大切な「生命、財産、資源を中国から守り抜く」。自民党の総裁選でたしかそう言い切っていた人が、同与党の政調会長に就任した。そのための具体策をどう打ち出すのか。彼女を支持した人は期待したはずだが、その答えがコロナ第一とは。たしかにコロナの発祥地は中国の武漢市だから、二度とこのような迷惑行為を起こさせないというのであれば分からなくもないが、報じられるのでは第一にバラマキ給付金。その財源はすべて子孫へのつけ回しである赤字国債。財政破綻で国家が消滅したら、ボクたちはあの世で前世代にどう言い訳すればいいのか。
コロナ対策でのバラマキを各党が競っているが、首をひねる項目ばかり。中でも極めつきが「いつでも、どこでも、何度でも無料でCR検査を受けられる」。こうした主張をする政党に議席を持たせては国の将来が危うい。PCR検査の正確性等の技術問題はひとまず横に措(お)き、ここでは財政以上の懸念からである。

PCR検査無料との主張の仕掛けは、費用を国が全額負担するということだろう。検査費用の原価がいくらかは知らないが、ボクの家族の4人が海外渡航したときは一人3万8千円だった。子ども割引もなく15万円以上の請求書だった。
2019年(コロナ前)の日本からの海外渡航は2000万人。その際のPCR検査費用を今後は国が負担するとしたら年間7600億円。まさかと思うが、海外渡航日本人の帰国時、海外からの旅行客の出国時の検査費用も日本政府が負担するとすれば、費用はこの何倍にもなる。
純然たる国内移動に限定して考えてみよう。コロナでは、ワクチン接種者でも感染を避けられないとされる。そのくせ感染しても無症状者が多数であるから、PCR検査は一回では済まない。そこで政党は「いつでも、どこでも」に「何度でも」を加えているのだろう。海外渡航では航空機搭乗の3日以内のもののみが有効とされる。同じ基準になれば、PCR検査を受ける同一人で繰り返しの検査が必要になるからだ。


 簡単な計算をしてみよう。控えめに10分の1の国民が、月に一度PCR検査を受けるものとする。それでも1200万人×12回×3.8万円で、年間必要額は単年度ざっと5兆5000億円。PCR検査無料を公約する政党の候補者の皆さん、本気なのですか。

本日(10月18日)の全国紙に岩崎芳太郎さん(鹿児島県商工会議所会頭で岩崎産業社長)の全頁意見広告が載っている。個人的意見と断っておられるが、業界(観光・交通・飲食など)を代表する声であることは明らかと思われる。ポイントは、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置を終了させた(9月28日)にもかかわらず、全国知事会が発信した「県境を越える移動と帰省の自粛要請」(7月11日)がいまだに解除されないのは整合性を欠き不当であるということだ。
そもそも自粛要請には法的根拠がない。政府も国会も、法律で行動自粛する方策を採らなかった。日本国民は行政の要請に自主的に応じてくれるはずと政府が信じるからであり、民主主義の実践例としてボクは評価できると考える。そうであれば自粛の必要が薄れた場合には、要請を取り消すのが当然はないかとの岩崎さんの主張は、まったくそのとおりだろう。
行政は次の第6波の感染流行を心配しているということなのだろうか。そうであれば自粛継続と自粛全面解除の折衷として、陰性証明できない者に限って自粛を継続し、できる者については解除することでいいはずだ。その証明方法は県境を越える者ではPCR検査、県域内であればワクチン接種証明。それらの費用は公費ではなく、個人持ちとする。行動自粛に自発協力するのが日本国民の民度の高さ。PCR検査費用の個人持ちでも受け入れるはず。そしてこの場合、検査業者は3万8千円という法外な料金設定をしなくなるはずだ。また今後3回目が求められそうなワクチン接種についても基本は各自負担に改めるべきと考える。

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