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プリンセスに会えた日

2021年、初夏の大安吉日。

私はプリンセスに会った。
胸元のレースが印象的なドレスを着た彼女は美しかった。今まで見たどの瞬間より綺麗だった。

そんな彼女の姿を見て、私の目からは涙が溢れ出した。

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私と彼女との出会いは、小学校1年生の頃までさかのぼる。

正直、出会った頃の記憶は無い。

彼女は同級生の女の子で、とびっきり明るくて面白かった。私は彼女と話したり遊ぶのが好きだった。

彼女には、お父さんがいない。
お父さんがいないという状況が、当時小学校低学年の私にはピンと来なかった。
ただ、彼女のお母さんもとても明るく優しい人で、大事に大事に育てられているのが伝わってきた。私は彼女も、彼女のお母さんの事も大好きだった。

小学校高学年になると、公園や外だけでなく彼女のお家に遊びに行かせてもらって過ごす事が増えた。
彼女の家には、ディズニー映画のビデオがたくさんあった。雨の日には、一緒に美女と野獣を見たりアラジンを見たり…。

彼女は『プリンセス』が好きだ。
映画の歌も台詞も、ほとんど覚えてるんじゃないかなってくらい。
普段「わはは!」と豪快に笑う彼女だが、映画の中のプリンセスをうっとり見つめる姿がとてもかわいいなと思った。

小・中学時代は、とにかくお互いにくだらない事を言い合ってゲラゲラ笑い転げた。
彼女しか呼ぶ事のない最長のあだ名(12文字)を付けられたり、交換日記で絵を書いたり、中学で同じ部活に入ったものの、部員数が少なかったもんだから部長の座をなすりつけ合ったりした。

高校・大学は別々になり連絡を取り合う事も無くなってしまったが、お互いの就職先が同じ市だと分かり、大人になった彼女とまた会えるようになった。

お酒を一緒に飲んで、歌おう!と入ったカラオケ店で彼女は

『Beauty and the Beast』(ディズニー映画・美女と野獣でポット夫人が歌うやつ)

を美声で歌い上げた。超うまい。プロの人かな?

「相変わらずプリンセスが好きなんだね」

私は何だか、ものすごく嬉しかった。

大人になっても、私達はゲラゲラ笑い合った。会えるのは数ヵ月に1回程だが、子どもの頃みたいに笑い転げられる事がとても嬉しかった。

彼女は明るくて面白いだけでなく、バリバリと仕事をこなす自立した女性になっていた。恋愛や仕事の失敗も、彼女は笑い話に変えて前に進んでいた。

本当に素敵な女性だと思う。

30歳になる頃だっただろうか。
一度だけ、彼女が

「私は、結婚できないのかもしれないな…」

うつむきながら、寂しそうな顔で言ったのが忘れられない。次の瞬間には顔を上げ、笑顔に戻っていたけれど。

誰か

誰か彼女を包み込んであげて欲しい。

飛びっきり明るくて、優しくて、豪快だけど繊細で、寂しがり屋のあの子を、誰か素敵な人に寄り掛からせてあげて欲しい。

何目線だ?という感じだが…
何だか、そう強く思った。

その後、私が初詣の時に祈る願い事が1つ追加された。

「どうか彼女に素敵な人が現れますように。」

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そして数年後、彼女は結婚した。

しかしコロナの影響で結婚式が1年の延期。その1年間「本当に結婚式をしても良いのか。」と悩み続けていたようだ。でも私は、どんな形になっても絶対に彼女の花嫁姿を見たかった。ずーっとずーっと待っていた。

お母さんと一緒にバージンロードを歩く彼女は、とてもとても綺麗で、私の涙がドッと溢れ出してくる。

初っ端から1人で号泣するわけにもいかないので、ぐっっと涙をこらえて耐えた。

人間というものは涙を極限まで我慢すると、鼻水が出るらしい。つまり、私は涙の替わりにハナミズを流して泣いた。やべっ。
マスクをしていて本当に良かった…。

私はその後も、終始涙のウルウルが止まらず。彼女の姿を見るたび泣けた。式が終わってから話せるタイミングがあったので、

「やー、もーホントずっと泣けて…ハナミズ出た…(汚い)。○○がプリンセスになった!と思ったら……もう…(泣)。プリンセス、すてきだよぉ~~~!😭」

と、私がよく分からない言い回しをしたら、彼女は

「ちょwwwプリンセスて!何言ってんのーー!😂」

わはは!といつも通り笑ってくれた。

本当に結婚おめでとう。
お二人の末永い幸せを心から願っています。

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小さい頃からの友人の結婚式で、こんなに感極まるとは…。もし自分の娘が結婚したら、私は体の水分(涙とハナミズ)が全て出て、消えて無くなるのではないだろうか。

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結婚式の思い出

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