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382“入籍”報告??

結婚した二人は同じ姓(氏)を名乗ることになる。これがわが国の法律。姓は勝手に決めていいわけではない。夫または妻の姓のいずれかから選択して、新夫婦に共通の姓を決める。
このことを法律は次のように規定する。
「婚姻の届出があったときは、夫婦について新戸籍を編成する」(戸籍法16条1項)。
なぜ新戸籍か。それは、新婚夫婦は結婚と同時に親の戸籍からはずれるからである。逆から見れば、結婚するまでは親の戸籍内にとどまる。戸籍的には結婚することで自立する。
「戸籍は、一の夫婦及びこれと氏を同じくする子ごとに、これを編成する」(同法1条)がその根拠。夫婦と未婚の子による世帯(核家族)を家庭の基本としているのだ。
 
若い知人からはがきで知らせを受けることがある。
「私たち結婚しました」はいいが、「入籍を済ませました」はボクとしては気になって仕方がない。
当人たちは、「結婚して新戸籍を作った」のつもりだろうが、「入籍」したでは勘違いされてしまう可能性があるのだ。
「入籍」を文字どおり解釈すれば、夫(場合によっては妻)の戸籍が既に存在していて、そこに結婚相手が入り込むことを意味するからだ。それが先に挙げた戸籍法16条1項の但し書き。「ただし、夫婦が、夫の氏を称する場合に夫、妻の氏を称する場合に妻が戸籍の筆頭に記載した者であるときは、この限りでない」とある。
簡単に言えば、結婚の片方が再婚の場合である。最初の結婚で新戸籍が作られている。最初の結婚が破綻し、あるいは死別した者が再婚することになり、この際にもそのときの氏を称することにすると、新たに新戸籍を作成する必要はない。「入籍」という表現を用いると、「あなたの相手は再婚なのか」と突っ込みたくなるわけだ。
  
新夫婦の姓は二者択一になっている。現実には9割近くが夫の姓を選ぶ。それはなぜだろう。戸籍の記載順序にその理由があるのではないか。戸籍法14条は、戸籍の記載順序として「夫婦が、夫の氏を称するときは夫、妻の氏を称するときは妻」を先とすると規定している。
このため二人で話し合い「キミの姓の方が珍しくて格好いいな」となった場合、妻が戸籍筆頭になってしまうわけだ。単なる形式だからどうでもいいだろうと割り切れればいいのだが、夫婦はたいがい夫の年長である。「なんで年下のキミが俺より上位に名前が載るのだ」と戸籍簿を見て不機嫌になる。
ここで考えよう。「男が先で女は後」は問題だが、「歳の順で記載」なら自然なのではないか。つまり「戸籍上の姓はこれまでどおり選択制だが、その筆頭者は夫婦間のうちの年上の者とする」で統一してはどうか。これがボクの意見。

妻の親から「わが家は娘だけなので、姓だけでも継いでもらえないか」と頼まれれば、次男である夫は「お墓の継承のこともあるし、姓にはこだわらない」と承諾したい気になるであろう。ボクの周囲にも多い。その気持ちを汲み、法律を少しだけいじって、「戸籍の筆頭は夫婦のうち年長者とする」とするだけで姓の選択比率はかなり変わるに違いない。
これにより夫婦別姓論者のかなりが納得し、運動論は下火になるものと思われる。


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