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448マイナカード3万円支給?

マイナカードの普及が予定通りに進んでいない。その理由はなにか。「カードを所持することによるメリットは依然少なく、個人情報を政府に監視されるのではとの不安も根強いと新聞は書いている(『産経』2021.10.17)。
そうだとすれば、カード取得者に新たにご褒美3万円を配ろうという衆院選公約を唱える政党が見られるが、まったくの方向違い。おカネをもらわなければ、政府の施策に協力しないという不埒な者が多数であるはずがない。
「個人情報を政府に監視されるのは嫌」という意見への対応が十分かどうかだ。自由を保障される国民として、政府の情報統制への不安な気落ちはわかる。そこで重要なのは、政府が知るべき情報と、知るべきでない情報の区分と、その実施である。
この区別が厳格に守られるのであれば、政府が知るべき情報が一元管理されるのは、行政効率、経費節減の観点から望ましい。本来のマイナカード制度化の目的なのだから。付随効果で類似の書類事務をしている公務従事者を半減できれば、国民経済へのプラス効果は大きい。マイナカード保持の義務化が当然だ。
半歩譲って、とりあえず義務化の手前で手を打つとすれば、保持する者への優遇ではなく、保持しない者への便宜の劣後が政策になる。例えば住民票発行料は300円程度だろうが、これをマイナカード利用者では据え置き、非利用者(非保有者)では10倍の3000円に値上げすればよい。区役所の増収にもなる。マイナカード保有者が増えるにしたが、収益は減るが、住民票発行に携わる職員(多くは契約社員だろう)の減員で調整できる。
マイナカードの健康保険証としての活用が始まった(10月20日から)。カード保持者の過去の処方薬や生活習慣病の特定検診、保健指導記録などを主治医以外でも見ることが可能になる。重複の血液検査やレントゲン撮影などは不要になり、医療保険給付費の大幅節減につながり、健康保険料の引き下げが可能になるはずだ。その場合、マイナカードと保険証を連動させない者を保険料低減の恩恵から除外すればよい。保険料に格差をつけることで普及に弾(はず)みがつく。
ただしこうした個人の健康、疾病情報を政治目的に使用するのは筋違い。それらは政府であるがゆえに、収集保有してはならない情報である。そこで保険医療機関などから政府に情報が伝わらないよう、完全無比の遮断システムが求められる。これを政府は国民に保証しなければならない。
わが国は民主主義国。自国政府が意図的に不法な個人情報収集をすることはよもやないだろう。問題は政府以外の組織、とりわけ中国のように個人情報はすべて国家や独裁政党の当然保有物とする外国政府だ。彼らに自国民の情報管理にとどまる自制心があるとは考えられない。収集利用価値がある情報は、世界中からどのような手段を講じても入手することをまったく躊躇しない。
気づかないうちに日本国民の健康情報が、中国共産党のコンピュータに納まっていて、その情報を悪用されたくなかったら、身代金を支払えということになりかねない。あるいは直接、個人への脅し、脅迫手段として使われかねない。日本政府のデジタル対応には、国民情報の違法な国外漏出を防ぐことがあるはずだが、「その点はしっかり防御する」と約束するわが国の公的機関は一つもない。新設デジタル庁の主目的と理解するが、その実力や覚悟のほどは未知数だ。
おカネのバラマキは見えやすいが、情報のダダ洩れはそれに勝(まさ)る大問題。生命、財産と並んで、国民の個人情報という知的財産も守り抜く日本政府でなければならない。

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